昼はネコ、夜は工場夜景 都会のローカル線ワンダーランド「鶴見線」のひみつ10選(2/3 ページ)
【鶴見線のひみつ:5】大川行きが目の前の「武蔵白石駅に停まらない」わけ
鶴見線には3つの終着駅があります。本線の「扇町駅」、海芝浦支線の「海芝浦駅」、大川支線の「大川駅」です。全て鶴見駅から直通電車で行けますが、中でも大川支線は日中に便がなく訪れにくい路線といえます。
大川行きは「武蔵白石駅」には停まりません。大川支線は駅の直前で分かれていきます。浅野駅のように三角プラットホームがあってもいいのに、と思います。
実は、大川支線にも武蔵白石駅がありました。……というより、もともと大川支線は武蔵白石駅と大川駅間を往復運転する路線でした。鶴見方面から大川駅へ行くときは武蔵白石駅で乗り換えていたのです。しかし、それでは不便と言うことと、当時の小型の電車から現在の電車に切り替えるときに、武蔵白石駅のプラットホームが大きな電車に対応できなかったためにこうなったのだそうです。
【鶴見線のひみつ:6】扇町駅は「工場夜景」がナイス!!
鶴見線本線の終点、「扇町駅」は工場地帯のど真ん中にあります。この街の風景は夜がオススメ。LED、水銀灯、赤い警告ランプなど、さまざまな色の灯火が建物を照らします。工場の引き込み線跡もあり、廃線ファンにもグッとくる風景でしょう。
鉄道ファンなら見ておきたい施設が「JR東日本の川崎発電所」です。JR東日本は川崎に火力発電所、新潟県十日町市に水力発電所を保有し、首都圏の電車や駅に送電しています。
東日本大震災後に電力不足になったときは、この発電所が東京電力に電力を提供しました。JR東日本は将来、この発電所を水素エネルギーに切り替えて、CO2排出量を削減する構想を持っています。
【鶴見線のひみつ:7】南武線に乗り換えられる「浜川崎駅」の隠れたワナ
“鉄道ファン”的な鶴見線の見どころは「浜川崎駅」です。
この駅と南武線支線の浜川崎駅は公道を隔てて向かい合う位置関係にあります。JR東日本は「同一駅」と見なしており、鶴見線と南武線を乗り換えるときは運賃が「通算」されます。
しかし注意したいのはSuicaユーザー。鶴見線と南武線を乗り継ぐときは、それぞれの駅の簡易Suica改札機をタッチしては「いけません」。そこで運賃が精算されてしまうからです。何だかワナのようです。
ちなみに、鶴見線の浜川崎駅から扇町駅方向へ進むと、貨物列車用の線路がたくさん並ぶ場所があります。鶴見線の名物は貨物列車。化学製品や米軍横田基地向けのジェット燃料輸送が行われます。この地点を介して鶴見線は南武線とつながり、貨物輸送に役立っています。でも旅客電車だけは直通しません。南武線と鶴見線が直通すれば、工場に通勤する人には便利だと思いますけれどね……。
【鶴見線のひみつ:8】国道駅は「昭和のまま」時が止まっている
鶴見駅のとなりの「国道駅」。駅名は国道15号線に由来します。昭和5(1930)年にできた頑丈なコンクリート製高架橋の上にある駅。前述したセメント王の浅野総一郎氏の存在感と言えそうです。
高架下の様子は昭和5年のまま変わらず。多くの映画やドラマのロケ地としても使われました。かつては商店も多かったようですが、2021年現在は居酒屋さんが1軒だけ。店名は「国道下」です。鉄道下、国道となりではないのか……。「国道駅下」が縮まったのかな。
国道駅の近く、国道沿いにはコンビニがあります。ここで何かを買って、鶴見川の川岸や芝浜公園でランチにするのもお勧めです。
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