昼はネコ、夜は工場夜景 都会のローカル線ワンダーランド「鶴見線」のひみつ10選(1/3 ページ)
日中は1時間に3往復、「密にならない」都会のローカル線を愛でましょう。
緊急事態宣言もたけなわでございますが、予定通りお開きにしてもらいたい今日このごろ。乗り鉄としましては「自粛ムードが落ち着いたら行きたいところリスト」(関連記事)などを作って楽しみたい。しかし、いざ出掛けるにしても「密」は避けたい。
そんな乗り鉄さんにピッタリの路線があります。「JR鶴見線」です。京浜工業地帯を走るローカル線です。
【鶴見線のひみつ:1】1日中、休日はガラガラ
鶴見線は工業地帯の通勤路線です。鶴見駅から2つ目の「鶴見小野駅」付近には高校や専門学校もあるので通学路線でもあります。
従って、平日の朝は通勤通学ラッシュになります。3両編成の電車が、鶴見駅から1時間あたり11本も発車します。通勤先は工場が主ですからリモートワークは難しいでしょう。いまでも混雑している路線です。
しかし、通勤通学時間が終わればお客さんはグンと減ります。多くの工場が休みになる土日祝日もお客さんが少なく、3両編成の車内はガラガラ。日中の鶴見駅は1時間に3本の電車しかありません。それも3方向に分岐しますから、海芝浦駅行きは80分おき。扇町駅行きは2時間おきになる時間帯もあります。さらに大川駅行きは7時台と8時台に2本、「8時26分発の次は17時13分」です。だから都会のローカル線と呼ばれるのですね。
【鶴見線のひみつ:2】関係者以外乗降禁止の「海芝浦駅」
鶴見線の名物といえば「海芝浦駅」。京浜運河に接する駅です。この駅は「改札口を出られない駅」として知られています。なぜなら、海芝浦支線全体が東芝の敷地に沿っており、改札口は東芝工場の通用門になっているからです。この駅の改札を通れるのは「東芝の社員で許可証を持っている人」だけなのです。
しかし、海芝浦駅は京浜運河の眺めがとても良い。首都高速湾岸線が開通した後は「つばさ橋」を眺める景観トレンディースポットとしても話題になりました。外に出られない駅を珍しがって訪れる鉄道ファンもいますし、国鉄時代の規則に大らかだった時代は、プラットホームで釣りをする人もいたそうです。もちろん現在は釣り禁止です。
プラットホームの端には簡易Suica改札機があるため、Suicaを持っていれば改札口から出られなくても精算の必要はありません。紙のきっぷで訪れたならば、きっぷを回収箱に入れます。帰りは乗車証明書発行機で証明書を受け取り、到着駅で精算します。
【鶴見線のひみつ:3】海芝浦駅の先に「公園」がある
海芝浦駅は改札口から出られません。しかし「海芝公園」という公園が隣接しています。海芝浦駅が話題になり、訪れる人が増えたことを受けて、1995年に東芝が敷地を提供し公園を作ってくれました。粋な話ですね。
公園には生け垣に囲まれたベンチもあり、恋人同士の語らいにもピッタリです。海芝公園の誕生をきっかけにして、海芝浦駅はデートスポットとしても人気になりました。
海芝公園からはレインボーブリッジ、つばさ橋、運河を行き来する船、羽田空港を発着する飛行機が見えます。ドリンクの自動販売機とトイレもあります。密を避けて訪れるには良い場所です。入場無料、開園時間は9時から20時30分まで。ちなみに元日は始発電車の到着時に開園し、初日の出を眺められます。
【鶴見線のひみつ:4】「三角ホーム」はネコの集会所
本線と海芝浦支線が分岐する「浅野駅」は、分岐の内側に三角型のプラットホームがあります。
このプラットホームは日当たりが良いせいか、日中はにゃんこがひなたぼっこする姿を見られます。鶴見線は全体的にネコが多い路線とも言えそうです。本線の線路を境に海側が工場地域、反対側は民家が多く、ネコにとって住みやすい地域なのでしょう。
ちなみに駅名は、埋め立て事業を進めた実業家の浅野総一郎氏が由来です(関連記事)。浅野氏は埋め立て地に工場を誘致するため、貨物輸送線路として鶴見臨港鉄道を建設します。この路線が戦時中に国に買収されて国鉄の路線になり、JR東日本に継承されました。
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