横山光輝の代表作『三国志』が、電子書籍サイト「ebookjapan」にて全巻無料読み放題中だ。期間は3月21日〜23日の3日間。
『三国志』は、中国の魏・呉・蜀という三国の戦乱を描いた歴史漫画。関羽や呂布などの剛の者たちが戦場を駆け抜けて、雑魚敵を一掃していく姿も読み応えがあるが、登場人物同士の心理戦も見どころのひとつ。騙し、騙されのなかで見られる「むむむ」「くそっ」「ふふふ」「なにい」などのリアクションも特徴的。
今回は、これらのフレーズをピックアップして、誰が多くそれを発言したのかをランキング形式で発表。同時に登場人物の性格がよく表れたエピソードも紹介していく。
カウントのルール
- 吹き出しの中にあるセリフのみをカウント
- 類似ワードもカウント
最多「むむむ」は「乱世の奸雄」が大差をつけてトップ
「むむむ」系は作中で203回確認できた(「むむっ」「むうう」「むむう」「ムムム」も含む)。トップ3には魏・呉・蜀の君主がランクイン。戦況の報告を受けて苦悩した武将がよく使うフレーズ。直後に「どうしたものか」を付け加えると分かりやすい。
また、以下のようなシチュエーションでも「むむむ」がよく出てくる。
君主「○○を斬れい!」
周囲の人たち「お待ちください君主様! ○○をここで斬るのは早計にございまする!」
君主「むむむ」
曹操は、この流れに沿って、曹洪、張松、夏侯淵、張郃の斬首を思いとどまっている。また、突如訪ねてきた謎の老人・左慈の扱いに困り果てるシーンもあった。
拷問を加えられても高笑いを続ける、脱獄して平然と王宮に訪ねてくる、盃の中の酒を真っ二つに切って渡す、という不気味さに翻弄され、「むむむ」2回、「むうう」、「むむう」を1回ずつ漏らす。老人は高笑いをしたまま鶴に乗って飛び去り、曹操は体調を崩してしまった。劉備にダブルスコア以上の差をつけて1位となった。
「くそっ」の多かった男は三国志で最もあきらめの悪かった男
作中で確認された42回の「くそっ」。孟獲は、孔明に何度も捕まっては解放され、そのたびに戦を挑んだ男。7回目の捕縛でようやく戦意喪失していた。「くそっ」を確認できた吹き出しの数は6つだが、孟獲は「くそっくそっくそっ」と3連発の「くそっ」を吐き出して、ギリギリで1位。
10巻で酒の失敗を泣きながら悔いていた2位の張飛は、「くそっ」の6回中3回が酒絡み。深酒で寝ているときに暗殺された。同じく2位の呂布は処刑直前に「くそっ」という言葉で自らの人生を締めくくった。3人とも部下からの評判がよろしくないのが共通点である。
頭脳派が並ぶ「ふふふ」部門 「へへへ」も合算したら武闘派が1位に
「はっははは」「ははは」「わっははは」「おほほ」なども合算すると、394回笑みを浮かべるシーンがあった。戦場で相手を策略にはめてほくそ笑むシーンでよく出てくるフレーズ。3位の孔明は23回のうち7回が司馬懿絡みで出た笑い。秘密兵器の木牛流馬をあえて盗ませたり、こんな陣立ては将校の端くれでもできると面と向かって挑発したり。
58巻でこんな表情を浮かべてしまうくらいに、司馬懿は孔明に追い詰められた。
高い武力を持つ張飛も、伏兵を仕掛ける、敵の策に敢えて乗ってその上を行こうとするなど、知恵を振り絞って戦っていた。その一方で、酒を前にしたときは「へへへ」と野蛮な笑い方をすることも多かった。
余談だが、1988年に発売されたファミコンソフト「三国志 中原の覇者」での、それぞれの知力は、曹操80、孔明90、関羽80、孟獲38、張飛20に設定されている。張飛は、全240人の武将のなかで7番目に低い知力の持ち主であり、計略はなかなか成功しない。
キャプテン翼以上に「なにっ」「なにい」を言う三国志のキャラたち
相手にまんまと出し抜かれて驚いた際に放つ「なにっ」「なにい」。至近距離で相手から貶められたキャラが腹を立てて言いがちなフレーズ。例えば、25巻の闞沢VS曹操の舌戦である。
罵倒を重ねられた曹操は「なにっ」「なにい」と反応するのが精いっぱいで、最終的には「むむっ こやつ なかなか言うのお」と舌を巻いていた。
敵対勢力に驚かされる曹操に対して、劉備は味方に対して「なにっ」を言うことが多かった。孔明から奇抜なアイデアを授かる、黄忠と魏延が敵将2人を捕まえてくる、町奉行としての龐統(ほうとう)の敏腕ぶりに感心するなど、味方の有能ぶりが想像以上であることに対して「なにっ」と驚きを見せていた。
確認できた「なにっ」「なにい」は全部で711回。「なにィ」というセリフが乱発されることで有名なスペクタクルサッカー漫画『キャプテン翼(ジュニアユース編まで)』の総「なにィ」数611を100上回っている。ちなみに同作で最も驚いていたのは日向君で記録は68回。1位の劉備と互角の数字である。
それぞれのセリフを1巻ごとに何回言ったのか。グラフ化してみる
「むむむ」では武将の苦悩、「くそっ」では負けず嫌いなハート、「ふふふ」では知性と欲望、「なにい」は敵に出し抜かれた衝撃と味方への感心が読み取れる。全60巻のうち、これらの要素がたっぷりと詰まっているのは何巻なのか、グラフに表してみよう。
「くそっ」は野蛮な人物にのみ許されたフレーズ。10巻では猛将・呂布が曹操や劉備に追い詰められていく時期で、必死にあがく呂布を忌々しく思っていた張飛も「くそっ」を重ねた。47巻では南蛮王・孟獲の頑張っても頑張ってもうまくいかない苦悩が表れている。
「むむむ」はどの巻数でも万遍なく確認できる。序盤、回数がやや少なめなのは、戦況を慮ることのできる力のある登場人物がまだそろっていなかったから。51巻は敵に寝返ったと疑いをかけられた姜維(きょうい)が孤立無援になる話がメインで、誰も「むむむ」を言わなかった。
作中で394回確認できた「ふふふ」系と611回の「なにい」系。各巻ごとに集計をとってみると、「ふふふ」系よりも「なにい」系が多いが、6巻と48巻のみ「ふふふ」系が上回っている。
6巻は黄巾族の残党が悪党としてはびこっていた時期。民家に乱入して夕飯を横取りするという悪党が「へへへ」を連発していた。それに合わせて「ひーっ」と怯える民も多く描かれていたため、「なにい」は少なめ。48巻は孔明VS孟獲の第4戦。孟獲が新たに招聘した刺客・朶思王や祝融が蜀軍を笑い飛ばした。
「なにい」の場合、曹操のメンタルに陰りが見えてきたころから、グラフの山がやや高くなっている。そのきっかけともいえるのは26巻。赤壁の戦いで敗北して逃げる曹操を甘寧、趙雲、張飛、関羽がそれぞれ追撃。曹操はその際、「わわわ」「げえっ」を2回ずつ、「ひーっ」1回を漏らした。
最も「なにい」を確認できたのは38巻。このころ、謎の老人に翻弄されて体調を崩していた曹操。張郃、夏侯徳が張飛の策略に何度も引っかかり、魏軍全体の士気が低かった。
45巻は劉備と曹操が亡くなった直後で、それぞれの国が君主交代した過渡期。劉禅の統治する蜀では反乱が起き(この知らせを聞いて趙雲が「なにい」と発言)、魏の曹丕は軍師の意見を省みず、蜀との戦争に大敗していた。
ebookjapanで名作『三国志』を読もう!
武力VS武力がぶつかる激しい一騎打ち、知力の高いキャラが筋肉系キャラをもてあそぶ『トムとジェリー』のようなドタバタ劇、『DEATH NOTE』のような知力VS知力の緊張感のある駆け引き。そのすべてが詰まっているのが横山光輝の『三国志』だ。
ebookjapanでの無料読み放題期間は3月21日〜23日まで。全60巻とボリューム満載なので、今から読破するには計画的に読み進める必要がある。
- 無料でまんがを読むなら お得にまんがを買うなら ebookjapan
- 横山光輝『三国志』無料読み放題特設ページ
- ebookjapanアプリダウンロード(Android/iOS)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:株式会社イーブックイニシアティブジャパン
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2019年3月27日