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ジブリ美術館1年半ぶりの本格企画展「アーヤと魔女」展に行ってきた! ジブリ初の長編3DCG映画はどのように作られたか(1/2 ページ)

さっそく展示を内覧してきました。

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 宮崎吾朗監督3作目の長編映画として、8月27日に劇場公開される「アーヤと魔女」。その企画展「アーヤと魔女」展が三鷹の森ジブリ美術館で始まっています。同館は日時指定の予約制。今回は特別に、開館前の時間帯に展示の様子を内覧させてもらいました。

宮崎吾朗監督の「アーヤと魔女」は8月27日に劇場公開予定

 スタジオジブリとして初の長編3DCG作品となった「アーヤと魔女」。今回の展示は、作品が出来上がるまでの工程をセクションごとにひもといていく内容です。果たして3DCGと伝統的なセルアニメーションの制作手法の違いとは……?

設定画、解説ムービー、体験型展示などバリエーション豊か

 入場してまず目を引くのが、吾朗監督の作業机を再現したコーナー。完成映像の設計図となる絵コンテが生み出された空間を追体験できます。今作では絵コンテをムービー化して、アニメーターはそれを参考に動きを付けていったとのこと。

コンテを最初から液タブで描く方法もありますが、吾朗監督は紙に描いた後、スキャンで取り込んだものをムービー化するスタイルを採用。机の脇には「アーヤ」の企画書も展示されていて、監督の作品への意気込みを感じることができます。

 続けてキャラクターができるまでを紹介するコーナー、背景美術、プロップ(作中に登場する小物)などのメイキングが。設定画が単体で展示されているわけではなく、それが次の工程にどのように受け渡されていくかも丁寧に解説。その合間には、映像と音声による解説ムービーも複数用意されていて、お子さんやアニメに詳しくない人が見ても分かりやすい展示になっていました。

キャラクターデザインの近藤勝也さんによる4面図を元に、3Dのモデルを作成
モデルデータを紙に印刷した上に近藤さんが修正指示を手描きで加えて、いきいきとしたキャラが生まれるまでを追います。ここでは髪の質感への修正指示が
3Dならではの工程としては、キャラをスムーズに動かすための仕込みに当たる“リギング”の解説や、2Dと3Dにおける“レイアウト”の役割の違いの解説なども。解説は映像も交えて行われる
美術設定のコーナーでは、作中に登場するいろいろな場所を大きなサイズで展示。美設をこんなサイズで目にする機会はなかなかないので、作品世界に迷い込んだような感覚が味わえます。

 体験型の展示としては、キャラに表情付けができるタブレットを設置したコーナーがなんともユニーク。アーヤの顔の上に表情を調節するコントローラーが表示されており、それをいじると思い通りの表情に……ならない!

表情付けがなかなか難しい……!
タブレットの正面には鏡も設置。吾朗監督は「キャラの表情はアニメーターの表情に似がち」との説を提唱しているらしく、完成したキャラの表情を自分の表情と見比べてみると面白そうです。パネルには作品に参加した世界各国のアニメーターの似顔絵もずらり

 良い表情にするのがなかなか難しく、失敗するとアーヤが思い切り変顔になってしまいます(写真は比較的上手にニッコリさせられたときのもの)。3DCGというとPCがいろいろ自動で作ってくれるのでは? と思ってしまいがちですが、実はこのように細部に至るまで、各スタッフがこだわって作っていたのだなと実感できるコーナーです。

(C)2020 NHK, NEP, Studio Ghibli (C)Museo d’Arte Ghibli (C)Studio Ghibli

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