英国の博物館を観光で訪れた女性が、アトラクションとして設置された赤外線サーモグラフィカメラに写った自身の画像に違和感を覚えて病院で診断を受けたところ、乳がんであることが分かりました。偶然の発見に、女性は「人生の転機になった」と感謝を述べています。
英国スコットランドのエジンバラにある博物館「Camera Obscura & World of Illusions」は、多様なカメラやトリックアートを展示する観光地として知られています。2009年から赤外線サーモグラフィカメラを設置。皮膚の温度に応じて色が変化するので、体の温かい部分を目視できるアトラクションとして来館者を楽しませています。
同館が公開した来館者バル・ギルさんの報告によると、彼女は2019年5月、子どもたちの休暇に合わせてCamera Obscura & World of Illusionsを訪れました。館内に設置されたアトラクションを順々にめぐり、赤外線写真を撮影できる部屋にたどり着きます。他の家族がしているように赤外線サーモグラフィカメラで撮影。出来上がった写真を目にして、自分の左胸だけ色が変わっていることが気にかかったものの、続く他のアトラクションを楽しみました。
ギルさんは後日、家に帰ってから写真を見返していると、再び赤外線写真に目がとまります。Googleで検索をするうち、赤外線サーモグラフィカメラが腫瘍検査に使われていることを知り、病院を予約。診療の結果、乳がんであることを知ったといいます。
この発見についてギルさんは「ただただ、カメラに感謝です。あれがなければ、乳がんだと気付くことはありませんでした」と語っています。また、「アトラクションの意図するところではないものの、私にとっては博物館を訪れたことが人生の転機になりました」と思いを明かしました。
Camera Obscura & World of Illusionsの責任者アンドリュー・ジョンソンさんは「博物館のカメラが病気を発見し、人生の転機になるとは思いもしませんでした」と予想外の出来事に驚き、「彼女の回復を心から願っています。そして再び彼女と家族の皆さんにお目にかかれることを望んでいます」と語りました。
今回、乳がんの発見につながった赤外線サーモグラフィカメラは生体を傷つけない医療器具として検診に使用されていますが、2019年2月のFDA(アメリカ食品医薬品局)の発表では、マンモグラフィーの代わりになるものではないと警告しています。
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