「ビックリマン」シール裏テキストのセンスがあまりにもぶっ飛び過ぎていて感動するしかなかった、という話:今日書きたいことはこれくらい(2/2 ページ)
なぜビックリマンは当時あれほどの社会現象になり得たのか?
一見独立しているように見えるテキストが、実はつながっていたという驚き
実は小学生当時、私「友達のビックリマンのフレーバーを写させてもらって、いろいろ読み比べて何について語っているのか読み解く」という遊びをしていたことがありまして。
当然ながらかなりの部分散逸しちゃってるんですが、一部だけ実家にありました。多分昔の「小学四年生」のおまけだと思うんですが、ドラえもんの「記者手帳」ってものがありまして、ここに書いた分だけ残ってたんです。これ出たの何年くらいですかね? 1984年くらいでしょうか?
実家の段ボール箱の中に眠っていまして、こういう愚にもつかない落書きも残っていたんですが、
一部にはビックリマンのフレーバーメモが書いてあるページが残ってまして。すいません、字がひどいのは見逃してください。今もこんな感じです。
予定・計画のところに予定でも計画でもないもの書いてますけど、子どもがやることなんで広い心で見るべきだと思います。昔こういうの書いてたんですよ。ノートに何十ページも。
これですね、多分普通の人には読めないと思うんで解説しますけど、第7弾天使の「お寺之DON」と「上御殿」のフレーバーがメモってありまして。これ、どっちも「聖神皇に何かをインプットした」ってことが書いてあるんですね。
聖神皇って何? っていうのは、第7弾の天使ヘッドのフレーバーを見ると分かります。
そう、ブラックゼウスに対抗するために作りだされた聖ボット、ヘラクライストです。
このヘラクライストって、当時「誕生後」「パワーダウン状態」「パワーアップ状態」の3つのシールイラストが出てまして、「十二天使が創造した」「理力を注ぐとパワーアップする」「ただし少しでもバランスが崩れるとパワーダウンしてしまう」というフレーバーがあったんです。で、第7弾の天使12体が、そのままここでいう「十二天使」であって、それぞれが何をインプットしたのか、ってのがフレーバーテキストを見ると全部わかったんです。上御殿がインプットしたのが愛心回路、ピーコック帝子が注入したのが聖カラーシステム、みたいな。
ちなみにこの十二天使の中には、後に7神帝の一人になる「一本釣帝」も含まれています。
今でこそビックリマンのストーリーって公式サイトにもまとめられてますし、あとから全部振り返ることもできますけど。当時は、アニメも毎週見れるわけでもないしコロコロも毎月買えるわけでもない。
そもそもいろんな情報が錯綜(さくそう)しててどれがどれやら、って状況の中で、よくよくフレーバーを読んでみると「あ!! これって実は、ちゃんとストーリーの説明になってるじゃん!!」って気付いたときの衝撃たるや。ヘッドと天使、お守り、悪魔、全部のフレーバーを読んで初めてストーリーの全体像が分かるんだ、って感動すると同時に、自分が持っていないカードのフレーバーまで全部読みたくなったんですよ。
で、周囲の友達に頼み込んで、自分が持ってないカードのフレーバーを写させてもらいまくってたわけです。それでもコンプリートするのは到底無理だったんですけどね。
ここでもう一度、ヘッドロココのフレーバーテキストに戻ってみましょう。
幸七羽毛(こうしちフェザー)で守護(プロテクト)されたロココは聖火鳥飛速(せいかちょうひそく)で魔炎突破(まえんとっぱ)! 聖光道(ビームロード)完成で神帝脱出(じんていだっしゅつ)なるか?
悪魔界のウワサ 超悪魔渦重合(ウルトラデビルうずじゅうごう)で魔穴(デビルホール)発生! 神帝1(じんていワン)が消え去った?
ここで言う「幸七羽毛(こうしちフェザー)」って、実は同じ第9弾のお守りカードのフレーバーに書いてあるんですね。しかもそれがちょうど7枚。
ヤマト神帝のお守りカードである「酔助」のフレーバーがこんな感じ。
イ〜リャ〜ンサン酔と悪棍鬼を掛声と共に参らせようと杯水の構えでガンバ! トントン拍子を狙って幸七羽毛結助スタート!
小気味よいテンポにさり気ない駄じゃれ、この素晴らしいセンス。それはそうと、これと同じように、神帝のお守りには全員幸七羽毛についての記載があります。つまり、「お守り7人の力によってロココがパワーアップしたんだな」ということが読み取れる。「恐らく、最終武装ロココが額につけている7枚の羽根のことだな」ということまでフレーバーだけで分かっちゃうんですよ。
一方、同じくヤマト神帝に対する悪魔カードである八魔鬼(やまき)ングにはこんなフレーバーが。
恐ろしい程の魔突風に乗り合身体になった悪棍鬼。超八ぶにらみ魔眼で魔心を打ち込もうと向きを定める。悪魔渦(デビルうず)回転開始
悪魔渦!! こっちに記載あるやん! つまり、複数の悪魔が悪魔渦によって神帝の一人を捕まえたらしい、ということがここから読み取れるんです。ヘッドロココの裏のイラストから判断する限り、その一人とはアリババ……。
こんな感じで、「いろんなシールのフレーバーテキストを読み解いてみると、一見独立しているようで、実は全体として一つのストーリーについて語っているんだ」「いろんな文章が、実は一つのことについて語っていて、全部集めると事実が浮かび上がってくるんだ」ということをこの時知って、これにめちゃくちゃ衝撃を受けた、という話なんです。
今から考えてみると、これ、「いろんな文献を集積して一つの事実について考証する」ということの、一つの直接的な原体験にもなってるなーと。これ、例えば「ガンパレード・マーチ」とか「十三機兵防衛圏」みたいなゲームでも同じような場面が出てきたんですが、大学の研究なんかでも普通に追体験したんです。
その後私、大学で日本語日本文学っていう研究やったんですけど、「あ、これビックリマンでやったヤツだ!」みたいな経験結構ありましたよ。断片的な文章と文章をまとめて、一つの事実として考察する遊び。あの楽しさを覚えたのは、私の場合間違いなく「ビックリマン」だったんです。
ことほど左様に、その辺の小学生にまで「色んな断片的な情報を集めて、一つのストーリーを読み解く」なんていうマニアックな行動に走らせてしまう、ビックリマン世界のパワーって本当にものすごかったなー、と思う次第です。
まとめ
長くなりましたが、最後に今回のテキストで書きたかったことを簡単にまとめてみます。
- ビックリマンのフレーバーテキストの言語感覚ハイセンスっぷりは異常
- ビックリマンのストーリーはあまりにも壮大過ぎるので皆さん公式ページいってちょっとストーリー読んでみてください
- ブラックゼウスとか魔肖ネロとか、ホログラフカードが出たときのテンションは異常だった
- アニメではめっちゃ十字架天使がヒロイン扱いされてたけど普通にかわいいキャラ多かったよね如面菩薩とか
- ストーリーを読み解けば読み解く程泥沼のように不幸な目に遭っていくアリババさん……
- チョコはもちろん全部おいしくいただきました
大体そんな感じです。よろしくお願いします。
今日書きたいことはこれくらいです。
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