漁船の形をしたツナ缶に、「おしゃれ」「かわいい」「子ども心をくすぐる」とTwitterで注目が集まっています。国際的なデザインコンテストで賞をとったというツナ缶の背景について、製作した東洋製罐グループホールディングスに取材しました。
話題のツナ缶は船のように先端が少し細く丸くなっており、上面には水揚げされたマグロが描かれ、タブの部分はキャビンになっています。このかわいらしいデザインは、優れたパッケージデザインを表彰する国際的なコンペティション「ペントアワード2019」で金賞を獲得しています。
漁船の形のツナ缶はどのようなコンセプトで誕生したのか、デザインセンターの野村岳さんに聞いてみました。
ユニークなデザインのコンセプトについて尋ねると、ストーリー性のある回答が返ってきました。「『鮮度の良いマグロが海からそのまま届いた』という、物語を思い起こさせるツナ缶がコンセプトです。日常的で子どもにも食べやすいツナ缶に見た目の楽しさを加え、家族の食卓を楽しく演出するパッケージとしてデザインしました」(野村さん)。缶をデザインしたのは、東洋製罐グループホールディングスのデザインセンターの野村岳さん、川越純香さん、平野睦さんなどのメンバーが中心。
ツナ缶のデザインが話題になり、ネットで「かわいい」「ほしい」と反響を呼んでいることについては、「弊社のアイデアに共感いただき、大変光栄です。楽しげで瞬間的に理解できる分かりやすいデザインがみなさまの共感を得たのでは、と思っております。このような事例から普段使いのパッケージの魅力や可能性にご興味を持っていただければ幸いです」(野村さん)と、喜びとともに手ごたえを感じているようです。
Twitterでは「どこで買えるんだろう」「Amazonで探したけど見つからなかった」という声もありますが、こちらは容器メーカーとしての構想を表現したコンセプトモデルのため、残念ながら商品化されることはないそうです。創立1917年、大正時代から金属、プラスチック、紙やガラスなどさまざまな包装容器を作る東洋製罐グループの、今後のパッケージデザインについて、野村さんは次のように語ってくれました。
「受賞したパッケージデザインは、100年以上前から作られている『缶詰』の延長線上にあります。古くからあるものに新たな視点を加えることで、その可能性は無限に広がると考えています。昨今の社会情勢は言うにおよばず、暮らしのなかで利用されるパッケージは今後ますます重要な役割を担います。『中身をまもり、伝える』という基本的な機能に加え、暮らしのなかに「楽しさやよろこび」という彩りを添える、そんな役割をパッケージデザインが担えれば、と考えております」
「ペントアワード2019」では漁船ツナ缶とともにトレイになる段ボールで銀賞も受賞するなど、実はこれまでも包装容器のデザインで国内外で高い評価を得ている東洋製罐グループホールディングス。これからも、多くの人の注目を集める容器の開発に期待です。
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