【“おばけ探知機”開発者の本当にあった怖い話】第1夜「パニック状態の製造責任者からかかってきた深夜の国際電話」
日本で唯一であろう“市販のおばけ探知機”の開発者・河原邦博さんに取材。
怪を語れば怪至る―― ホラーコンテンツ、心霊や都市伝説にまつわるゲームなど、そういった“この世ならざるもの”に関わるモノを作っている現場では、さまざまな怪奇現象が起きていると耳にします。
今回は、おそらく日本で唯一であろう“市販のおばけ探知機”「ゴーストレーダー」「ばけたん」の開発者・河原邦博さんにインタビュー。開発の裏側で本当にあった怖い話を、全7回にわたってお送りします。
現地発、ゴーストレーダー製造工場で起きた謎の現象
これってのは、ゴーストレーダーの製造過程で起きた、ほとんど公にしていない裏話のひとつなんですけど……発売が2005年ですので、15年以上前のことですね。
ゴーストレーダーは中国の工場で製造していて、現地には日本人の責任者がひとり駐在していたんです。その責任者というのが私と一緒に、ゴーストレーダーをいちから作ってきた開発者のひとりだったんですよ。
―― はい。
それで、中国の製造工場のあった場所って、日本との時差も大してなかったんですけど……その責任者から深夜すごく遅い時間に、突然電話がかかってきたんですね。
あっちも日本が真夜中だとわかった上で、慌てて電話をかけているのだろうから、何か相当なトラブルが起きたものだと思って。すぐ電話に出て「どうしたんですか!?」と尋ねたんですね。
―― ええ。
そうすると責任者が「もしもし河原さん! 訳の分からないことが起きてるんです。どうしたらいいですか!?」みたいに矢継ぎ早に……パニックを起こしていたんです。
こちらも驚くほどに慌てていたので、彼が何を言っているのか、現地で何が起きているのかがよく分からない。「とにかく冷静になって、落ち着いて。分かるように順を追って話を聞かせてください」と、しばらくなだめていたんですが……。少し時間がたって落ち着いてきた責任者が、工場で起きた奇妙な現象を語り始めたんです。
―― 何が起きたんでしょうか……?
ゴーストレーダーの先端に付いている玉、これは「お守り玉」と言うんですけど、その製造工程で数千個ぐらいですかね、検査するために机に並べていたそうなんですが。最中にお守り玉の一部……えーっと、確か十数個ぐらいって言ってたかな。それが勝手にクルクルと回り始めて止まらない、って言うんです。
―― 玉がクルクルと、ですか……先端の玉は確か、磁界センサーでしたよね。
そうなんです。先端はこのような感じになっていて、お守り玉の内部はこのような感じになっていて……(メモを書く)。
……こんな感じで、お守り玉の中には微弱な磁界の変化を捉えるために、縦方向に小さな棒磁石が入っていて、それをシャフトで支えている感じでできているんですよ。そして本体の固定される部分にコイルが巻いてあって、そこに電流が流れることによって、磁石が反応するように作られています。
要するに、お守り玉単体では動力がない。仮に内部の磁石同士が反応したのだとしても、動きはすぐに止まるはずですよね。
方位磁石を想像してみてください。それを大量に並べたって、針は一方向を指して動きませんよね。そのはずなのに、一部の針が勝手にクルクルと回りはじめたようなものです。
―― うわー……。
責任者はさきほどもお話した通り、私と一緒にゴーストレーダーを作ってきた人間ですから、目の前で起きている現象が絶対にありえない、って分かってるんですよ。それがクルクルと回り始めたもんで、驚いて電話をかけてきたって次第ですね。
彼は、その回っているお守り玉だけを取り上げて、別の場所に置いてみたりもしたそうなんですが、それでもなお回り続けていたそうで。どうしたものか、としばらく見守っていたところ、時間をかけて少しずつ動きが止まっていった、と。
一時的に動くのであれば、分かるんですよ、例えば周辺の電磁波とか、高周波の影響を受けたとか。ただそうなると、そこにある全部、あるいは大多数が動きを見せなければおかしいんです。さすがに数千個のうちの一部……数十個のお守り玉だけが回転して、おまけに別の場所でも長時間回り続けた、となるとワケが分からない。原因不明、としか言いようがありません。
さて、こういったことを一気に話した後、責任者はこう言ったんです。「回ってたお守り玉、どうしましょうか?」って。
―― そっちの心配ですか!?
せっかくのイワク付きを捨てるのは忍びないですし、もったいないですし、何よりおばけ探知機ですから。「使ってください」と言うしかないですよね。
そういうわけで、今や現存して動作する物自体が少なくなっていますが……。実はゴーストレーダーには、中国で怪現象を起こしたお守り玉が組み込まれた「判別不可能な当たり」が、数十個ばかり確かに存在していたんですよ。
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