JeSU、物議を醸した「プロライセンス制度」の説明文を掲載 “ライセンス外の賞金制大会”は「実施できる」
プロライセンス制を介しない賞金制大会が実施できる可能性にも言及しています。
日本eスポーツ連合(JeSU)は12月2日、サイト上に「プロライセンスについて」と題する文章を掲載し、議論を呼んでいたプロゲーマーライセンス制度について見解を明かしました。
プロゲーマーライセンス制度はその是非を巡って発表当初から物議を醸しており、2018年末にももち選手が賞金約50万円を10万円に減額される問題の他、「東京ゲームショウ2019」でもジュニアライセンスの規定やライセンスを取得していないことを理由に本来の賞金が授与されない問題が発生。こうした流れ受け、ネットでは「ジュニアライセンスでも賞金を支払うべき」「仕事の報酬としてなら賞金を支払うことができたのではないか」との声があがるなど、炎上状態となっていました。
今回発表された見解によると、JeSUは法的に問題ない賞金制大会を開催し続けるために各省庁と話し合いを続け「JeSU公認プロライセンス制度」を考案。賞金を仕事への対価とする形も模索したものの、「賞金が仕事の報酬等として認められる条件について具体的な見解がまとまっていなかったため、各社がリスクを負って賞金制大会を開催せざるを得ない状況だった」とし、ライセンス制度によって「選手の活動が仕事であること」を明確にすることで賞金制大会の実現を目指したとしています。
また、ジュニアライセンス所持者は原則賞金を受け取ることができない問題についても説明。年少者がeスポーツに取り組める社会環境が整備されていないこと、義務教育の過程にある中学生が日々の生活の中、賞金を受け取ることが社会的に広く受け入れられている訳ではないことなどから「高額な賞金を提供することのデメリットについては慎重に考慮すべき」という結論に至ったとしています。
JeSUはライセンス制度外で開催される賞金制大会についても消費者庁から回答を得たとしています。それによると「一定の方法で参加者を限定した上で大会等の成績に応じて賞金を提供する大会」であれば高額賞金も「仕事の報酬等」として認められると考えられるため、「予選の順位、過去の大会における実績又は当該ゲームにおける一定の能力や経験等、所定の審査基準に基づいて決勝大会の参加者を限定する方法により、景品表示法の規制を受けない大会は実施できるとも考えられます」とプロライセンス制を介しない賞金制大会が実施できる可能性にも言及しています。
なお、東京ゲームショウ2019で賞金500万円が10万円に減額されたももち選手も、この見解の掲載と同時にプロライセンスを取得したことが明かされています。
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