総務省は8月2日、2018年度のふるさと納税制度の実績を公開しました。受け入れ額の自治体別トップは大阪府泉佐野市で総額約498億円、受け入れ件数は約250万件に上り、1自治体だけで全国の約1割を占めました。ただ、同市は6月からの新制度ではふるさと納税の対象から除外されています。
泉佐野市に続く2位が静岡県小山町(約251億円)、3位が和歌山県高野町(約196億円)、4位が佐賀県みやき町(約168億円)でした。この4市町はそろって新制度から除外されています。
ふるさと納税制度では、過度な返礼品で寄付を集める自治体が続出しているとして問題視され、新制度では返礼品を「調達額が寄付金の3割以下の地場産品」に限定するなど厳格化。さらに総務省が審査して対象自治体を指定する形にした結果、4市町が外されることになりました。
ふるさと納税の全国の受け入れ額は、総額約5127億円(前年度比約1.4倍)、受け入れ件数は2322万件(同約1.34倍)に伸びました。全体の10%程度を泉佐野市が占めている計算になり、都道府県別で受け入れ額が突出している大阪府(656億円)も、その76%が泉佐野市の分です。
返礼品の調達費や決済システムに関連する費用など、ふるさと納税の募集にかかった経費は総額2820億円。受け入れ額の55%が経費として使われていることになります。
ふるさと納税制度では、寄付額から2000円を引いた額が所得税と住民税から控除されます。ふるさと納税制度で19年度に住民税控除が適用されるのは約395万人、控除額は総額約3265億円でした。適用者が最も多いのは東京都で約84万人、納税額は計約1240億円、控除額は計約868億円となっています。
住民税が控除される額の自治体別トップは横浜市で、約137億円に上ります(適用者数は約19.4万人)。次いで名古屋市(約81億円)、大阪市(約74億円)、川崎市(約57億円)、東京都世田谷区(約53億円)と、住民税が“流出”する自治体は大都市圏が占めています。
こうした自治体は受け入れ額が少なければ、差し引きで減収になります。減収分の75%は地方交付税で補てんされる制度になっていますが、東京23区や川崎市など不交付自治体のため、そのまま歳入減になってしまうため、行政サービスの低下につながる懸念も指摘されています。
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