新型コロナウイルスとDV
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大に伴い、外出の自粛が続いている今、DV(ドメスティックバイオレンス)の増加が懸念されています。
ジェンダー平等と女性の権利のための国連機関であるUNウィメンは4月6日に声明文を出し、パンデミック下における女性に対する暴力について注意喚起を行いました。声明によれば、すでに多くの地域でDV相談は増加傾向にあります。
新型コロナウイルス関連の政策に、DVの問題はどのように関連しているのでしょうか。また、DV被害に遭った場合、どこに相談すればよいのでしょうか。
「一律10万円給付」とDV問題
総務省が4月20日に発表した1人10万円を一律給付する給付金「特別定額給付金」の概要について(関連記事)、現在多くの批判の声が上がっています。
この給付金は、1人当たり10万円が給付されますが、申請は世帯ごとであり、世帯ぶんの給付金は世帯主が一括で受け取る形式にされています。この制度であれば、一括受給した世帯主が給付金を分配しない場合、ほかの世帯構成員のぶんの給付金を世帯主が勝手に使ってしまう場合などがありうるでしょう。
DVを受けて別の市区町村に避難している人については、申し出に応じて当該の市区町村において給付を受けることができますが、避難・相談ができないまま今も家庭内暴力にさらされている人たちは、給付を受けられない可能性が大きくなります。
また「世帯主」は、多くの場合男性です。2000年に実施された国税調査及び2005年に実施されたゆうちょ財団の調査によれば、2人以上の世帯のうち約90%は、男性が世帯主に設定されています。そのような非対称性がある状況で給付金の受給者を世帯主に限定することは、この給付金が女性に行き渡りにくい制度設計になってしまっていることを意味します。
一律給付は、新型コロナウイルスによって生じた危機を乗り切るための支援金です。この10万円によって初めて暴力を振るわれる環境から避難できるようになる人もいるでしょう。そのような支援を必要としている人に正しく給付金を届けるためにも、世帯主による一括需給は制度上の欠陥であると批判する必要があります。
「これってDVかな……」と思ったときの相談窓口まとめ
DV相談+
4月20日より、内閣府が設置した窓口「DV相談+」が相談の受付を開始しています。パートナーから受けた身体的・精神的暴力について、メール、チャット、電話などで専門の相談員に相談することができます。
「もしかしてこれってDV?」と思ったとき、またパートナーから暴力を振るわれている場合や、今すぐパートナーから逃げたい場合、子どもと一緒に被害を受けている場合など、なんでも相談可能です。状況に応じて面談・同行支援、シェルターの提供も受けることができます。
メールは24時間、チャットは12時〜22時、電話は4月28日までは9時〜21時、4月29日からは24時間受付です。電話番号は0120-279-889(つなぐ、はやく)。
また5月1日からは英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、タイ語、ベトナム語に対応します。
DV相談+
URL:https://soudanplus.jp/
メール:24時間受付 https://form.soudanplus.jp/mail
チャット:12時〜22時。スマートフォンの場合はDV相談+サイトのQRコードからアクセス可能 https://form.soudanplus.jp/ja
電話:0120-279-889(つなぐ、はやく)
受付時間:4月28日までは9時〜21時、4月29日以降は24時間受付。
DV相談ナビダイヤル
また、従来のDV相談ナビダイヤルも稼働しています。こちらはパートナーから受けている身体的・精神的暴力について、最寄りの相談機関(配偶者暴力相談支援センター)へ電話を自動転送するサービスです。電話番号は0570-0-55210です。
DV相談ナビダイヤルの受付時間は、転送先である相談機関の受付時間に依拠しているため、注意が必要です。
日本弁護士連合会
4月20日から5月19日まで、日本弁護士連合会が新型コロナウイルスに関連する法的な悩みごとについて相談を受け付けています。DV、虐待などの家庭内暴力もこの窓口から相談することができます。
電話受付の場合、電話番号は0570-073-567です。オンラインでは24時間相談申し込みを受け付けています。
地域の相談窓口
地域ごとに配偶者暴力相談支援センターの機能を持つ機関が設置されています。一覧はこちらで確認できます。
内閣府男女共同参画局のWebサイトにも、「配偶者からの暴力被害者支援情報」のページがありますので、そちらもご参照ください。
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