「石川限定」の理由
「すしべん」は現在、石川県内で23店舗を営業。能登半島の中ほどにある穴水町から、石川県南部に位置する白山市までの地域で展開しています。さらに2021年4月下旬には白山市より南の能美市に新店をオープンする予定とのこと。
展開する地域を広げる「すしべん」ですが、今のところ県外に進出する予定はないといいます。「本当は出たいところなんですが、出られない。夜に作った食品を早朝に各店舗に届けるのですが、食品を作る工場が羽咋市にあって、おいしい商品を届けるのには県内が今のところぎりぎりかな、という感じなんで」と中村さんは理由を説明。
確かに魚介をのせたお寿司や、おかず盛りだくさんのお弁当は鮮度が大事。品質を優先させた結果でした。
県内でも地域性あり
すしべんでは各店舗の店長が、売れ筋のものを工場に発注することになっています。店が立地する地域ごとに売れるものは違いますが、大まかに分けて2つの傾向があるといいます。
「金沢の方は寿司とか弁当よりも、うどんやそばの店内飲食が強いもんで、寿司や弁当の販売が少なめになっています」(中村さん)
県庁所在地である金沢とその周辺の地域は、コンビニやスーパーなどが多く、寿司・弁当のコーナーの売り上げが伸びにくいとのこと。反対に、能登では持ち帰りの寿司や弁当を売っていた創業の地であり、寿司や弁当を買うお店「すしべん」として定着しているからだと考えられます。
店長の裁量は大きく、店限定の商品やメニューなどが販売されることも。「Yahata すしべん 羽咋インター店」では、刺身や刺身定食が店舗限定で売られていました。
初見の人に教えたい「すしべん」利用方法
レジをはさみ、寿司・弁当・総菜が販売されているコーナーと、イートインコーナーに分かれる店内。どのように利用すればよいのでしょう。「うどんなどを頼む時はイートインコーナーで席に座って、レストランみたいに注文してください。イートインコーナーで弁当や寿司を食べる場合は、皿に入れ、レジで店員に伝票をつけてもらい、食べ終わったあと会計してください」(中村さん)
では、総菜とうどんが食べたい場合は? 「まず、総菜を皿に盛ってレジに行き、計量してもらい(総菜には量り売りのものがある)、伝票をもらってください。そしてイートインコーナーの席に着き、注文します。食べ終わったら(最初にレジでもらったもの、注文時にもらったもの)伝票を2枚レジに持って行ってまとめて会計してください」(中村さん)
常連さんの中には、イートインコーナーの席で注文し、頼んだものが来るのを待ちながら、総菜や寿司を選びに行く人や、食べている途中、足りなくなったからと総菜を追加する人もいるとのこと。
「厳密なルールはないので、従業員に声を掛けてもらえれば、店内で自由に食べられますよ」(中村さん)
店の人とのコミュニケーションを前提としたうえでの自由さは、ローカルならではの魅力とも言えるでしょう。ただ、分かりにくいという人も少なくなく、寿司や弁当、イートインコーナーで食べるものの注文もレジで一括で行い、前払いをしてから座席で食べるシステムの店を増やそうとしているとのことです。
県外の人の反応は?
「すしべん」に平日に来るお客さんは、特に大型の店舗に関しては働いている男性が多く、千里浜インター店は地元の年配の人の来店も多いそうです。土日になると、海水浴場や千里浜ドライブウェイが近い千里浜インター店など観光地周辺の店には県外からの観光客や親子連れが多く来店します。
「はじめて来た県外の人からは『いっぱいお惣菜がある、面白い店』という声はよく聞きますね。味に関しては『出汁がおいしい』と感想を頂くこともあります」(中村さん)
出汁をとる昆布や鰹節にはこだわっているとのこと。おでんやうどんのつゆはやさしい味わいで、素材の味が感じられるものでした。
品質重視のため、結果的に石川ローカルとなった「すしべん」。店舗によっても独自の商品やメニューがあり、地域ごとの個性の見えるお店になっているようです。
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