Twitterで自分や他者に送られてきたリプライを可視化するシステム「リプライユーザ可視化システム」(β版)が開発されました。「炎上時にTwitterで多くの人から攻撃されているように見えても、実は全体から見ると少数」ということが分かるシステムです。
このシステムは東京大学大学院准教授で計算社会科学を研究している鳥海不二夫(@toritorix)さんが開発。「炎上に加担する人は1.5%程度しかいない」という研究結果を受けて、「たくさんに見える誹謗中傷が実は全体から見ればごくわずかな人々の手によるものだ、といいうことを分かりやすく可視化するため」開発したとしています。
利用方法は、サイトにアクセスして「Start Mention Analyzer」からTwitterアカウントを連携。「自分へのリプライを確認する」から自身のアカウントに送られたリプライの一定期間の統計データを見られます。ボックスに他者のアカウントを入力すると、他人のリプライを分析することも可能。
分析期間中に送られたリプライの件数、リプライを送ったアカウント数、リプライを送ったアカウントがフォロワーのうち何%か、日本のTwitterユーザーのうち何%か、といった値が表示されます。またアカウントのリプライ数の分布や、リプライした人のフォロワー数やツイート数などの特徴、リプライの時間のグラフも見られます。
例えば、フォロワー数がゼロのアカウントからのリプライが多ければ、いわゆる“捨て垢”と推察できます。深夜など不自然な時間帯にリプライが多ければ、ボットの可能性が考えられます。
また統計データの下には、リプライが多い上位アカウントが表示されます。アイコンの下の吹き出しマークをクリックするとそのアカウントのリプライ一覧が表示され、名前をクリックすると詳細な分析結果が表示されます。分析結果では、ツイートに占める対象アカウントへのリプライの割合、リプライ先のグラフなどが見られ、例えば「特定の相手にだけリプライしている」といったことが分かります。アカウントをブロックするボタンも用意されています。
※一部で「アカウント連携の際に権限を多く求められる」との指摘がありますが、鳥海さんはブロック機能を使うとTwitterAPIでは書き込み権限が要求されてしまうと説明しています。
鳥海さんは自身のnoteで、「誹謗中傷や炎上が多く寄せられるときは、世界中から攻撃されている気がするかもしれませんが、統計データを見ればそんなことがないことが分かるはずです。さらに、誹謗中傷をしてくる人がいたら怖くなるかもしれませんが、そのアカウントの情報をちゃんと調べて正体が分かれば、意外と怖くなんてないかもしれません。もしかしたら、ボットかもしれないし、普段から色々な人に攻撃をしている誹謗中傷を趣味としている人かもしれない」とし、このシステムが冷静な目で状態を理解するための一助になればと述べています。
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5月に被害届を出したことを報告していました。