小田急電鉄、ヴァル研究所、タイムズ24、ドコモ・バイクシェア、WHILLの5社は12月12日、沿線街ぐるみでさまざまな移動手段をサービス化する「小田急MaaS」の実現に向けて連携すると発表しました。
MaaS(Mobility as a Service)とは、移動手段(モビリティ)のサービス化を意味します。
これまでは鉄道ならば鉄道会社できっぷを買い、タクシーならばタクシー会社に運賃を支払い、クルマならば自家用車を買って自身で運用する、旅先では現地でレンタカーを別途手配するといったように、支払い先、買う手段や方法、使うまでの方法などを、それぞれ個別のモノとして利用してきました。
MaaSは、このような駅や空港から、二次交通のバスやタクシー、そしてクルマ、自転車、車いすなどのモノやコトを多様に使い、ある場所から目的地へ行くための手段を大きな1つの概念=「移動」とまとめて、それらを「1つのサービス」として分かりやすくシームレスに使えるようにする考え方です。「その人、その時に最適な移動手段」を適切に提供でき、利用者としても申し込み先や手続き、支払い先を1つにまとめられる分かりやすさを享受できます。例えば、各社の鉄道、バス、物販を1枚でカバーできる交通系ICのさらなる拡大版と想像すると分かりやすいかもしれません。
小田急MaaSでは、小田急グループが既に広く抱える移動手段だけにとどまらず、連携する各社とともに、目的地での楽しみ方の提案、飲食店や宿泊施設の予約、その代金の決済までを一括して提供するネットワークの構築を目指します。
具体的な取り組みとして、2019年末までにスマートフォンアプリ「小田急MaaSアプリ」を使った実証実験を箱根エリアと新百合ヶ丘・町田エリアで実施します。
小田急MaaSアプリは、乗り換え案内サービス「駅すぱあと」などを展開するヴァル研究所の検索エンジンを採用し、小田急グループの鉄道やバスの運行情報に加えて、タクシー配車サービス、タイムズのカーシェアサービスやドコモ・バイクシェアの自転車シェアの空き情報をまとめて確認できるようにします。これで、目的地での鉄道→バス→クルマ/自転車の移動手段を一括できます。さらにラストワンマイルの移動手段として、パーソナルモビリティの次世代型車いす・WHILLとの連携も行う計画です。
特に地域・都市と密接し、広いエリアと利用人口を既に抱える鉄道会社が主導するMaaSの計画がここ最近加速しています。目的はもちろん「客に最適な移動手段、体験を提供すること」。JR東日本や東急電鉄もITサービス大手の楽天と組んでインバンド需要も見込んだ「観光型MaaS」を2019年春から伊豆エリアで実証実験を開始予定。京浜急行電鉄も、移動、暮らし、買い物、観光などの手段をサービス化する「地域連携型MaaS」の実現を目指します。
自動車業界も同様です。トヨタ自動車は、自動運転の電動車とともに物流、物販を変革すると計画するMaaS「e-Palette Concept」(関連記事)から、さらにはソフトバンクとモビリティサービスの共同出資会社を設立するまでの大々的な提携も行い、来たる「100年に1度」とされるモビリティ革命に立ち向か追うとしています。2019年は運輸・交通業界全般でのこの取り組みが一層加速してくと予測されています。
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