「摩周で会いましゅう」釧網本線90周年ツアー 網走〜釧路166.2キロを走破して分かった北海道鉄道旅の再発見(3/5 ページ)
ご存じでしたかー? 北海道はいつ来ても景色がすごいのです。
川湯温泉と硫黄山、「北海道第2の鉄道」はここだった
川湯温泉駅で反対側からきた釧路グループと待ち合わせです。
釧路グループの往路は定期列車「快速しれとこ摩周号」。やってきた列車は「ルパン三世」のラッビング車両と「地球探索鉄道花咲線」のラッピング車両でした。
ルパン三世のラッビングは、原作者のモンキー・パンチさんが花咲線沿線の出身だから。どちらも花咲線用の車両で、参加者の鉄道ファンからも驚きの声が上がっていました。
JR北海道釧路支社の人によると「ウチ、車両が少ないのでやりくりして(実現しました)」とのことでした。こんな心意気がうれしいです。いつか花咲線にも行こう!!
網走グループと釧路グループ、摩周湖で出会った2グループはそれぞれ貸切バスで川湯観光ホテルへ。釧網本線90周年記念式典が開催されました。
地元、摩周湖観光協会の渡辺隆幸会長の歓迎のあいさつから始まり、網走グループと釧路グループのおみやげ交換式、特大バースデーケーキで90周年をお祝いします。ケーキはお子様の参加者で山分けされました。
続いて、川湯温泉と鉄道の歴史について、川湯観光ホテルの中嶋康夫社長が紙芝居で披露してくれました。全編だと2〜3時間に及ぶ大作だそうですが今回はダイジェスト版。機会があったら全部楽しみたい。テクテクライフのようなコラボは、新発見したい短期滞在の旅行者はもちろん、再発見したい地元の人々も参加しやすいかもしれません。
摩周駅の名物駅弁「摩周の豚丼」もいただきました。網焼きの豚肉の香ばしさ、少し甘めのタレを黒こしょうがピリッと引き締めます。このタレがごはんに染みこんでもうパクパクいけちゃう。豚肉も余計な脂が落ちてうまみだけ残ってます。
「冷めてもおいしい」という駅弁のオキテのために工夫した逸品。でも、摩周駅で注文すると近所の製造元「ぽっぽ亭」から“できたて”が届きます。駅でもう1つ買っていた人もいたなあ。私も買えばよかった……。
ランチタイムと合わせて会場内にレトロな制服の郵便屋さんが登場しました。地元の弟子屈郵便局の皆さんです。参加者には事前に封筒と便箋が配られていて「10年後の私へ」「10年後の釧網本線へ」手紙を書き、出しました。10年後に届くタイムカプセルメールです。
式典とランチのあとは自由散策。希望者はバスで硫黄山へ。ゆで玉子の黄身の匂いが立ちこめます。大きな湯けむりが立ち上り、近づくと温泉が湧き出しています。黄色い岩もいくつか。ゆで玉子食べたいなあ……あ、レストハウスで売ってました。いただきまーす。
「北海道2番目」の鉄道は、この硫黄山から標茶(しべちゃ)まで建設されました。
硫黄はマッチや火薬の材料として重要な資源でした。明治20年に安田財閥の安田善次郎氏が採掘権を獲得すると、釧路集治監(現・釧路刑務支所)の受刑者を動員して標茶までの鉄道「釧路鉄道」を建設しました。安田財閥創世記の大型事業でした。安田善次郎氏といえば、JR鶴見線「安善駅」の由来となった人物です(関連記事/芸術家オノ・ヨーコさんの曾祖父でもある)。
釧路鉄道は10年ほどで廃止されました。しかし、釧網本線の摩周〜標茶間は当時の釧路鉄道の路盤を使っているそうです。
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