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円谷プロが、同社の許諾なしにウルトラマンが登場した映画を巡る、中国上海市での訴訟に勝訴したと発表しました。
発端は2017年7月10日に中国で発表されたCGアニメ映画「ドラゴンフォース〜さようならウルトラマン〜(原題:鋼鐵飛龍之再見奧特曼)」。当時のイベントやトレーラーにてウルトラマンのゲスト出演が告知されましたが、円谷プロはこの件に一切関与しておらず、許諾や監修等も実施していませんでした(関連記事)。
問題を指摘されながらも、同年10月1日にドラゴンフォースが強行公開されたことを受けて、円谷プロは法的措置を明言(関連記事)。同作の制作会社「広州藍弧文化伝播有限公司(ブルーアーク)」等を相手に、著作権侵害行為の停止(同作の公開・放送・配信や関連する商業活動などの停止・破棄)や、損害賠償請求を求めて提訴しました。
判決日は2020年6月30日。被告は「ドラゴンフォースはユーエム(※)の正規許諾を受けて制作した」と主張していましたが、裁判所は「ユーエムが持つウルトラマンシリーズの利用権が仮に正当なものであったとしても、その権利範囲に『キャラクター(または一定の改変を加えたキャラクター)を用いた映画の撮影』は含まれていない」と認定。藍弧等の行為が円谷プロの権利を侵害していると判断しました。
※ユーエム:「円谷英二氏の息子である故・円谷皐(のぼる)氏とタイ人実業家であるサンゲンチャイ・ソンポテ氏との間で結ばれた契約書を継承した」として、日本国外における「ウルトラマン」シリーズの利用権を持つと主張し、円谷プロと係争してきた会社。米国での訴訟において、円谷プロは2020年3月に勝訴している(関連記事)
制作会社等には、「ただちに本件著作権侵害行為を停止すること」「原告にもたらした悪影響を払拭するため、(裁判所の審査を経た)声明を発すること」「原告に対し、経済損失を賠償すること」との判決が下りました。円谷プロは「著作権法の基本原則に従って下された判決であり、当然の結果である」とコメントしています。
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