子どものころ、どういうわけか恐怖を感じたものはありませんか。大きくなってから考え直してみると、どうしてそれが怖かったのかよく分からない。だけど幼少期は近づくのも嫌だった場所や物品に皆さん覚えがあると思います。
今回ご紹介する作品は、子どもの頃に怖かった「人形」にまつわるお話。単なる思い出語りでは終わらない、不気味な物語をお楽しみください。
これは高校生になった高橋くんの思い出話。小さい頃の高橋くんには、家に置いてあったヴィンテージ雑貨の人形がとても恐ろしいものに見えました。
それは額に“TOD"と書かれたディスプレイ人形で、家族からは通称「トッド」と呼ばれていました。子どもの身の丈ほどもあり、妙にリアルで生気の無い顔をしたそれは、夜中に動き出しそうな不気味さを放っていたのです。
ひどくやんちゃで聞かん坊だった幼少期の高橋くんは、両親から怒られる時にはしょっちゅう「いい子にならないと夜中にトッドがやってきて、お前と入れ替わってしまうぞ」と脅さていたそうです。
その日も妹をいじめて怒られた高橋くん。すぐ人形を持ち出しておどすお父さんに「ヒキョーだ」と憤りながら眠りに落ちると、なぜか目の前にトッドが“立っていた”のです。トッドはゴツゴツと足音を立て、高橋くんにおそいかかります。
泣き叫びながら逃げ惑う高橋くんでしたが、どれだけ走っても寝室にたどり着けません。やがて追い付いたトッドは高橋くんを捕まえ馬乗りになり、不気味な表情を浮かべながら「かわろ、かわろ、ね、かわろ」と語りかけ……。
それから月日が流れ、高校生になった高橋くんは、幼少期の“悪夢”を友人に語ります。「子どもの頃と今の自分って、本当に同じ人間とは思えない」。過去の所業から想像もできない好青年となった高橋くん。本当に2人は“同じ人間”なのでしょうか……。
作者は漫画家の田口翔太郎(@FK0lPovNxqbaPSV)さん。マンガアプリ「マンガワン」及びWebマンガサイト「裏サンデー」にて、ホラー漫画『裏バイト:逃亡禁止』を連載中、同作品の単行本は3巻まで発売中です。
(たけしな竜美)
作品提供:田口翔太郎(@FK0lPovNxqbaPSV)さん
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