持ち帰りすしチェーンを展開する小僧寿しは3月27日、2018年12月期決算で債務超過に転落したため、東京証券取引所が同社を上場廃止猶与期間入り銘柄に指定したと発表しました。猶与期間は今年末までですが、増資などで速やかに債務超過を解消したいとしています。
以前は全国で2000店舗以上を展開したこともある小僧寿しですが、回転すしなどに押されて経営は低迷。最近は同業の「茶月」を買収したほか、から揚げ店の併設といった新機軸を打ち出して立て直しを図っています。
ですが、から揚げ店の展開が18年9月以降だったため同年中の業績貢献が限定的だった上、デリバリー事業で出店候補となる物件取得が計画通りに進まないなどのつまずきもあり、18年12月期決算では16億7800万円の最終赤字を計上。その結果、10億5700万円の債務超過に陥りました。
債務超過は、会社の資産を負債が上回っている状態のこと。店舗など、資産を全部売り払っても負債を解消しきれないということになります。個人で言うところの借金で首が回らない状態のようなものですから、東京証券取引所は、こうした企業は不適格だとして、1年以内に債務超過を解消できなければ上場廃止にするという基準を設けています。
上場廃止期間の猶与入りに先立ち、ファンドに対する新株予約権の割当契約による資金調達を発表。「小僧寿し」「茶月」のリブランドや、デリバリー店舗の新規出店、コスト削減を進めて収益構造を抜本的に改革するなどし、債務超過を早期に改善するとしています。
小僧寿しは東証JASDAQ上場。時価総額(27日終値ベース)は19億2800万円と、1年前と比べ3分の1近くに落ち込んでいます。
不振にあえぐ小僧寿しは、15年には「経理・決算業務のために必要かつ十分な専門知識を有した社内の人材が不足している」というIR(投資家向け情報開示)を公表し、投資家を驚かせています。一時はラーメン店事業に進出して「麺や小僧」を出店しましたが、うまくいかずに撤退するなど、迷走も目立ちます。今年1月には株主優待制度の廃止を発表して話題になっていました。
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