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「ずっと地元にいたい、でも海外で見つかりたい」 ギャル全盛期から20年、世界を目指すギャル誌『egg』に野望を聞いてみた(1/2 ページ)

渋谷から地方へ、そして世界へ。

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 ギャル雑誌『egg』が8月2日に夏号を発売しました。創刊された1995年はまさにコギャル最盛期。当時のギャルはまさに流行を先導する存在でした。まだまだギャル熱冷めやらなかった2000年代を過ぎ、それが2010年代に入るとメイクもファッションもナチュラル路線がトレンドに。同誌が2014年に休刊したのを機に、もはやギャルは過去の存在と見なす向きも強くなりました。

 しかし『egg』はYouTubeチャンネルとSNSを開設し、2018年に再スタート。国内外のターゲットへ向け毎日1本のペースで動画公開を続ける一方で、2019年からは年2回の刊行ペースで雑誌も復活。2021年の今もギャルの“いま”を発信し続けています。

egg 赤荻瞳 瀬戸ももあ ギャル ドージャ・キャット インスタ YouTube
1997年に刊行された『egg』10号、ロゴは今も変わっていません
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赤荻瞳編集長

 2018年3月からWeb版として復活した『egg』はSNSを巧みに使い、YouTubeでは約40万人のフォロワーを獲得。復刊号は部数非公開ながら発売2週間で完売し、夏冬にリリースする紙媒体は現在まで堅調に実売を伸ばし根強い支持を得ています。復活のしかけ人となった赤荻瞳編集長は「買って読み終わったら捨てる雑誌から、メモリアルの記念品としてコレクションしていく雑誌文化に変わってきている」と分析。海外にもファンベースを築き、音楽活動を足掛かりに海外進出を目標に掲げています。

 一方でコンテンツの中心となるモデルたちは東京・渋谷にこだわらず地方在住のまま人気を獲得。平成ギャルとは一線を画す“令和ギャル”の現在について、赤荻編集長と現役ギャル代表として『egg』モデルの瀬戸ももあさんに話を聞きました。

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瀬戸ももあさん

渋谷から地方へ――「日本最強のギャル集団に、『egg』はなったんだと思います(笑)」

―― 最新号の表紙には牛久大仏! モデルの地元で撮影したそうですね。ギャル=渋谷というイメージが強いので意外でした。

赤荻編集長 なぜか分からないけど地元愛が強いギャルは多いんです。地方によってキャラが違う。茨城の子は強めというか、ヤンキーと紙一重っぽいビジュアルだったり(笑)。東京より大阪や関西の子の方がカラフルで個性的、派手な印象。地元色があって面白いですね。でもやっぱりみんな渋谷には憧れがあって、「渋谷でギャルやる」って今も変わらぬバイブルです。

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『egg』2021年夏号

ももあ 私も地方出身で愛知に住んでいます。お仕事も東京も渋谷も好きだけど、絶対に地元から離れたくない。住んでいる場所が田舎だからか、東京に行くと「やっぱこっちいいな〜」ってなります。家族や友達の存在は本当にでかいです。地元のみんなと離れるのはイヤすぎ。人によるけど、地元を絶対離れたくないって子は結構いますね。

赤荻編集長 今の『egg』は全国から集めたギャル連合で、東京出身の子は1人しかいません。昔は渋谷で遊んでる子の中からeggモデルをスカウトするしかなかったんですけど、今はSNSで全国のギャルを見つけてスカウトできる。そういう意味でいうと、日本最強のギャル集団に『egg』はなったんだと思います(笑)。

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自宅からリモートで取材に応じてくれたももあさん
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「東京も渋谷も好きだけど、絶対に地元から離れたくない」

―― 令和のギャルを一言で表すと?

ももあ 「かわいい」(笑)。それに「自由」。見た目とかも今はいろいろジャンルがあって「ギャルだったらこういう服を着なきゃ、こんな髪形しなきゃ」ってのが全くない。自由に楽しむのが好きです。

赤荻編集長 いつの時代も変わらないんですが、自由と個性の象徴がギャル。ネットが普及してたたかれるとかあるかもしれないけど、流されずに自分のやりたいことをやるのがギャルの流儀。見た目じゃなくて感情の問題になっちゃいますが。

 細分化されすぎて、「これをしていたらギャル」と言えなくなっちゃった。ギャルは見た目だけじゃないので、自分の好きなことを突き詰めていたらギャルだと思います。年齢や性別、そして国籍も関係ない。モテるからやるとかではない。好きなものは好き。好きなものを貫く。言いたいことを言う。自分の気持ちにウソをつかないという精神や生き様=ギャルです。

―― ギャルは見た目ではなくマインドだと。一方でギャルに偏見を持つ層も少なくないと思います。

ももあ 別にしょうがないんじゃないですかね。SNSとか(心ない)コメントもあるんですけど、本当に気にならないんで分かんないです。ギャルって“普通”とは違うじゃないですか。奇抜なメイクとか髪形とか、格好とかしているからそりゃ偏見持っている人がいてもしょうがない。イヤなことをいわれてもやりたいと思うからやっているし、言われたところで何とも思わないですね。

赤荻編集長 ポジティブだからか、私は逆にラッキーだと思っています。普通のことをしていても、普段の印象が良くない分、何でも褒められる(笑)。ギャルってみんなポジティブなんです。

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令和ギャルは彼氏の名前をネイルに入れちゃう

「いまはギャルのアイコン的存在がいない」多様性の時代がギャルにも到来

―― 『egg』は2014年に休刊となり、ギャルは過去の存在と捉える人も存在します。

赤荻編集長 昔のように毎月雑誌を買う感覚が今の若い子たちにはない。モデルにしても、逆に毎月雑誌があったらパンクしちゃいます。今は年2回しか出ない雑誌だからこそ、希少価値が上がってファンもモデルもそこへ向けてテンションを上げられる。

 2014年当時、確かに渋谷やストリートにはギャルが少なくなっていたけれど、地方にはまだまだギャルがいましたし、自己プロデュースする場がSNSへと移っていくタイミングだった。私自身も当時は現役ギャルでした。

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現役ギャル時代の赤荻編集長、当時高校2年生

―― 雑誌文化がネットに押されて勢いを失っていく中、『egg』はネットをうまく使っているように感じます。

赤荻編集長 ありがとうございます。復活当時、最初から雑誌を出すのはリスクが高かったし、動画の時代になってきていたのでまずはYouTubeに。そしてTwitterの企画で1万RTで雑誌復活を掲げてみたら、2時間くらいで達成できてしまって。とはいってもネットで無料で何でも情報が得られる時代に、毎月雑誌を買うのはきついだろうと年に2回雑誌を発売しています。

 ギャルが見ている雑誌と勘違いされがちですけど、『egg』の読者やフォロワーには黒髪で清楚(せいそ)な子もいて「自分はギャルじゃなくても面白くて見ています」という声もいただきます。もともと雑誌で見ていた世代が母親になって娘と見ているとか、そういうお声も届いています。

ももあ 私は好きなメイクをしているうちに、周囲から「ギャルだね」っていわれだして、最初はうれしくなかったんです。「別にギャルやりたいわけじゃねーし」って(笑)。でも『egg』のYouTubeを見つけて、みんなすごいかわいい、自分も入りたいと思って今がある。

 『egg』に出させてもらうようになって、自分でもSNSを発信していくうち、ファンになってくれる人が増えてきたり、メイクまねしてますって言ってもらえたりうれしいですね。

―― 編集長という立場から、現役『egg』モデルを見たときに自分の世代から見て変化は感じますか?

赤荻編集長 ギャルの種類がめちゃくちゃ増えました。安室奈美恵さん、浜崎あゆみさんなど時代によってギャルってこうだよねってルックスがあったけど、いまはギャルのアイコン的存在がいない。自分の好きなギャルを自分で追いかける。自分で「私は〇〇系ギャル」と名乗る子が増えていて、把握しきれないほど増えています(笑)。

 前は渋谷やリアルな場所でファッションやメイクを見せていたけど、いまはSNSで自分を見せるのが主流。活躍する場が変わってきたなと思います。

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