世界文化遺産都市を駆け巡る「かわいいプラハの路面電車」ディープな歴史とその魅力に迫る(3/3 ページ)
魅力的すぎるレトロなトラムもたくさん。チェコ共和国のプラハ市交通博物館とプラハ市電に「乗り鉄」してきました。
ウクライナで活躍する「KT4形」、近代的になった「KT8形」、最新の「15T形」
定番のT3形が製造されている間もタトラカーは進化し続けました。1974年に登場した連接車「KT4形」は2車体2台車という珍しい構造を採用。屋根上でも結合されているので2軸車独特の横揺れがありません。
KT4形はウクライナのリヴィウ市電で活躍しています。KT4形は輸出用に製造されたことから、プラハ市電では走っておりません。
1984年、さらなる輸送需要に応えるために3連接車の「KT8D5形」が登場しました。KT8D5形は改修や改造を受けながら、現在(2019年12月)も活躍しています。プラハ市交通博物館に展示されている車両は、KT8D5形登場時の貴重な姿。現在は屋根上にある系統表示機がありません。
KT8D5形のもう1つの特徴は「反対側にも運転台がある」ことです。他の車両は反対側に運転台がないのでループ線を使って折り返しますが、KT8D5形はその必要がありません。
さてチェコは1989年に共産党政権が倒れ、1993年にスロバキアと分離独立。2004年にEUに加盟し、現在に至ります。
2019年現在のプラハ市電の最新車両は、2008年に登場した「15T形」です。3連接車のノンステップ車両で、乗り降りはスムーズです。以前2015年の訪問時と比べると、確実に車両数が増えていました。
今回訪れたプラハ市交通博物館は4月中旬〜11月中旬の土休日に開館(平日と11月中旬から翌年4月中旬までの冬季は休業)。最寄りの電停は「Vozovna Stresovice」。入館料は大人50チェコ・コルナ(約236円)、小人30チェコ・コルナです。
プラハに行けばプラハ市電の車両を見ない日はありません。プラハ観光へ行くならば、ぜひ「ディープなプラハ市電の世界」にも浸ってみてくださいね。
新田浩之(にったひろし)
1987年神戸市生まれ。関西大学文学部卒、神戸大学大学院国際文化学研究科修了。主に鉄道と中欧、東欧、ロシアの旅行に関する記事を執筆。2018年からチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」を務める。
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