何になるかな? リニア中央新幹線の「列車名」 新幹線の列車名・愛称のひみつを探る:月刊乗り鉄話題(2021年6月版)リニア中央新幹線の「列車名」大予想(1)(2/2 ページ)
「のぞみ」「ひかり」「こだま」「はやぶさ」「こまち」「さくら」「みずほ」などなど、新幹線の愛される列車名・愛称の由来とは……。
「のぞみ」はどう決まった? 「ひかり」より速いものはないので、困った困った……
時は流れて1992(平成4)年。航空事業の規制緩和で国内線航空便が活発になります。そこで東海道新幹線も新たな最速列車で対抗しました。
最新型の300系電車を導入し、列車名は……。困りました。「ひかり」より物理的に速いものはありません。仮称として内部で「スーパーひかり」と呼ばれていたそうです。
これではあんまりだと公募し、外部有識者を招いて討論したところ、「きぼう」に内定したそうです。
当時、「きぼう」は修学旅行電車の愛称でした。明るい未来、つまり、光の差す方向へ導くという意味もあります。この「きぼう」になりかけたとき、選考委員の一人、作家の阿川佐和子さんが、父親で鉄道好きの阿川弘之さんに話したところ「列車愛称は大和言葉がいい」と助言し、「のぞみ」になりました。これは有名なエピソードです。
「のぞみ」の列車名もルーツがあります。戦前、満州鉄道で1934(昭和9)年から1944(昭和19)年まで走った急行列車でした。何と前述した「ひかり」とともに走っていました。「のぞみ」と「ひかり」は48年ぶりの再会です。
このように列車に名前があると、まるで擬人化したようにドラマチックな説明ができますね。
次回は列車名命名ルールの法則をまとめ、リニア中央新幹線の列車名を大予想。「富士」? んー、どうでしょうね。お楽しみに。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。日本鉄道全路線の完乗率は100%(2021年4月時点)
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