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苦渋の決断で営業自粛 “オタクのための美容室”は新型コロナ禍をどう乗り切ろうとしているか

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 「切実なお願いがございます」――新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月頭から営業を自粛しているオタクのための美容室「OFF-KAi!!」が、店舗継続のためにサービス半額券を発売し、利用客に協力を呼びかけています。


OFF-KAi!!

 OFF-KAi!!は秋葉原と池袋(東京)、大阪に店舗を持つ美容室。オタクな美容師さんに施術してもらいながらアニメやゲームの話ができる美容室です。秋葉原と池袋の店舗は4月2日から営業を自粛しています(大阪店は対策を取りながら営業を継続)。

 「存続の危機に陥ることはまだ先」としつつも、「この状況が半年も続くと正直どうなるか分かりません」として同店が販売しているのは、カット半額券、トリートメント無料券など、営業再開時に半額や無料でサービスを受けられるチケット。また、“支援”として購入できる「くっコロ(くそったれなコロナをぶっ飛ばせ)券」(ポストカード付き)も販売しています。


サービス半額券や「くっコロ(くそったれなコロナをぶっ飛ばせ)券」を販売

 理美容業者には自粛要請は出ていませんが、それでも自粛に踏み切ったOFF-KAi!!。その理由や、営業継続のための施策などを代表の茂木賢太さんに聞きました。

いち早く自粛に踏み切った理由

 同店に新型コロナウイルスの影響が現れ始めたのは2月末ごろ。そのころから客足が遠のきだした感覚があったといいます。うるう年だったため例年の2月よりも売り上げが期待できたはずが、想定を下回る結果に。3月は2店舗合計で予想売上の15%減ほどだったとのこと。「3月は新生活が始まり東京や関東近郊に人が集まりだす時期ですが例年に比べご新規の数も半分以下でした」と茂木さんは語ります。

 4月1日に感染拡大防止のため「4月2日から14日まで秋葉原店・池袋店で営業自粛する」と発表したOFF-KAi!!。早い段階で営業自粛に踏み切ったことについて、茂木さんは「3月末から明らかに客数が落ちてきて、このままの売り上げで営業するよりは感染拡大を防止する方向へ動いた方がスタッフや世のためになるかと感じ苦渋ではありましたが決断しました」と述べています。


OFF-KAi!!店内の様子

 4月10日の小池百合子都知事の発表では、理美容業者は自粛要請の対象になっていません。しかし、OFF-KAi!!は「この2週間が大事だと思いますので」と15日以降も自粛を続ける予定といいます。

 「緊急事態宣言の解除、または感染者数が減少に転じてくるか、経営的に限界が来たら営業再開になると思います。再開後もこまめな消毒や同時施術人数の制限など、できる限りの予防対策をしつつ営業を行っていくつもりです」(茂木さん)

半額券の狙い、美容師への待遇は

 自粛で収入がない中、始めたのが半額券などの販売。「店舗継続を維持しながら営業自粛ができる方法はないか」と考えた発案したものだといいます。「売り上げの前借ではありますが、当店のようなあまりないコンセプトの店舗ですと有り難いことにたくさんの方から『無くなると困る』といった声をいただけます」と茂木さん。初日でサービス券は100枚ほど売れたそうです。 

 また半額券以外にも、以前に作ったクラウドファンディング用のグッズなどを現在のサイトで再販するかを検討中だとしています。

 国や都による支援の利用について聞いたところ、これから持続化給付金と雇用調整助成金か一世帯30万円現金給付の申請を予定しているとのこと。所属の美容師については、自粛中も基本給を支給予定。ただし、「一世帯30万円現金給付」を受給してもらう場合は減給するかもしれないとしています。


OFF-KAi!!店内の様子

 営業自粛中、美容師はどう過ごしているのか。茂木さんに聞いたところ「営業自粛直後にスタッフ全員に営業再開後のサービス向上のために漫画、アニメ、ゲームに興じるよう指示を出しております」とのこと。実際に確認したところ、以下のような過ごし方をしているそうです。

  • 春アニメのチェック
  • 積んでいた漫画の消化
  • ソシャゲのプレイ
  • オンライン飲み会
  • ガンプラ制作
  • Skypeなどを使ってカードゲーム
  • Vtuberの配信視聴
  • FF7リメイクのプレイ

 最後に、茂木さんから利用客や同業者に伝えたいことを聞きました。

 「まずは営業自粛にお付き合いいただいておりますお客様各位に感謝申し上げます。また、営業再開したら必ず伺います等のお言葉もいただきまして大変励みになっております。いつ終息するかもわからない未曽有の状況ではありますが我々はスタッフ、お客様ともに自宅待機が得意なジャンルの人種だと思いますので精一杯自宅待機に励みましょう」

 「また同業者の皆様、現在美容業界は今までに直面したことのない事態に陥っています。特に経営者の方々はさまざまな問題が短期間のうちに発生して対処に追われてることと存じます」

 「その中でも営業自粛をする店舗、感染症対策を行いながら営業を続ける店舗、何が正解かわからずさまざまな要因に鑑み都度決断を迫られているでしょう。特に理髪店は自粛要請から除外され、より決断が難しい業種となっておりネットなどでもさまざまな意見がありますが、経営者として信念のある決断であればどのような決断でも間違いではないはずです」

 「会社の経済面、政府の意向、感染症の拡大状況、理髪店の責務である公衆衛生を保つ宿命、全てを考慮して極論にならない位置づけで結論を出す必要があります。若輩者の自分に言われずとも皆さん承知ではあると思いますがここさえ耐えることが出来れば必ずお客様はご来店いただけるはずですので、厳しい状況ではありますが自分で出した決断を信じて乗り越えていきましょう」

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