カニを食べるのって難しいですよね。SNSを中心に「福井県では学校でカニの食べ方を習う」という話題が盛り上がりました。福井県民がその思い出を語っているように、福井県では県内全ての中学3年生にセイコガニ(ズワイガニのメス)を提供し、生態や食べ方を学ぶ授業を行っています。この取り組みについて福井県に聞きました。
――福井県にはカニの食べ方を学ぶ授業があるというのは本当ですか?
県担当者:本当です。2010年度から実施していて、2019年度も実施しました。2020年度はまだ予算が決まっていませんので未定です。
――カニアレルギーをもつ生徒は代わりにサバ缶がもらえるという話も本当ですか?
県担当者:本当です。カニアレルギーの生徒は実際にいまして、その生徒たちが何ももらえないのは不公平だろうと考え、サバ缶を選択できる形にしています。サバ缶というか、サバ自体が県の名産ですので。
――アレルギーじゃなくても、サバ缶を選択できるんですか?
県担当者:選択できますが、実際問題としては、みんなカニを食べたいので、カニを食べられる生徒がサバ缶を選ぶと言う話はあまり聞いたことがありません。
――授業に対する生徒たちの反応は?
県担当者:おもしろがってくれています。福井県の子どもでも、家庭でカニを食べる風習は少なくなってきています。漁村周辺では食べたことがある生徒もいますが、福井市中心部や海から離れた地域では、カニを食べたことがないという生徒も多いです。初めての場合、簡単には食べられないので、悪戦苦闘しながらやっています。甲羅をお皿代わりにして、キレイに盛り付けてから食べます。食べるときには、おいしいおいしいと喜んでいます。
――福井県民なら、できるのが常識ということでもないんですね
県担当者:できない人も多いですね。セイコガニは、教えてもらって初めてわかるようなことがあるんです。セイコガニは小さいので、身をパクパク食べるのではありません。身も食べるのですが、それよりも内子を食べます。内子は卵巣のことで、これが非常においしい。けれども、わかりにくいところにあるので、知らないと発見できずに捨ててしまうことがあります。ですので、ここにたくさん卵巣があるから、こうして食べるといいよと教えてあげると喜んでもらえます。
――どういった目的で実施しているんですか?
県担当者:福井でも、魚離れが進んでいます。それを防ぐためのきっかけ作りとしてやっています。福井は県の魚として越前カニを指定しているので、県の代表的な水産物であるカニの食べ方を知ってもらって、地元の食材への愛着、ひいては郷土愛を育むと、そういう趣旨でやっています。
――地元とはいえ、カニは結構お高いのでは?
県担当者:高いですね。ですから、オスガニ(ズワイガニ/越前ガニ)は配れません。メスガニ(セイコガニ)は、最近、少し高くなってはきましたが、それでも1匹1000円前後で調達できます。ですので、セイコガニを提供しています。
――カニ以外の魚を使った取り組みはあるのでしょうか
県担当者:県レベルではないですが、市町レベルならやっているところがあります。小浜市はトラフグの養殖が盛んなので、フグを使った給食があります。
――ほかの自治体で、カニの食べ方授業をやっている事例は把握していますか?
県担当者:あります。全県レベルでやっているところはないはずですが、市町村レベルでやっているところは、たとえば石川県にもあります。
――北陸は海産物がおいしいのでうらやましいです
県担当者:そうですね。ぜひ、遊びにいらしてください。
福井県でカニの食べ方の授業があるというウワサは本当でした。学校でのご当地ネタでは、新潟県十日町市で「藤原豆腐店サラダ」が給食に出た(関連記事)、青森県ではりんごの品種を見分ける下敷きが配られる(関連記事)などが、以前に話題になりました。探せば、まだまだ他にもいろいろなご当地授業がありそうです。
(高橋ホイコ)
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もはや食べ物ですらない。