怪を語れば怪至る―― ホラーコンテンツ、心霊や都市伝説にまつわるゲームなど、そういった“この世ならざるもの”に関わるモノを作っている現場では、さまざまな怪奇現象が起きていると耳にします。
今回は、おそらく日本で唯一であろう“市販のおばけ探知機”「ゴーストレーダー」「ばけたん」の開発者・河原邦博さんにインタビュー。開発の裏側で本当にあった怖い話を、全7回にわたってお送りします。
事故物件の調査依頼、その後
Aくんのおじいさんが焼死した事故物件の調査に行ったときのお話の続きです。車が全然前に進まなくなるトラブルもありましたが、Aくんを「おじいさんにちゃんと手を合わせてきなさい」と諭し拝んでもらったところ、その後は車の不調も出ず。
それから、いくつかの心霊スポットや樹海で、新しいガジェットのプロモーション映像の素材撮影などを行いました。樹海はやっぱりすごいですね、ばけたんの赤反応(もっとも悪い反応)がポンポン出ます。
しばらくして、いい時間になったあたりでキャンプ場へ。とは言ってもコテージなんですけどね、そこへチェックインしまして。
―― いいですねー。
最後の目的がバーベキューでしたからね。そのコテージのベランダには、大きな炭火台が据え付けられていたんですよ。炭なんかの燃料や着火剤は、ビニールに包まれた状態で、屋根の下にまとめて置いてあって。
それで私は、堤さんと各種食材を切ったり洗ったりの下ごしらえを担当して。Aくんには炭火を起こしてもらうことにしたんです。台所でいろいろと洗って切って盛り付けて……しばらくして、Aくんの様子を見に行ったんですよ。
そうするとAくんが、どうにも苦戦してるんです。炭火を起こすときに一番苦労するのは、まず炭に火をつけることですからね。まぁそのうち起こせるだろう、がんばってくれよ、といったん戻ったんです。
こちらは食材の準備が終わって。さぁ火は起こせたかなと見に行ったら、まだできてなかった。一体どうしたの、とAくんに聞いてみると、何をやっても炭に火がつかない、って言うんですね。
よくよく考えてみたら、新聞紙や木の枝から炭火を起こすのは苦労しますが、着火剤を使えばそれほど難しくないはずなんですよ。炭はビニールで包まれていましたし、触ってもシケってる様子はない。
それでわれわれも炭火起こしに加わって。着火剤を追加したり、炭を入れ替えたり、炭を直接バーナーで炙ったりしてみたんですけど、本当にどうやっても炭が赤くならないんですよ。ちょっとは火がつくんですけど、すぐに消えてしまう。
―― どういうことでしょうか……。
最後は業を煮やして、部屋の中にあるコンロでもって、複数の炭を加熱して真っ赤にしまして。そこでは赤々と燃えるんですよ。でも、それを持っていって炭の中に入れても、しばらくすると消えてしまう。
結局、Aくんがやっていた時間と合わせて、だいたい1時間ぐらい炭火起こしをしていた計算になるんですが、まったく火がつかないんです……火が起きる気配さえ見せないなんて、明らかにおかしいですよね。言わずもがなですが、過去に炭火を起こすことは全員が経験済みですよ。
―― ワケが分かりませんね。
もうしょうがないので、炭火を起こすのは諦めまして。部屋の中にあったホットプレートやカセットコンロでお肉、お野菜を焼いて、それでバーベキューとしました。
ただ、よくよく考えたらですね。Aくんのおじいさんは火事で亡くなったわけじゃないですか。その上でAくんに火起こしを任せて火が起こせず、さらにわれわれが加わってもなお火がつかなかった。
なんというか、直接的な証明は不可能なんですけども……。車のアクセルの調子がおかしくなって、Aくんが戻ってお参りしたら元に戻った。1時間も悪戦苦闘したのに、炭火が起こせなかった。
Aくんとおじいさんと火に関する因縁というか……おじいさんからの「火には気を付けろ」みたいなメッセージが含まれているんじゃないかな、と。
偶然と言えば偶然なんですけれども、あまりにも繋がっている。不可思議な点が多いし、もう話ができすぎてますよね。Aくんに対しては「火に気を付けるように。それから、おじいさんはちゃんと供養するように」とアドバイスしておきました。
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