誰かのことを悪く言ってしまうとき、それは「感情のすり替え」が行われているのかもしれません。自分と誰かを比べて、相手を悪く思ったり、みんなで悪口を言ったり、足を引っ張ってしまう行動の原因について描いた漫画が共感を呼んでいます。
自分より優れている人を目の当たりにして、悔しさや情けなさ、焦りなどを感じることがあります。でも、それを認められない自分は「あいつが認められているのはおかしい」と相手に対して怒りなどを覚えるという感情のすり替えが起こることも……。相手のすごさと自分のダメさは関係ないのに、ついリンクさせてしまう!
本当なら悔しさをバネにして努力すればいいのに「悪いやつに怒っている」という感情にすり替わってしまうことで、相手の悪口を言ったり足を引っ張ろうとしてしまう。さらに、みんなで悪口を言うと楽しくなることもあったり……。でも、悪いことを楽しんでいるという事実を認められない人たちは、さらに対象者が悪いことをしているから自分たちは怒っているのだと、重ねて感情のすり替えを行っているのかも。
つまり「悔しい」「みじめ」などの本来の感情を見失い「自分は怒っている」「正しいことをしている」という都合のいい感情にすり替え正当化する悪循環が、極端な悪口などにつながってしまうのではないかと作中では分析されています。確かに、自分の負の状況や感情を認めるより、相手を攻撃した方が楽ですもんね。
作者の漢弾地さんの場合は、奥様が「悪口はやめなよ」と言ってくれたことで行動を変えていくことができ、徐々に感情のすり替えから抜け出せたといいます。漢弾地さんは自分の悪い感情を認めるのは難しいものの、そういった感情を言葉に出すことでとてもスッキリすることに気づいたそうです。今後はちょっと勇気を出して、感情を見失わないよう「自分が今どう感じているのかに向き合っていこうと思います」と、結んでいます。
成功している人や幸せそうな人を見て、うらやましいと思うことは誰にでもあるはず。でも、それが怒りや妬みにすり替わって本当の感情を見失うと行動も見失ってしまう。漢弾地さんも言っている通り、負の感情はあって当たり前ですが、それがむやみに膨張してしまわないよう、今の気持ちや状況を言葉にして、振り返ることが大切だと気付かせてくれる漫画です。
作品を読んだ読者からは「誰かに腹が立つときは自分がダメな時」「言語化は主観を客観に変える作業」など共感のコメントが集まっています。
作者の漢弾地さんは夫婦漫画『僕と妻の場合』が書籍化されており、Twitterでも漫画を精力的に発表しています(関連記事)。
画像提供:漢弾地(@dankoromoch)さん
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