失業率が1%上昇すると、腰痛を抱える人が少なくとも全国で77万人増えるかも──こんな研究を東北大学大学院歯学研究科が発表しました。失業率と腰痛を抱える人には関連があり、女性のほうが影響は大きいという結果だったとのことです。
研究では、厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」に回答した18歳以上〜65歳未満の労働者人口に当たる約100万人を対象に、政府の統計で公表されている都道府県単位の完全失業率が腰痛と関連があるかどうかを検証しました。
その結果、18歳以上の労働者人口について、都道府県単位の完全失業率と腰痛に関連があることを確認。失業率が1%上昇すると、腰痛の人は少なく見積もっても全国で77万人増える可能性があるとのことです。また、影響は女性で1.02倍増大することも分かったとしています。
ちなみに、腰痛を抱える人の率は2010年に9.8%、13年に9.7%、16年に9.4%でした。
理由として、「失業率が高くなると、経済的な不安が“伝染”してしまい、その結果、医療機関への受診を控えてしまう」ことが考えられるとしています。
女性の方が影響を受けやすいのは、「女性の方が男性と比較して社会的に低い職位が多いこと(管理職が少ない)、いまだに結婚や出産に伴う離職が他のOECD諸国と比較しても多いことによる経済的な不安定さを反映している可能性が考えられる」としています。
地域の社会経済状況はそこに住む人の健康に影響を及ぼしている可能性があり、地域レベルの失業率が労働者人口の死亡率やうつ症状などと関連することが報告されているとのことです。
腰痛は要介護状態につながり、健康寿命を縮める症状の1つ。安定した経済政策と雇用に関する男女格差の是正が対策になる可能性があり、失業率の高い都道府県では予防を含めた積極的な取り組みの重要性が示唆されている、としています。
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