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日曜劇場「集団左遷!!」福山雅治が挑む銀行陰謀ドラマを徹底予習、香川照之を筆頭に顔の濃いおじさんパワーが、いよいよ平成を終わらせる(2/2 ページ)

福山雅治が日曜劇場名物「顔相撲」に参戦、香川照之との対決、きっとあるよね。

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ドラマの舞台となる「三友銀行」は新1万円札のあの人とも関係が?

 再び今回のドラマ「集団左遷!!」に話を戻すと、劇中に出てくる銀行は「三友銀行」というが、モチーフになったのはやはり「三」と「友」の字が入る実在の銀行(原作者の出身銀行でもある)かと思いきや、公式サイトの「三友銀行の歴史」と題する年表(相関図から飛べる)を見ると、どうも違うらしい。

 その年表の最初の項に、《1873年 友沢興一が日本で最初の銀行となる 「第一友業銀行(のちの昭和友業銀行)」を設立》とあるからだ。「友沢興一」とはおそらく、つい先ごろ次期1万円札の肖像に決まった実業家・渋沢栄一を、「第一友業銀行」は渋沢が設立した第一国立銀行(のちの第一勧業銀行)をもじったのだろう。

 年表はこのあと、《1880年 三田源次郎が「三田銀行(のちの三田山麓銀行)」を設立》、《1902年 「日本興業法」に基づいて特殊銀行「第一興業銀行」が設立》と続き、戦後の高度成長期のさなか、1968年には《「昭和友業銀行」「三田山麓銀行」「第一興業銀行」が合併。商号を「三友銀行」に変更》されたとある。

 ここに出てくる「三田銀行(のちの三田山麓銀行)」は、安田善次郎により設立された安田銀行が終戦直後に改称した富士銀行を、「第一興業銀行」(実在の第一勧業銀行とまぎらわしいが)は日本興業銀行をそれぞれモデルにしていると思われる。ちなみに実在の富士銀行・第一勧業銀行・日本興業銀行が合併したのは高度成長期よりずっとあとの2002年で、各行の統合・再編によりみずほ銀行、みずほコーポレート銀行が誕生している。なお、現在のみずほ銀行は、旧みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が2013年に合併し、銀行業務を集約する形で新設されたものである。

 日曜劇場の歴代作品でも、企業合併はこれまでたびたび描かれてきた。木村拓哉主演の「華麗なる一族」(2007年)では、北大路欣也演じる関西の地方銀行の頭取が、銀行の存続のため、全国区の都市銀行を吸収する「小が大を喰う合併」を実現した。あるいは、唐沢寿明主演の「ルーズヴェルト・ゲーム」(2014年)では、主人公が社長を務める小さな電機メーカーが、ライバルメーカーとの対等な合併を取引先の大手企業から勧められるも、結局断ってしまう。このとき、唐沢が相談に赴いた山崎努演じる前社長は、過去にも合併を持ちかけられた経験から「この世に対等合併などない。必ずどっちかがどっちかを飲みこむ形になる」と教えていた。

 企業合併はいざ実現しても、出身企業の違いから社員間で対立が生じ、社内がなかなかまとまらないというケースも少なくない。今回のドラマ「集団左遷!!」も、大手メガバンクの本部と、メガバンクに吸収合併された中小銀行系の支店との対立を背景に物語が展開する。

 本作では、福山雅治演じる片岡洋がメガバンクである三友銀行の本部から、吸収された側の銀行=大昭和銀行系の支店に支店長として赴任する。そこで待ち受けるのが、真山徹という旧大昭和銀行出身の副支店長だ。日曜劇場ではおなじみの香川照之演じる真山は、相関図の人物紹介によれば、《喜怒哀楽をあまり表に出さないが、顔の筋肉は良く動く》男で、《片岡にとって敵なのか味方なのかわからない》という。

 2013年放送の「半沢直樹」あたりから、日曜劇場では登場人物らが顔を突き合わせながら激しくやり合うシーンが人気を博し、“顔相撲”などと呼ばれている。なかでも香川はその先駆者であり、横綱ともいうべきインパクトある演技を毎回見せている。どちらかといえば、顔で演技するタイプではない福山雅治が、まずは香川を相手にどんな対決を見せるのか、いまから初回が待ちきれない。

近藤正高

ライター。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)、『一故人』(スモール出版)など。ドラマの背景などを深読みするのが大好き。Twitter

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