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「修学旅行中の飲酒=不祥事」はよく考えると微妙な問題? 現役中学教員に聞く“仕事としての修学旅行”(1/3 ページ)

楽しい学校行事の代表格・修学旅行。教員視点ではどう変わる?

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 公立中学の現役教員に「日々働くなかで感じる学校の課題」を語ってもらう連載企画。今回は「仕事としての修学旅行」について、Aさん(仮名)にインタビュー。生徒にとっては楽しいイベントの代表格ですが、教員視点ではどう変わるのでしょうか?

新幹線のために早朝から移動 → 深夜は旅館の見回り



―― 修学旅行中の教員のスケジュールってどんな感じ?

 朝はめちゃくちゃ早い。

 関東の場合は京都・奈良に行くことが多くて、新幹線に乗るのは午前7時半とかかなあ。基本的には何両か貸し切って移動する形になるから、他の利用者が少ない時間帯でないといけない。でも、夜中だと移動だけで1日が終わってしまう。だから、「朝早くに移動する」という選択になるんだろう。

 で、その時間帯に新幹線の停車駅に着いているためには、さらに早い時間帯に地元の駅に到着している必要がある。このあたりは学校がある地域などにもよるのだけど、「3時台に起きて、5時に地元の駅到着 → 生徒たちが始発間もない電車に乗れるように誘導」なんて場合もある。

 まあ、修学旅行前日は生徒の授業が早く終わるし、部活も休みにすることが多いから、教員も早めに帰れたりするんだけどね。おかげで寝る時間はある……とはいえ、個人的なことを言うと、こういう“絶対に寝坊できない状況”は緊張しちゃって寝た感じがしない(笑)。

―― 教員の仕事特有というより、イレギュラーな早朝スケジュール特有の苦労かもね

 修学旅行1日目のよくあるコースは、まず奈良の大仏を見る。それから班別行動で東大寺周辺をまわって、17時ごろには集合場所へ行く。ここは京都駅だったり宿泊先の旅館だったり、学校によってマチマチかな。

 その後、夕飯を食べてお風呂に入って……問題は夜だ。自分が割り当てられていない部屋に行ったり、ヒドいと旅館を抜け出したりする生徒が現れるから、荒れている学校なんかだと男性教員がほぼ夜通しで見回りをする。

 俺も深夜2時くらいまでやった経験があるよ。最初に言ったように、移動のために早朝から動いているから、20時間以上ぶっ続けで働いていた計算になる。一応、新幹線で仮眠くらいは取れるんだけど……とはいえ、楽ではないよね。

―― 夜が明けて、修学旅行2日目はどんな感じ?

 朝6時に起床。朝食を食べて、8時くらいから生徒は班別行動。以前の記事でも話したように、近年は京都の観光客が多過ぎて電車やバスが利用できないから、生徒の移動はタクシーが主流。で、俺ら教員はチェックポイントに行って、生徒が来るのを待つ。立っているだけの時間が長いから、2日目はわりと暇かな。

 ただ、その日も夜の見回りがあるから、遅くまで就寝できない。昼間、生徒が来ないタイミングを見計らって、どこか適当なところでちょっと仮眠を取ったりするよ。

 もしも金閣寺のような有名な観光スポットで「どうしてあんな場所に座って、寝てるのかなあ」という人を見掛けたら、たぶん修学旅行を引率している先生だと思う(笑)。

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