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全国でこんなに違う「敷金」「礼金」「更新料」 多い・少ないのはどこ?

更新料ないんだ……(都民の感想)。

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 春は就職・進学や転勤など新生活が始まるのに合わせ、マンションなど賃貸住宅への入居が活発になります。契約する時に「敷金」や「礼金」を支払いますが、地域によってその設定が大きく異なるのはご存じですか? 敷金が必要で、家賃の2カ月以上を求められる物件が多い地域がある一方、敷金なし物件が普通という地域もあるなど、その事情はいろいろです。

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賃貸事情は地域でさまざま

 敷金は、退去する際に現状回復するための費用としてあらかじめ預けておくお金です。物件を傷つけたりせずに利用していれば退去時に返還してもらえるはずですが、返ってくる金額で大家さんともめたという話もよく聞きますね。礼金は大家さんに支払うお礼のお金です。このほか、契約を更新する時に支払う「更新料」もあります。

 こうしたお金(一時金ともいいます)は「家賃の○カ月分」として設定されますが、どの程度要求されるのかは地域によってかなりの違いがあります。全国の約18万戸のマンションを調べたという調査結果から実態をみてみましょう。これは、不動産賃貸管理会社の東急住宅リースと、不動産テックのダイヤモンドメディアが、賃料査定システム「スマート賃料査定」を活用して調査したものです。

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一時金の設定が多い地域=ニュースリリースより

敷金

 全国で見ると、敷金あり物件の割合は53.4%と、敷金の有無は半々に近いようです。敷金あり物件の場合、その設定金額は平均1.44カ月でした。「保証会社の広まりによって滞納リスクが低下し、全国的に減少傾向が見られる」といいます。

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敷金の傾向=ニュースリリースより

 都道府県別に見ると、 敷金あり物件の割合が高いトップ3のは(1)福井県(88.7%)、(2)広島県(84.7%)、(3)山形県(84.0%)。敷金あり物件の設定月数は(1)広島県(2.30カ月)、(2)愛媛県(2.23カ月)、(3)長崎県(2.18カ月)の順。両方に入った広島県は敷金あり物件が多く、設定月数も多いということになりますね。

 反対に、敷金あり物件が少ないのは(1)大阪府(21.3%)、(2)福岡県(22.3%)、(3)徳島県(29.6%)。敷金あり物件の設定月数では(1)奈良県(0.99カ月)、(2)北海道(1.04カ月)、(3)京都府(1.16カ月)が少ないトップ3でした。

 敷金は近畿地方で少ないことが知られています。近畿地方では「敷引」(関西地方中心の慣習で、退去時に返金されない一時金)から礼金へと商慣習が変化しており、「敷金を設定するよりも礼金を高く設定するようになったためだと考えられます」(調査結果より)。実際、次に見る礼金は近畿地方で高い傾向にあります。

礼金

 礼金を全国で見ると、礼金あり物件の割合は54.5%。礼金あり物件の設定月数は平均1.36カ月でした。

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礼金の傾向=ニュースリリースより  

 礼金あり物件の割合が高いのは(1)広島県(81.1%)、(2)岡山県(77.5%)、(3)兵庫県(73.4%)。礼金あり物件の設定月数は(1)兵庫県(1.98カ月)、(2)大阪府(1.80カ月)、(3)奈良県(1.76カ月)と、近畿地方がトップ3でした。「近畿地方では、敷引が一般的だった地域で借主の理解を得やすくするため、敷引を礼金へ切り替えたために高い設定になっていると考えられます」(調査結果より)。

 礼金あり物件が少ないのは(1)鹿児島県(11.9%)、(2)岐阜県(14.9%)、(3)北海道(17.4%)。礼金あり物件の設定月数は(1)青森県(0.91%)、(2)山形県(0.97カ月)、(3)千葉県(0.99カ月)と、ほぼ1カ月でした。

更新料

 更新料あり物件は全国で38.6%、その設定月数は0.89カ月──と聞くと、東京では「更新料がないの?」と驚く人が多いかもしれません。

 というのも、更新料は関東地方で高い傾向にあります。更新料あり物件の割合は(1)東京都(72.6%)、(2)千葉県(68.9%)、(3)埼玉県(65.6%)、(4)神奈川県(64.8%)、(5)群馬県(61.1%)──と、関東地方がトップ5。更新料あり物件の設定月数も(1)東京都(1.02カ月)、(2)京都府(1.00カ月)、(3)千葉県(0.99カ月)、(4)神奈川県(0.98カ月)、群馬県(0.93カ月)と、2位の京都府を除けば関東地方です。

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更新料の傾向=ニュースリリースより

 「関東地方では賃貸住宅の需要が高く、更新料が設定されていても競争力が高いため、従来の更新料設定で募集している物件が多いと考えられます」(調査結果より)。人口の集中が進み、賃貸物件の需要が高いむ関東地方ならではのようです。

 反対に、更新料あり物件が少ないのは(1)大分県(6.1%)、(2)宮崎県(6.2%)、(3)北海道(6.3%)。続いて4位に大阪府(8.4%)が入っており、同じ大都市圏でも東京都とは対照的です。

事情は各地でさまざま

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一時金の設定が少ない地域=ニュースリリースより

 調査結果から見ると、北海道に住む場合は礼金はなし、敷金はあっても1カ月、更新料はなし──が普通ですが 広島県に住む場合は8割の物件で敷金・礼金があり、敷金は2カ月以上、礼金は1カ月以上払う必要がある──ということになります。

 転出入など人口の傾向、需要、土地の広さ、歴史に形成された商慣習など、事情はさまざま。調査結果では、敷金は今後も減少傾向が続き、礼金・更新料は、首都圏など転入超過で需要が高いエリアで横ばいが続く一方、転出超過で需要が低いエリアでは減少すると予測しています。

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