どんなものでも突き通せる矛で、あらゆる攻撃を確実に防ぐ盾を突いたらどうなるか。よく知られた故事「矛盾」の一節で、テレビ番組などでもこれに似たような企画が時々見られます。さて、今回ご紹介する漫画は、ターゲットを絶対に殺す凄腕の殺し屋と、絶対に死なない女の子を描いた「不死身KILLERS」というお話です。
殺人に関するあらゆる技術と知識のみならず、超人的な身体能力までも兼ね備える凄腕の殺し屋「ろっ骨」の元に、奇妙な依頼が舞い込んできました。それは「キョウ=マキシマ」という、年端も行かぬかわいらしい少女の殺害依頼でした。超一流のろっ骨には物足りない内容に思えますが……なんと50人もの殺し屋が彼女の殺害を断念している、と言うのです。
依頼を受けてから3時間後、ろっ骨はキョウのお屋敷へ突入。キョウの頭に銃弾をぶち込み、迅速に任務を完了……したか思いきや、彼女は即座に立ち上がり「今日の殺し屋さんはずいぶん乱暴なんだね」と、余裕の微笑みを浮かべました。キョウは幼少の頃に大病を患ったことから、父親である天才薬学者・マキシマ博士の施した治療によって不老不死の肉体となり、110年もの時間を同じ姿で生きていたのです。
実は「キョウ=マキシマの殺害依頼」自体、すべてキョウ自身が出したものであり、彼女は自分を殺してくれる人を探していたのでした。50人もの殺し屋が“殺害を断念”してきたのには、こういう理由があったのです。
ろっ骨はなんとかしてキョウを殺そうとするのですが……彼の全力をもって何をどうやっても彼女は死にません。万策は尽き、時間は過ぎて夕飯時になり、2人はなんだかんだで一緒に楽しく食事をします。
お風呂もごちそうになったろっ骨は、湯船に浸かりながら「産まれてからずっと1人で生きてきて、誰かに優しくしてもらったこともない」という、つらい半生を思い出すのでした。
遺書をしたためるキョウと、それを眺めるろっ骨……そこへ謎の部隊が乱入し、キョウは連れ去られてしまいます。犯人たちは、不老不死の少女は商品価値が高いと言い、もう売り先まで決めてしまっていました。
1人取り残されたろっ骨は、その場を立ち去ろうとするのですが……彼女の遺書が目に留まり、それを読み進めます。遺書には「両親も友達も皆死んでしまった。早く死んで皆の所へ逝きたい。でも今日は、もう少し生きていていいかもと思った」と、ろっ骨への感謝の言葉がつづられていました。読み終わると同時に、ろっ骨は走り始めます。
そしてろっ骨はキョウを助け出すのですが、あくまでも「お前は俺が必ず殺すんだ」と、殺し屋の立場を崩そうとしません。きっと2人は奇妙な共同生活を送るのだろう……と思いきや、キョウ自身が世界中に出した殺害依頼によって、「100万ドルの賞金首」となった彼女を狙う輩は後を絶ちません。それでも「不死身の少女」と「凄腕の殺し屋」なら、今後もなんとかやっていきそうです。
作者は漫画家の熊田龍泉(@asahinoboru888)さん。月刊ヒーローズにて『それでもペンは止まらない』を連載中です。「不死身KILLERS」は過去に『週刊少年ジャンプ増刊』に掲載された読み切り作品。熊田さんは同作をTwitterに投稿するにあたって「反響があれば続き描きます」とのコメントを添えており、続きを熱望するリプライが多く寄せられています。
達成率100%の殺し屋と不死身の女の子の話「不死身KILLERS」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 少女は“エサ”のはずだった……人を殺すために生まれた化物が不死身の少女に出会って愛情を知る漫画に涙腺崩壊
無声映画のような世界観に引き込まれます。 - 死なないマフィアのボスと少女の殺し屋 不思議な関係を描いた漫画に「好き」の声集まる
懐の深いボスと、幼いころから殺しの作法を叩き込まれてきた少女の話。 - 「感情」を知らないクローンの少女が愛情を見つけ出す物語 「レナの幸せな時間」に「涙があふれた」の声
生まれた目的が生きる目的になる感動的なお話。 - なぜ少女ロボットは傭兵の盾になろうとしたのか “相棒”の絆を描いた漫画に涙
人間のような感情をもったロボットと、彼女を道具以上に大切に思う人間の絆のおはなし。 - 殺してしまった少女に108年かけて償う少年の物語 漫画「108年走馬灯人生」に「泣ける」「鳥肌が立った」
あの世に行くまでに108日間の「死亡猶予」の間に、運命を覆そうと過去を繰り返す物語です。