旅客機の路線の中には、明らかに距離が違うのにフライト時間がほぼ変わらない「はて?」な路線がいくつか存在します。
例えば、東京(羽田)〜大阪(関西)間と東京(羽田)〜広島間の路線。時刻表を見ると所要時間はどちらも1時間25分です。東京から大阪と、東京から広島、どちらが遠いかは皆さんご存じの通り、広島は大阪よりさらに先、直線距離で約200キロ離れています。クルマで行くならば少なくとも2時間以上は掛かる距離。でもなぜフライト時間は同じなのでしょうか。
飛行機は行き先によって「飛ぶ経路」が異なる
見かけ上の距離が違ってもフライト時間に差がほとんどないのは、飛行機の「飛ぶ経路」が関係しています。
道路のように、旅客機にも空中に「航空路」が決められており、交通ルールも厳格に定められています。旅客機も空の交通ルールを守って、基本的に航空管制官からの指示に従って飛行しています。
東京(羽田)〜大阪(関西)空港を飛行する場合、飛行機は和歌山湾や淡路島の上空をぐるりと回って飛行する遠回りのルートが定められています。一方、広島空港に向かう場合はほぼ直線で飛行します。関西空港行きは飛行距離が長く時間が余計にかかるので、結果としてフライト時間がほぼ同じになるというわけです。
日本では、国土交通省航空局が「標準飛行計画経路」として基本的な飛行ルートを定めています。標準飛行計画経路では、大きな空港の場合は空港ごとに、それ以外は地方に応じた基本ルートが設定されています。
多くの旅客機には、座席モニターで「自分の乗っている飛行機が今どこを飛んでいるか」が分かる機能があります。路線によっては「え、そんなに遠回りするの」といった経路を飛ぶ場合もあります。飛行機に乗る機会があれば、自分の乗っている飛行機の飛行ルートを確認してみるのも楽しいですよ。
(大泉勝彦)
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