あの「ときめきメモリアル」シリーズの流れを受け継ぐスマートフォン用ゲーム「ときめきアイドル」が、3月20日についにリリースされました。
発表当初は「片桐さんみたいな女の子がいる!」「ヒロインの1人が『アイドルになってグラディウスの続編を作る』とか言ってる」など、ゲーム好きの琴線を妙に刺激するマニアックな設定が話題になりましたが、果たしてゲーム本編のデキはどうだったのか……? そんなことを思っていた矢先、ちょうどサービス開始日から遊んでいるという「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんから「あまりにもツボにハマったのでレビューを書きたい」という連絡があったので、「ときめきアイドル」の魅力や、随所にちりばめられたマニアックなネタについて解説してもらいました。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
ストレスなく遊べる、ベーシックなリズムゲーム
昨年(2017年)の9月ごろ、コナミが「ときめきアイドル」というアプリの配信を発表しました。「ときめきメモリアル」を思わせるタイトルに加え、流行だったアイドルもののアプリであること、1作目の登場人物を彷彿(ほうふつ)とさせる「片桐」姓のキャラクターや、「グラディウスの続編を作る」というキャラクターの存在、さらに収録曲に「闘え! ダダンダーンV」や「Twin memories W」などの懐かしさをそそる曲が入っていたことなどから、一部のマニアの間では話題になっていた作品でした(関連記事)。
それから約半年。ようやくリリースされた実際のアプリは一体どんなものだったのでしょうか。
ゲームの内容は、自分がプロデューサーとなって15人のアイドル候補生から5人を選んでユニットを編成。リズムゲームをプレイすることで自分のレベルを上げ、アイドル候補生たちの経験値と好感度を稼いでストーリーを進めていくというものです。ゲーム自体はベーシックなリズムゲーを中心とした構成になっており、今まで他のスマホリズムゲーをプレイしたことがあれば特に問題なく操作には馴染めます。
アイドルたちとステージをともにし、好感度を上げることでコミュ(アイドルごとに用意されたショートストーリー)が解放されるのですが、なぜか自分はPなのにアイドルたちと一緒に下校したり、アイドルの呼び方を変える提案をしてみたりとどこかで見たような展開に。また、寮内でアイドルと会話もできるのですが、そのシーンではVRに切り替えることができ、ゴーグルを利用したり、ジャイロモードでプレイしたりすることが可能です。
アイドル候補生の人数が他のゲームに比べて少ない分、衣装やアクセサリが豊富。それらを装備したアイドル候補生を撮影してプロフィールに設置。フレンドに自慢することもできます。その際にポーズや表情を指定できるのですが、追加のポーズや表情はゲーム内で稼げるポイントで購入可能。「さげすまれたいなぁ……」という表情を購入すると「え、そんなのにポイント消費するの」みたいな顔をしてくれるのが実にそれらしいです。
ここまでだけだとリズムゲーム+ギャルゲー的なよくある作品なのですが、特徴的なのは「オートプレイの実装」と「15人全員が踊るメロディアスライブ」の存在です。
オートプレイは1度クリアした曲を自動で演奏してくれる機能。自動だからといって特に報酬が減ることはなく、逆に自分よりうまく演奏するわけでもなく(※直近のプレイ成績がそのままオートプレイ結果に反映される)、リズムゲーのイベントによくある「周回がつらくなってきた」という問題を解消してくれます。
「メロディアスモード」は通常のプレイを重ねることでたまるゲージを消費することで、15人全員が舞台の上で踊るライブを鑑賞することができます。こちらは見るだけですが、今までのリズムゲーでは見られなかった多人数がステージで踊る姿はなかなか見ものです。
とにかくネタが濃すぎる!
アイドルとの濃密なコミュニケーションと、美麗なダンス。軽快で容易なゲームプレイ環境。今までのアイドル育成ゲーム+アイドルものリズムゲームの集大成というのは言い過ぎかもしれませんが、他社作品をよく研究して作られているアプリだと思います。
その上で、マニア向けに濃い要素がどっさりと盛られているのが「ときめきアイドル」の面白いところ。まず、初回にアプリを立ち上げて更新データのダウンロードというのはアプリのお約束ですが、ここで流れる音楽を聞いて変な声が出そうになりました。流れてくるのはモーニングミュージック。コナミのバブルシステム基盤の起動時に流れる曲です。待機時間であるダウンロード時にこの曲を選ぶスタッフのセンスに期待が高まったのは私だけではないと思います。
最初に取り上げた2人のアイドル候補生ももちろん期待に答える濃さ。名字が気になる片桐奈々菜さんは、ちゃんと「ソーファン!」とかいかにもな言い回しをしてくれて期待に答えてくれますし、曲セレクト画面ではギターを持ち出します。「彩のラブソング」のギターゲームが大変苦手だったのを思い出してしまいました。
もう1人の伊澄いずみちゃんはこれまた想定外のコナミマニア。ロード画面の小ネタに「上上下下左右左右BA」のコナミコマンドを持ち出すのは序の口で、モアイネタにやたらとこだわったり、「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」のセリフをネタにしたり。さらに初の登場イベントでは「ラグランジュポイント」をプレイしているところに主人公が出くわすという濃いところを見せてくれます。最初のコミュからこれでどうしようというのでしょうか。
なおこのコミュでは4種類のゲームを彼女と楽しむことができます。野球、サッカー、パズルゲーム、カードゲーム。それぞれ「ああコナミだわ……」と言う作品がめじろ押し。どんなゲームを持ってきてくれるかはプレイして確認していただきたいと思います。また、いずみちゃんは談話室にいるとひたすら「グラディウス」をやりこんでいます。「アイドルになってグラディウスの新作を作ってもらいたい」はダテではありません。
一番マニアックないずみちゃんのネタは、これもロード画面から。「コアラは〜ユウタイ動物〜」と歌いだします。これは1998年に発売されていたCD「月刊ときめきメモリアル」から生まれた「ユウタイ動物のうた」が元ネタと思われます。どこからネタを持ち出してるんだ加減しろといいたい気分になってきました。歌は「コアラも昌也もフクロがあるユウタイ動物 昌也のフクロはどこ? ここだよ!」という感じの大変ひどい歌ですが、作詞作曲歌唱小野坂昌也さんなので仕方がないと思われます。
コナミらしいネタはこの2人から生まれるものだけだけではありません。ガチャからでてくる衣装の名前は全てコナミゲームやBGMに関連する名前。SSRの「シンフォニーオブザナイト」は「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」の英語版タイトル。SRの「クリスタルフォーエバー」は「沙羅曼蛇」のゲームオーバー曲。「コマンド770」は「A-JAX」の1面BGM。「ハートオブファイア」は「悪魔城ドラキュラ」5面のBGMなどなど。また、アイドルのスキルや上限解放を行うためのアイテムも、ツインビーのベルやグラディウスのパワーアップカプセルとなっています。
オールドファン向けの曲については「究極戦隊ダダンダーン」「ツインビーパラダイス」の2曲に加えて「ときめきメモリアル」のグッドエンディング曲である「二人の時」が「二人の時 Side SR」として追加されていたりするのもポイントでしょうか。まさか平成ラストの年(※正確にはもうちょっとありますが)に「めたるゆーき」の名前をスマホの音ゲーで見る時が来るとは、長生きはするものだと思いました。「二人の時 Side SR」と「Twin memories W」は序盤からプレイが可能なのですが、「闘え!ダダンダーンV」はPレベルLV25で解放される曲となっており、まだまだしばらくプレイを続ける必要がありそうです。
これらてんこ盛りの小ネタやオートプレイも含めて「そろそろ音ゲーを遊ぶのはつらくなってきた」という層の人にこそプレイしていただきたいのが「ときめきアイドル」と言うゲームです。皆さんもコメント欄に「合言葉はbee!」とか書いてみませんか?
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