【“おばけ探知機”開発者の本当にあった怖い話】第4夜「バンドファンの女の子の“最後のあいさつ”」
「バンドマンとの食事中、チラチラと視界に霊を感じて……」
怪を語れば怪至る―― ホラーコンテンツ、心霊や都市伝説にまつわるゲームなど、そういった“この世ならざるもの”に関わるモノを作っている現場では、さまざまな怪奇現象が起きていると耳にします。
今回は、おそらく日本で唯一であろう“市販のおばけ探知機”「ゴーストレーダー」「ばけたん」の開発者・河原邦博さんにインタビュー。開発の裏側で本当にあった怖い話を、全7回にわたってお送りします。
初代ばけたん:知らせに来た?
次のお話は、初代ばけたんが発売した後のことです。USBメモリとして売り出したゴーストレーダーとは違い、ばけたんはガラケーのストラップとして発売したので、携帯性に優れてるんですね。
だから、私自身もケータイに取り付けて、普段から持ち歩いていたんです。いろいろな場所で反応を見たり、反応がある場所を探してみたり……。まあ、そういうのはゴーストレーダーのころからずっとやってるんですけどね。
確かばけたんを持ち歩きはじめてから、しばらくしたころなんですが。あるアーティストさん……いや、バンドマンって言ったほうが正しいかな。まぁとにかく、その人と一緒に食事をしていたんですよ。
―― はい。
それで―― ちょっと話が変わるんですが、私には霊感がほとんどないんですけれども、母方は霊感の強い家系でして。それで体験を聞いたり、私も少なからず「これは霊だな」という経験があるんですよ。
いろいろと心霊話を聞いて調べてきた上で、自身でも体験した経験則なんですが……霊感のない人間相手だと、目の前に幽霊がドーンと現れることはない。こんなふうに(頭の横で手をパタパタさせながら)視野のすみっこのほうで、チラチラ動いている何かを感じるんですよ。これが起きたら気を付けてみてください、間違いなくいますから。
―― へぇぇ……注意してみます。
さて、話を戻しまして。それで彼と食事をしていたんですが、しばらくしたら視界の隅っこに、なんだかチラチラッと来て。でも、そちらを向いても誰もいない。あぁ、これは何か来たな……と思っていたら、テーブルに置いていたばけたんに、赤く反応が出たんです。
ばけたんは、幽霊を感知したときに赤く光るよう設計されています。でも、例えばひとつの場所をじっくり探索したとしても、赤反応は1回出るか出ないかなんですね。
なんですけど……こうやって怖い話をしていると、普段より赤反応が多く出るんですよね。ほら、また出た。
―― さっきからポコポコ反応してますよね。
話が脱線しました。
そんなわけでバンドマンとの食事中、チラチラと視界に霊を感じて、赤反応が出ていた。そして、彼の携帯電話に着信があったんですよ。彼は電話に出たんですけれど、どうも込み入った話らしく、結構長いこと話してまして。それで帰ってきたら、見るからにすごく落ち込んでいたんです。
「何があったの、差し支えなければ聞かせてよ」と尋ねたら、「熱心なファンの女の子が実は重い病気で、闘病の末にさきほど息を引き取った、という知らせだった」って言うんです。
話によれば、その子は本当に結成初期からの熱心なファンで、いつも応援してくれていたから、ものすごくショックだったそうで。それで彼は、その子が病気になった、ということだけは知っていたらしくて。
きっと不安にさせたくなくて、重い病気だと伝えていなかったんだと思います。彼は、知っていたら何かできたのに、お見舞いに行っておけば……などと、ものすごく後悔していましたね。
―― 悲しい話ですね……。
私はですね、たぶんこのとき、彼女が最後のあいさつにやってきてたんじゃないかな、と思ってるんですよ。私の視界の隅っこに……まぁなんというか、遠慮がちにね……チラチラとやってきて。ばけたんを赤く光らせて、彼にも知らせたんじゃないかな。
連載一覧:“おばけ探知機”開発者の本当にあった怖い話
たけしな竜美(@t23_tksn)
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日本唯一の「おばけ探知機」を作った方にお聞きしました。
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