ジェットコースターの「大声禁止」は難しい? ジェットコースターマニアに聞く、コロナ禍で感じたこと(2/2 ページ)
世界の400のジェットコースターを制覇したマニアにコロナ禍に関する「変化」を聞きました。
「いつ乗れなくなるかわからない、乗れるうちに乗りたいという気持ちが強くなり、ジェットコースタ―に乗れるありがたさをかみしめて大切に乗るようになりました。乗る頻度が多くなった要因も、乗れるうちに乗りたいという気持ちが関係しています」
また遊園地を訪れて感じた変化として、「海外のお客さんがいなくなった」「ソーシャルディスタンスのために待ち列が長くなり、混雑しているように見える」「ソーシャルディスタンスの難しいお化け屋敷や室内アトラクションの運休が目立つ」といったことを挙げました。
「個人的にジェットコースターの写真をよく撮影しているのですが、みんなマスクを着用して間引きして乗車しているので、乗っている人の表情が分からない座席がスカスカの異質な雰囲気の写真になってしまうのが残念です……」(ジェットコースター男さん)
ちなみに感染対策は各パークによって異なり、例えばジェットコースターを一回走行する度に消毒するパークもあれば、一日に数回の消毒タイムを設けて徹底的に消毒するパークもあるのだとか。「入園前の検温、手指消毒の徹底、各乗り物では一回一回手すりや座席を消毒するなどコロナ対策を徹底して行っている。運営側のパークや現場のスタッフさんの苦労が大変だなと思うことが多々あります」
絶叫しない乗り方はできるのか
感染拡大予防ガイドラインではジェットコースター乗車の際は「大声での発声は控えるよう促す」とされていますが、絶叫しない乗り方は難しいのか聞いてみました。
「ジェットコースターや絶叫マシンは、本来は絶叫して楽しむ乗り物です。怖くなくても楽しくなるとアドレナリンが出て叫びたくなります。無言で乗っても楽しくないですし、ストレスを発散できません。ですので、絶叫しない乗り方は非常に難しいです……」(ジェットコースター男さん)
以前には富士急ハイランドの社長(と親会社の富士急行の社長)が“新しい絶叫スタイル”の手本として、マスク着用で終始無言でジェットコースターに乗る映像を公開しています。これによりいかに平常を装って乗れるか挑戦する「真顔チャレンジ」が誕生。「みんなで真顔を競い合うことは、ガイドラインに沿った楽しみ方だと思います」とジェットコースター男さんは評価しています。
ジェットコースター男さんに、コロナ禍の中でジェットコースターに乗る人に伝えたいメッセージをうかがいました。
「日本のジェットコースター界は衰退しており、コロナの影響もあり今後も厳しい状況が続くことが予想されます。そんな中でも頑張って運営してくれるパークに感謝して、一人でも多くの方にジェットコースターに乗ってほしいです。運営側の努力を無駄にしないためにも、乗る側も並ぶ際はソーシャルディスタンスを守り、乗車中もマスクを外さない、できるだけ大声での絶叫を控えるなどルールを守って楽しみましょう! ジェットコースター男の使命として、日本のジェットコースターの魅力を全世界へ広めていきたいと思います」
マニアが語るジェットコースターの魅力
編集部は、ジェットコースター男さんジェットコースターの魅力や印象に残っているジェットコースターもうかがいました。
「ジェットコースターの魅力は、一言で『かっこいい!』です。乗るのはもちろん、巨大な建造物として見た目もかっこよくて好きです。うねうねしたレールを滑走しているジェットコースターを見るだけで興奮します(笑)。それぞれのジェットコースターに個性があり、体感や乗り心地も全然違うのでそこも魅力の一つです」
ジェットコースターマニアに聞いた「一番怖いジェットコースター」
ジェットコースター男さんが「一番怖かったジェットコースター」として挙げるのは、台湾にある「グラビティ・マックス」(探索楽園)。世界でも珍しいシーソー型のジェットコースターで、最初はゆっくりと巻き上げて頂上まで登ると途中でレールが切れているという作り。「この先どうなるのかドキドキしていると、頂上でシーソーのようにレールが下に傾き、真下に向いた状態で停止、少し焦らされた後にロックが外れて垂直に落下します。真下に向いた状態でいつ落ちるか分からない恐怖、今まで色んなジェットコースターに乗ってきましたが一番怖かったです」
またジェットコースター男さんの「印象に残っているコースター」は「チーターハント」「フォーミュラーロッサ」の2つ。
チーターハントは米フロリダ州「ブッシュガーデン」にあり、名前の通りチーターをモチーフにしたジェットコースターです。「途中に何度も急加速するポイントがありチーターになって獲物を追いかけるような感覚が味わえます。実際にコース途中に本物のチーターがいる(動物園)のも面白いです」
フォーミュラーロッサはアブダビにあるフェラーリのテーマパーク「フェラーリワールド」にある世界最速のジェットコ―スター。フェラーリのF1マシンをモデルにしており、スタートして約4秒で世界最速の時速240キロに到達。「生身で体験する時速240キロは異次元の世界。速度が速すぎて空中のほこりや虫などが目に入ると危ないので、安全のためにスカイダイビングで使用するゴーグルを着用して乗車するのが印象的でした」
画像提供:ジェットコースター男(@JetcoasterOtoko)さん
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 社長に体を張らせるスタイル 富士急ハイランド、社長を絶叫マシンに乗せて「叫ばない乗り方」のお手本動画を作成
高所恐怖症の親会社の社長にも体を張らせる心意気。 - ジェットコースター大声厳禁、入場制限や検温で対応も 遊園地協会が営業再開に向けたガイドライン発表
オリエンタルランドやUSJが賛同。 - コロナ禍でピンチの職人がTwitterで発信→売れ行きが前年の1000倍に 貝の内側を加工した伝統工芸が魔法みたいな美しさ
京都は嵯峨嵐山の工房、「嵯峨螺鈿野村」の野村拓也さんに話を聞きました。 - コロナ禍でも合唱を続けたい―― 東京混声合唱団の「歌えるマスク」に注文8000枚 開発の背景を聞いた
「歌えるマスク」を着用した合唱の様子は、東京混声合唱団のYouTubeチャンネルで視聴できます。 - 同じランチなのに時間で価格が違う!? “密”を避ける定食屋さんの対策が話題呼ぶ
ダイナミックプライシングを導入し、ランチタイムの「三密」を防止。