この連載でもスタート時に取り上げたスマートフォン用ゲーム「ときめきアイドル」が、去る1月15日にサービス終了を迎えました。
発表当初は、あの「ときめきメモリアル」のアイドルゲームとして注目を集めた同作でしたが、フタを開けてみればわずか1年足らずでのサービス終了に。一体何がよくなかったのか、サービス開始から終了までを見届けていたという、ライターの「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんに振り返ってもらいました。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
サービス終了も、現在はオフラインでプレイ可能に
去る1月15日、KONAMIの「ときめきアイドル」がサービス終了しました。サービス開始は2018年3月20日。1年にも満たない期間での終了に、多くの方が驚いたことと思います。思えば昨年(2018年)の3月に紹介記事を書かせていただいたわけで、なんと「モバクソ畑でつかまえて」初の誕生から終了までを記録することができたゲームとなります。
とはいえ、16日からはアプリに一切アクセスできないということはありません。死亡ではなく転生とでもいいましょうか、現在はオフライン版となったゲームをダウンロードすることが可能です。既存プレイヤーはアプリを更新することでそのまま引き継ぎが可能。引き継ぎすれば全キャラのSSRをもらえるという豪華特典もついてきます。ゲームからはもちろん課金要素は消えており、音ゲーをプレイしてキャラクターとのコミュを見ることでガチャチケがもらえるという仕組みになっています。ガチャは過去イベントで配布した衣装に加え、未実装だった私服なども収録されており、当時イベントを完走できなかった人にも優しい仕様になっています。
ですが、今後はゲーム内イベントもなく、新しい衣装も、何より新曲も更新されるわけではありません。過去プレイしてくれたファンへのサービスとしては大変ありがたいものですが、今後の発展がないという意味では、やはり終了したゲームなのだなと思わされます。なぜこんなことになってしまったのでしょうか。
ある時期から突然突然締め付けが厳しくなった
まず思い当たる理由ですが、宣伝の仕方がいまいちだったと思います。印象に残っているのが『コンプティーク』誌での特集なのですが、逆に言えばあの雑誌ぐらいしか大きくは取り上げていなかったように思います。往年のマニア層は確かに昔のコンプティーク読者だったかもしれませんが、あの雑誌は常に読者を更新しています。今スマートフォン用ゲームをプレイしているような層に往年のときめきメモリアルの匂いが濃厚なオールドオタク向けのキャラクターをぶつけても、反応がなかったのは無理もないのかなと思います。
また、声優によるリアルライブも行ってはいたのですが、そのライブの告知アカウント(@Toki_Challe)とときめきアイドルのアカウント(@tokimekiidol573)が別物でした。なぜか「トキメキチャレンジ」と片仮名表記のせいか「ときめきアイドル ライブ」などで検索してもこのアカウントが上位に表示されないのです。つぶやきも少なく「声優ファン向けのアピール」「ゲーム外での活動アピール」が不足していたように思います。
となると、往年のKONAMIファンであるオールドファン向けの商売だけで継続していけたかというお話になるのですが、これが無理だったというのが現在の結果ではないでしょうか。ゲームそのものの中身はどうだったかというと、開始当初はメイド服やバニーガール衣装など、生き急ぐかのように豪華な報酬が提供されていました。この報酬は「イベントをある程度こなしていれば全て入手できる」ものであり、上位報酬は名誉アイテム的なガチャSRの色違いや、称号だけという平和なものでした。
ですが、5月末ごろに実装されたイベント、協力フェスが本当にひどかったのです。音ゲーなのにアイドルの合計能力値で戦うという「デレマスのライブバトルかな?」と思わされるような対戦イベントにやる気が激減したのを覚えています。周回の苦痛から解放してくれるゲームだっただけに、余計な要素を入れて失敗したという印象が拭えませんでした。
さらに、そんなイベントに特効アイドルが実装されたり、ランキング報酬にSSR衣装と引き換え用のアイテムを実装したりと、突然締め付けが厳しくなってきたかのように思います。このイベントからしばらくたって「アイドル対抗フェス」と言う名のまっとうな対戦イベントが実装されたのは8月の末でしたが、この時期にはもう私自身、このゲームへのモチベーションが減衰していました。
また、キャラクターを魅力的に見せようという努力も感じられないゲームでした。キャラとの交流コミュやストーリーモードも実装されているのですがわずかなもの。結果として15人の魅力的なアイドルとの交流を楽しむゲームではなく、一部の懐かしコンテンツ系アイドルだけが目立つものになっていました。現在人気のアプリはキャラクターの魅力を描くため、きっちりしたストーリーを実装しています。歌や3DCGといった部分ではなく、そういったアピールも必要だったのではないでしょうか。
そんなときめきアイドルですが、19日にCD発売記念イベントがあったそうです。また月末にはトキメキチャレンジというライブイベントがあります。ここでなにかの動きがあればよいのですが……そうでなければこのままひっそりと消えていくコンテンツになりかねません。
「オフラインで配信」や「更新が停止したけどアプリはまだ存在している」というのは「いつ消えるかは分からない」の裏返しです。事実「バンドやろうぜ!」というゲームは昨年(2018年)7月31日に更新を停止していましたが、その後今年(2019年)の3月29日にサービス終了するという発表がありました。刹那的な話ではありますがまだ「ときめきアイドルを遊ぶ」という体験は可能です。「サービスが終了したゲームをプレイする」という機会はそうそうありません。ちょっと前にゾンビのアイドルがはやりましたが、生きているのか死んでいるのか分からないゲームを体験するという貴重な体験を、ぜひ皆さんにも味わっていただきたい。最後に私が一番お気に入りの楽曲をどうぞ。
もしこの曲が気に入ったのであれば、ぜひときめきアイドルをダウンロードしてみてください。
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