“平成最後の夏”の暑さから考えると、ウソのように冷え込んでいる2018年度の冬。この時期は寒いと分かっていても、体はなかなか慣れないものです。これでは外出するのも一苦労……。
しかし、日本の「最低気温記録」を見ると、そんなグチが吹き飛んでしまうほどの記録がズラリ。富士山の頂上を越える記録がトップ3を占めており、1位の記録は南極レベルの寒さなのです。
国内最低気温記録は「南極・昭和基地レベル」
気象庁のデータによると、国内の最低気温記録トップ20は、ほぼ1つの都道府県が独占。4位に冬の富士山頂の記録(−38℃/1981年2月27日)がランクインしていますが、残りの19カ所は全て北海道となっています。
1位は同道のほぼ中央に位置する上川地方・旭川の-41.0℃。気温が低過ぎてあまりイメージがわきませんが、国立極地研究所によると、南極の昭和基地がこれくらいの気温。沿岸部に位置していることから「一番寒い季節でも−40℃」程度までしか下がらず、同基地の最低気温記録も-45.3℃(1982年9月4日)なのだとか。
南極の話をされても、やっぱりピンと来ない人向け参考情報
冬になると息が白くなるのは「冷たい外気にふれることで、体温であたためられた空気に含まれる水蒸気が、小さな水滴に変わるから」。しかし、この“冷たい外気”が、あまりにも冷たいとかえって白くならない場合があるとか。
日本冷蔵倉庫協会によると、−25℃程度の冷蔵倉庫内の場合、「(吐息に含まれる水分は)水の状態に変化しますが、細かい水滴まで成長する前に、瞬時に微細な氷になってしまいます。そのため、目には見えない」とのこと。
ちなみに、この上川地方は“強豪”ぞろいで、最低気温記録トップ20に入っている北海道19カ所のうち、12カ所がここ。山に囲まれた盆地で寒暖の差が激しく、同地域における最高気温記録は36.0℃(1989年8月7日)に上るといいます。
世界最低気温記録は「ドライアイス用冷凍庫に入るレベル」
視野を広げて「世界の最低気温」を探してみると、すさまじい記録を持っているのは南極大陸。ロシアのボストーク基地は南極の内陸部、標高3488mの地点に位置しており、暖かい時期の月間平均気温も−30℃程度。1983年7月21日に観測された最低気温記録は、−89.2℃だそうです。
これに近い温度の身近なものは、おそらくドライアイス(−78.9℃)。筆者が調べてみたところ、その保管に用いられる超低温冷凍庫は、−70〜−90℃くらいまで対応しているもよう。つまり、寒さの表現に「冷蔵庫の中に入ったみたい」というものがありますが、世界最低気温記録ともなると「ドライアイス用冷凍庫に入ったみたい」な状況になってしまうわけですね。
※「世界最低気温記録は、ボストーク基地付近で観測された93.2℃」とされることもありますが、これはNASAらが衛星のデータから導き出したもの。2013年に各メディアがニュースとして取り上げていますが、測定方法が通常の気温と異なることから「厳密な意味での最低気温とはいえない」という指摘もあります。
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