平成の通勤電車を象徴するサービスといえば有料指定席の導入です。必ず座れる通勤電車として、関東の大手私鉄で続々と導入されました。
最近は京王電鉄の「京王ライナー」(関連記事)や東急電鉄の「Qシート」(関連記事)が登場。2019年現在、関東大手私鉄は全て「座れる通勤電車サービス」を実施しています。
登場順に並べてみましょう。
登場年 | 鉄道会社 | 車名・サービス名 |
---|---|---|
1984年(昭和59年) | 京成電鉄 | モーニングライナー |
1992年(平成4年) | 京急電鉄 | 京急ウィング |
1999年(平成11年) | 小田急電鉄 | ホームウェイ |
2008年(平成20年) | 東武鉄道 | TJライナー |
2008年(平成20年) | 東京メトロ | メトロホームウェイ |
2015年(平成27年) | 京急電鉄 | モーニングウィング |
2017年(平成29年) | 西武鉄道 | S-TRAIN |
2017年(平成29年) | 東京メトロ | S-TRAIN |
2017年(平成29年) | 東急電鉄 | S-TRAIN |
2018年(平成30年) | 京王電鉄 | 京王ライナー |
2018年(平成30年) | 小田急電鉄 | モーニングウェイ |
2018年(平成30年) | 西武鉄道 | 拝島ライナー |
2018年(平成30年) | 東急電鉄 | Qシート |
昭和末期から平成初期の京成電鉄「モーニングライナー」、小田急電鉄「ホームウェイ」はあまり驚きませんでした。どちらももともと有料特急の「スカイライナー」「ロマンスカー」を運転していましたし、朝夕時間帯は通勤通学者の利用も多かったからです。名前が変わっただけという印象でした。
京急電鉄「ウィング」は、有料特急を運行しない京急電鉄の「有料化」として話題になりました。当時は「2扉、クロスシートなのに料金不要が京急の良さじゃなかったの?」と思ったものです。
そして近年。2008年に登場した東武鉄道「TJライナー」は、「必ず座れる通勤電車」がブームになるきっかけとなりました。東武鉄道は、伊勢崎線系統では有料特急を運行していました。しかし東上線系統はTJライナー登場の半世紀以上前に2年ほど休日に走らせた時期があったものの、その後有料特急はありませんでした。
東武鉄道はTJライナーを運行するために、普段はロングシート、有料座席列車になるときだけ座席を2人分ずつ90度回転させて進行方向に向けられる可変シートの仕組みを備えた車両を導入しました。その気合いの入れようも話題となったわけです。
その後、小田急電鉄が夕刻からの下りロマンスカーを「ホームウェイ」と名付け、京急電鉄が朝の上りにも「モーニングウィング」を走らせます。この辺りから「どうも、大手私鉄の通勤電車に新しい流れができてきたぞ……!」とメディアが取り上げるようになり、経営戦略、沿線価値向上なども論考されるようになりました。
それはともかく……。
上記の表の中で、明らかに仲間はずれとなる有料座席があります。どれか分かりますでしょうか?
正解は、新参者の東急電鉄「Qシート」です。
他は全て「列車丸ごと有料指定席」です。東急東横線に乗り入れる「S-TRAIN」(関連記事)も列車単位です。しかしQシートは「車両の一部が有料指定席」なのです。
だから東急電鉄はQトレインではなく「Qシート」と名付けたのです。では、何が違うのか、何がいいのか。「一部指定」のメリット/デメリットをじっくりと確認していきましょう。
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