ハックその3:「ストーリー展開」ではなく「読者のエモ」を増量する
作り手はどうしても、ストーリー展開に気がいってしまうものです。書いているときは自分の考えたストーリーを終わらせたい気持ちでいっぱいです。でも、読者の期待は必ずしもそこにあるわけではない。
私は読者が求めている熱いシーンを「エモ」と呼んでいます。もう少し詳しく言うと、「主題と読者の期待に応えるシーン」でしょうか。
例えばカップリング同人誌でオメガバース(※)ものだったら、「発情期の際の行為」「つがいになってからの行為」の2つは絶対に読みたくないですか? ただストーリーに気が行っている書き手は「まあ、つがいになってからは言わずもがなで……」と省略しようとしてしまうことがある。
そういうケースに遭遇したとき、私は全力で「このストーリーは死ぬほどいい。だが頼む、エモをくれ。読者の代わりになって言うがつがいになってからの行為は必須。ここに1000字書いて」と頼むわけです。そうすると読者から「あのつがいになったあとのシーン最高すぎて泣きました。こんなステキな本に出会えるなんて」と感想が来て、全員ハッピーな世界になります。
※オメガバース……知らない人はググらなくてもOK
オメガバースものに限らず、書きたいストーリーを書き終えて満足して終わるのはもったいない。読者の一番読みたいところを膨らませましょう。一度書き手の視点に立つとわかりにくくなってしまうので、ジャンル友達に「今○○モノを書いてるんだけど……」と話してみるのもいいかも。いい友を持っていれば「××のシーンオネガシャス」と言ってもらえるはずです。
あくまでも私は素人なので、プロに学びたい友人には中島梓先生の『小説道場』を読むことを勧めています。かなり実践的な指摘ばかりで私は小説を書く力が格段にアップしたように思うので、古い本ですがぜひ読んでみてくださいね。
もちろん同人誌は趣味ですから、「同人誌だから好きなように書きたい」という人は、これらのことを意識しなくても大丈夫! ただ、「自分の言いたいこと(=萌え)をもっとわかりやすく伝えてえ」「本当に伝わってるか知りてえ」という人は、一度執筆中の原稿を見返してみるのもよいかもしれません。自分が好きだなあと思える作家と完成前の原稿を読み合ってアドバイスを送り合うのもとても楽しいです。
同人誌は、いいぞ!
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