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21世紀末、Facebookは49億人の死亡者ユーザーを抱える 死後のデータをどう扱うべき? 英研究

「死者が忘れられる権利」も議論になるのかも。

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 世界最大のSNSであるFacebookが現在のペースでユーザー数を拡大すると、2070年までに死亡したユーザーの数が生きているユーザーの数を上回るだろう──こんな研究結果を英オックスフォード大学が発表しました。21世紀末には死亡したユーザーが最大49億人に達する可能性があるとしており、こうしたデータをどう扱うのか、議論が必要だと問題提起しています。

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例えばある作家の研究者が作家の死後、その作家の裏アカを発掘して研究に役立てるようなことがアリなのかどうかという…… (Photo by William Iven on Unsplash

 Facebookによると、2018年12月末時点での月間アクティブ利用者数は23億2000万人に上っています。オックスフォード大学の研究者は、Facebookのユーザー数データと世界各国の人口や死亡者数などを元に、複数のシナリオから今後の動向を予測しました。

 その結果、Facebookが各国の市場で飽和するまで、年率13%で成長すると想定したシナリオの場合、2100年には死亡者ユーザー数は49億人に達するとしています。この想定ではアジアとアフリカの死亡者ユーザー数が多い結果になっています。ただ、将来の実際の数字はこれを下回るだろうとみています。

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Facebookが各国の市場で飽和するまで年率13%で成長すると想定した場合の死亡者ユーザー数の予測。アジアとアフリカの死亡者ユーザー数が多い=論文より

 オックスフォード大学インターネット研究所の研究者は「これは新しくて困難な問題を引き起こします。これら全てのデータにアクセスする権利があるのは誰なのか、故人の家族や友人の最善の利益のためにデータはどう管理されるべきなのか、そして未来の歴史家が過去を理解するためにこれらのデータをどう扱えるようにすべきか、という問題です」と述べています。

 Facebookが持つ膨大なデータを処理できれば、未来の歴史家は21世紀の人々が何を考え、どのような社会だったのかをつぶさに知ることができるでしょう。一方で、こうしたデータを保持するためのコストや、そもそも死者のデータをFacebookが保持すべきなのかという倫理的問題もあります。研究者はまた、Facebookは代表的なSNSとして挙げたに過ぎず、オンライン上の死者のデータについての議論を急ぐべきだと指摘しています。 

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