加賀温泉駅「のどぐろと香箱蟹と甘えびの三昧弁当」(1480円)〜京王百貨店新宿店・第56回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(1/12 ページ)
毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! きょうは加賀温泉駅「のどぐろと香箱蟹と甘えびの三昧弁当」(1480円)です。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2021年1月13日)
通勤における「3密」を避けるべく、注目されているのは、有料指定制の通勤ライナー。
東京の新宿と多摩地区を結ぶ京王線でも、平成30(2018)年から、新宿〜京王八王子・橋本間に「京王ライナー」が運行されています。
ダイヤ改正の度に本数を増やしており、通勤が必要な方は朝夕ともに“密”を回避して、ゆったりと通勤する時代に入ってきていることを感じさせる列車です。
そんな京王線の始発駅・新宿駅の京王百貨店では、令和3(2021)年も、1月7日から20日まで、「第56回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が開催されました
全国各地の駅弁業者が、新作駅弁や伝統駅弁を引っ提げて一堂に会し、年の初めに、多くのファンを集めて開催される、この駅弁大会。
駅弁屋さんにとっては、“一年の計は京王にあり”と言っても過言ではない一大催事です。
昨年(2020年)の「第55回大会」に続いて、駅弁大会の陣頭指揮を執るのは、京王百貨店新宿店の堀江英喜統括マネージャー。
私たちはもちろん、駅弁業者も百貨店の催事も非常に厳しい情勢のなか、どのようにして開催にこぎつけることができたのか?
駅弁大会のポイントと合わせて、お話を伺いました。
─今回の主な企画にはどんなものがありますか?
10年前の東日本大震災で被災し、去年(2020年)にようやく全線運転再開にこぎつけた「常磐線復旧記念特集」や、「明治創業の老舗駅弁屋の新作特集」。
さらに、丑年にちなんだ「干支の牛肉弁当特集」などを企画しました。
また、鉄道写真家の櫻井寛さんや日本鉄道構内営業中央会事務局の沼本忠次さんにご協力いただいた企画も展開しています。
─コロナ禍での開催、ご苦労も多かったでしょうね?
コロナ禍での開催となりましたので、お客様の「行かなくちゃ!」といった気持ちを強く刺激するような企画は行わないことになりました。
このため、例年行っていた「対決企画」は、今回は行っていません。
そのぶん、「駅弁」の背景にあるものや「駅弁」という食文化を育んだ鉄道にスポットを当て、より“原点回帰”を目指した駅弁大会となりました。
─今回、最も気を遣われたであろう「コロナ対策」は、どのように行いましたか?
お越しいただいたお客様に分散してお求めいただくため、会場を3つに分けました。
実演駅弁とうまいものが「7階大催場」、輸送駅弁が「5階特設会場」、そして従来から駅弁を販売している「中地階エキサイティングスポット・デリカコーナー」の3ヵ所です。
企画段階では、系列のホテルや西口広場などの使用も検討しましたが、コスト面など、さまざまな制約もあって、百貨店内の3ヵ所に落ち着いた格好です。
─待たずに買えたり、人と人の接触をできるだけ減らす「工夫」はありますか?
駅弁の「インターネット予約」を本格的に行っています。
従来、一部の高額駅弁などで予約販売を行っていましたが、今回は会場で販売している一部の駅弁も、公式サイトから受け取り3日前までご予約いただくことができます。
クレジット決済ですので現金のやり取りはなく、5階に特別に設けられた「駅弁事前ご予約お渡し場」でのお受け取りとなります。
(京王百貨店新宿店・堀江マネージャーインタビュー、つづく)
今回、ネット予約にも対応した駅弁の1つに、北陸本線・加賀温泉駅の「のどぐろと香箱蟹と甘えびの三昧弁当」(1480円)があります。
コチラは、「駅弁屋さんの厨房ですよ!」シリーズにもご協力いただいた「高野商店」が、実演販売しており、昨年の好評を受けて今回も登場。
京王百貨店新宿店では、前半の1週間、1月13日(水)まで販売しました。
【おしながき】
- 醤油ごはん
- のどぐろ焼き(金沢の出汁仕込み)
- 玉子焼き
- 煮物(人参、椎茸)
- 小松菜
- ごぼう
- れんこん
- 栗甘露煮
- 香箱蟹のいなり寿司
- 甘えびのいなり寿司
金沢の出汁で仕込んで焼き上げられたのどぐろと野菜のご飯と、香箱蟹と甘えびのいなり寿司を組み合わせて3つの味が楽しめる「のどぐろと香箱蟹と甘えびの三昧弁当」。
甘えびのいなり寿司には金粉も載って、より一層、金沢らしさを演出しています。
7階・大催場のブースでは高野社長自ら、併売している「加賀のかにすし」を製造中。
北陸地方の大雪の影響を受け、カニの調達に難儀した日もあったそうです。
京王百貨店新宿店「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」における名物スポットの1つ、昔の客車を模した「お休み処」は、残念ながら今回、設置がありません。
手短に購入を済ませたら我が家で、あるいは職場の昼ご飯として、鉄道旅を思い浮かべながらいただけば、より味わい深いはず。
そして、いい時期になったら、ぜひ現地へ足を運びたいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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