「泥臭いのが一番かっこいいんです」 猪野広樹、座長としてコロナ禍で舞台に立つ覚悟 「PERSONA5 the Stage #2」インタビュー(3/3 ページ)
「全11公演がもう本当に勝負。自分たちもそうですけど、お客さんもある意味勝負」。
“舞台からの景色”は「まだ考えないようにしているんです」
――自粛期間中はどんなことをされていたんですか?
猪野: 新しいことを始めなきゃなぁーと思って、絵を描いて自分のインスタにも載せていましたけど、すぐやめて(笑)。次何しようかなーって考えたときに、歴史の勉強をしようって。それは結構長く続いたんです。
――えー……! どういう勉強をされたんですか?
猪野: 世界史ですね。何が起きてどうなって、だから日本にこの人が来て。でもそのころ日本は……みたいな。へぇーと思いながら、忘れないようにメモして。そんなことをやっていたら、ドラマの撮影が始まりました。だから、結局何か新しいことを始めたかっていったら、別に始めてはいないですね。教養が増えたくらい。
――すごいですね。
猪野: 嫌いじゃないですね。勉強は。
――そんな自粛期間と比べると落ち着いたとはいえ、コロナ禍の中、舞台に立つことに心境の変化などはありますか?
猪野: 今までもすごく舞台そのものに感謝しているし、お客さんにも感謝しているんですけれども。その気持ちがいっそう上がったっていうのは、間違いなくあると思います。
もちろんリスクを抱えて(劇場に)来てもらうことになるし、それぞれ事情もあるでしょうし。ただ、その中でも舞台をやろうと決断してくれた人たちには、本当に感謝しています。
やっぱり今は舞台に救われているな、と。舞台がなかったら、結局自分はダラダラとしていたと思うので(笑)。やっぱり、舞台に生かされているなとあらためて思いましたね。
――今、再びお客さんの前に立てる状況になって、どんな思いがありますか?
猪野: そこはね、まだ考えないようにしているんですよね。
――それはどうしてですか?
猪野: 今まで通りパーッと幕が開きました、お客さんがバーッといるところは、今は想像しない。したくない。うん、今は取りあえず目の前のやることをやる。
劇場に入ったら、一気に実感が湧くと思うんですよ。お客さんを見て、半分しか容れられない。そんな景色を見たら、どういう風に思うんだろうなとか、今は分からないから。まだ、稽古場と家との往復なので。
――まだ劇場には足を運んでいないんですね。
猪野: そうです。だから、劇場に入ったときに何て思うのかなって。コロナ禍で舞台に立った俳優は、みーんな思うらしいですよ。「わー帰ってきたー!」って。こんなに舞台をやらない期間が空いたことがなかった人たちだから。
それは、楽しみですよね。劇場に入ったときに、何て思うのか。着到板を返すとかそんな当たり前のことがちょっとしんみりするかもしれないですよね。逆に、何も思わないかもしれないし、「おはようございまーす!」って(普通に)入るかもしれない(笑)。
――今からすごく楽しみですね。では最後に、上演に向けて意気込みを教えてください。
猪野: まずコロナ禍になって、ほとんどの舞台が上演中止になったときに、やっぱり世の中が平和じゃないとできないんだな、エンタメは、とあらためて思いました。
今まで当たり前のように千秋楽を迎えていましたけど、いつどこで舞台ができなくなるかっていうことを考えると、千秋楽を迎える意味っていうのはすごくデカいなと初舞台ぶりに思いました。本当にみんなで走り切ったし。
演者やスタッフから、もちろん陽性者を出してはいけないし、あとお客さんも万全の体調で来るっていう意味では、全11公演がもう本当に勝負。自分たちもそうですけど、お客さんもある意味勝負だな、と。全員野球っていう感じですよね。あとは、お客さんが楽しみにしてくれているのなら、ね。一生懸命応えるのが筋ってもんだろって思いますし。
この時期に、世の中が大変なときに、公演をさせてくださるありがたさ。それは、お客さんに対してもそうですけど、スタッフさんがそれでもやろうっていってくれて。旗揚げして、かじをとってくれたんだったら、全力でオールを漕ぎますよって。間違いなく前作よりパワーアップしているので、健康には気を付けて、劇場に足を運んでいただければなと思います。
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