スパイダーマンを1ミリも知らない人たちに勘だけで『スパイダーマン』の物語を考えてもらったらこうなりました
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を見る前に知識ゼロの人でミリしらをやってみたら謎のマルチバースの扉が開きました。
本日1月7日からついに公開された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。大人気ヒーローの最新作とあってファンの間では期待が最高潮に高まっていますが、ねとらぼ編集部の一部ではこんな声もあがりました。「スパイダーマンってそもそもどういう話なの?」と。
ガチ勢の皆さま、怒らないでください。さまざまなシリーズが制作されている歴史の長いヒーローということもあり、確かにそうした人がいることも事実。逆に貴重なサンプルに出会えた、と考えて今回は「スパイダーマンを1ミリも知らない人にスパイダーマンの物語を想像してもらう」という遊びをやってみました。後半には『ノー・ウェイ・ホーム』の試写会にも参戦させてみましたが、果たして現状ミリしら状態の人間でも新作は楽しめるのでしょうか?
スパイダーマンを1ミリも知らない人たち
それを見守る親愛なる隣人
1ミリも知らない人たちで考える「スパイダーマン」
スパイダーマンのことで何か知ってることないの?
本当に一切何も知りません。
スパイダーマンのことを何も知らないまま生きてこれることなんてあります?
長時間の映像を見るのが得意じゃないので、映画全般あまり見ないんです……。
僕はテレビか何かで見かけたことはあるかも……。赤いマントみたいな衣装を着ると飛べるんですよね。
(赤いマント?)まあ飛べる……といえば飛べるのか?
なんかこうやって糸を出してるイメージです!
あ、なんか見たことあるかも!
それくらいのイメージは浸透してるんですね。
とりあえず敵を倒すという話だと思います!
ヒーローの話って全部そうじゃない?
非常にいい感じのレベルだということがわかりました。今日はスパイダーマンに関するいろいろな写真を用意したので、これをもとにどんな話なのかを考えてみてもらえればと。
※今回は映画『スパイダーマン』シリーズ(サム・ライミ監督版)、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(アメスパ)、MCU版『スパイダーマン』シリーズのみに絞って話をしています。ご了承ください。他にもいろいろありますが膨大すぎるので……。
パッと見て明らかに“悪”って人が何人かいる。
まずどれがスパイダーマンだと思いますか?
絶対これですよね。天井に張り付いてますもん。
でも変身してないよ? 変身しなくても能力は使えるの?
衣装は中に着てるんじゃない?
衣装じゃなくてスーツって言ってくれ。
でもこのスパイダーマンと顔が違くない?
あれ、じゃあこっちがスパイダーマン?
握手してる人は何? いろんな「マン」がいっぱい出てくるの?
序盤からめっちゃ混乱してる。
まあそうなると思うのでひとつだけヒントを出すと……この中にスパイダーマンは3人います。
3人!? スパイダーマンってどういうシステムなの?
わかった! 衣装を着たら誰でもなれるんだ!
あー、代々受け継がれていくんだ! じゃあ最初の人が初代で息子が2代目スパイダーマンになる!
ちょっと原作スパイダーマンっぽい話になってるの笑う。
さっきの握手してた人は初代と一緒に戦った父のダチマンで「君があのスパイダーマンのジュニアかね」って挨拶をしてるシーン。
もう1人のスパイダーマンっていうのは……やっぱこれだよね。
絶対そう! ダークスパイダーマンみたいなやつ!
洗脳されて悪者になったとか?
スパイダーマンの衣装をコピーしたとかもありそう。この人がそういうマッドサイエンティストなんじゃない?
それだ! ヒーローものって絶対そういうキャラいる!
純粋な敵っていうより「自分のやりたい研究ができるなら手段は選ばない」ってタイプ。それで生まれてしまったのが悲劇の戦士・ダークスパイダーマン!
3人のスパイダーマン問題が意外な形で決着した。
この人だけ何も特徴がないんだけど誰だろう。モブ?
カメラを持ってるからサポートキャラっぽい。主人公の相棒みたいな。
うわーありそう。さわやかイケメンでなぜか主人公と仲良くしてくれるキャラ。親友なんだけど途中で裏切るとか。
じゃあこの人がダークスパイダーマンになるんじゃない?
ありそう! 親友と戦わなきゃいけないことに悩みながら闇落ちしていくんだ。
めちゃくちゃキャラ立ってるな、ダークスパイダーマン。
本編もそんな話だったような気がしてきますね……。
この右の人が一番悪い顔をしてるから多分ラスボスなんじゃないかな。
そうか、闇の組織のボスでさまざまな怪人を生み出してスパイダーマンを倒すために送り込んでくるんだ……。
まだ何にもしてないのに闇の組織に恨まれてるスパイダーマンかわいそう。
左の人って息子じゃない?
この人だよね。
絶対闇落ちするシーンじゃん。
あ、この人も主人公の友だちとか! ラスボスに利用されて「お前の友だちのスパイダーマンを殺せ」って洗脳される。
友人みんなに裏切られていくスパイダーマンかわいそう。
ラスボスが決まったからあとの悪そうなやつは大体敵ってことでよさそうですね。小悪。
数々の名ヴィランたちが「小悪」でひとくくりにされた。
敵が多すぎるから1人くらい味方がいてもいいんじゃない?
確かに……。じゃあ逆に一番敵っぽい感じのこの人が味方とか。
見た目も魔法使いっぽいしスパイダーマンの師匠的なポジションにいそう。フードを被ってるのは呪いで陽の光の下には出てこれないから。
普段は人目を忍んで生活していてときどきスパイダーマンが困ったときにはアドバイスをくれる存在! 完成しました!
スパイダーマンを1ミリも知らない人が考えたスパイダーマン
闇の組織が送り込んでくる数々の小悪と戦い続けていたスパイダーマン(初代)だったが、度重なる友人の裏切りに合い次第に戦う意味を見失っていく。息子はそんな父を見て「絶対に自分はスパイダーマンにはならない」と思っていた。しかしある日、腰をいわせてしまったスパイダーマン(初代)がついに戦えなくなってしまった。息子は助言してくれるが夜にしか出てこれない謎の師匠や父のダチマンに説得され、ついに2代目スパイダーマンとして立ち上がるのだった……。
意外とつながったストーリーができるもんですね……。
めちゃくちゃ頑張ったのに最終的に腰痛で引退するハメになる初代が不遇すぎる。
主なスパイダーマン映画は3シリーズあるよ!
大体あってる自信があります! どうですか?
いや、全然違うけど。
でもところどころかすってるところはありましたね。
まず3人のスパイダーマンがいるってところが謎すぎました。
簡単に言うと違う俳優で3シリーズの『スパイダーマン』映画があるんですよ。それぞれのお話はつながってません。
えーそういうことなんだ!
いろんな主人公がいるってことですか?
そうです。3シリーズともピーター・パーカーというキャラがスパイダーマンになるんですけど、俳優や細かい設定がちょっとずつ違うんです。
まずサム・ライミ監督の『スパイダーマン』シリーズの主人公がこの人です。
主人公の親友じゃなかった。
この人はその次の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの主人公ですね。
初代スパイダーマンじゃなかった。
そしてこの右の人が現在進行中のMCU版『スパイダーマン』シリーズの主人公です。
その3人は全然絡みないんですか?
そもそも違う世界の話なので全然絡みないです。そこらへんが新作の『ノー・ウェイ・ホーム』での注目点でもあるんですが……それはいったん置いときましょう。
ベースはどれもスパイダーマンなので基本的な設定はわりと共通してます。例えばピーター・パーカーはいじめられっ子の学生で、特殊なクモに噛まれたことで超人的な能力を得ることになるとか。
あー、それで体から糸が出るようになるんだ!
そこ微妙に違うんだよね。ライミ版は手から直接糸が出るんだけど他のスパイダーマンは手首に「ウェブシューター」という糸を発射する機械をつけてるんです。
え、あれ自分で出してるんじゃないんだ。
どこからその機械が出てくるんですか?
ピーターはめちゃくちゃ優秀な科学オタクなので自分で作るんです。強力な糸も自分で調合して常に補給してる。
思ったよりハンドメイドなんだ、スパイダーマン。
さっき全く話に出なかったけど、そもそもスパイダーマンはどうして戦ってるんだと思います?
そういえば考えもしなかった。ヒーローなんだから戦うのは当たり前だと思って……。
雑だけど、ある意味合ってる。
確かに。スパイダーマンに出てくる名言に「大いなる力には、大いなる責任が伴う」って言葉があって、ピーターの戦う動機にはその言葉が常にあります。
あ、その言葉ネットで見たことある! スパイダーマンが元ネタだったんだ。
両親のいないピーターは叔父さんと叔母さんと一緒に生活してるんですが、スーパーパワーを手にして調子に乗ってしまったことがきっかけでベン叔父さんを亡くしてしまうんです。反省したピーターは叔父さんが遺したその言葉を思い出して、スパイダーマンとして人のために自分の力を使うようになる。
結構悲劇のヒーローなんですね。
学校とバイトの合間に自主的なヒーロー活動もしてるめちゃめちゃ苦労人なのよね。スパイダーマンやってるせいで遅刻して「やる気あんのか!」って怒られたり、いつもお金に困ってたりしてかわいそう。
若いのにえらいなあ……。
あと、スパイダーマンの敵は基本的にそこらへんにいる強盗とか暴漢なので闇の組織みたいなのはあんまりいないんですよ。「親愛なる隣人」として街の人から愛されるヒーロー。
当たり前みたいにそこらへんに強盗や暴漢がいる世界イヤだな……。
でもそしたらさっき出てた怪人みたいな人たちはなんなんですか?
まあいろんな理由で怪人みたいになってしまった人ですね……。
この人たちは実際親子で息子のほうがピーターの親友っていうのも合ってます。父親が実験の失敗で強大なパワーを得る代わりに人格も変わってしまう「グリーン・ゴブリン」というヴィランになります。
ちなみに息子が闇落ちして敵になるというのも合ってました。この「グリーン・ゴブリン」は別の形で『アメイジング・スパイダーマン2』にも出てきます。
スパイダーマンだけじゃなくて敵もシリーズによって違う出方をするんですね。
この人も優秀な科学者なんですが、実験の際の事故で人工アームに精神を乗っ取られて「ドクター・オクトパス(ドック・オク)」というヴィランになっちゃいました。
この人は病気の娘のために金を盗んでいるワケありの犯罪者なんですが、警察から逃げているうちに実験の事故に巻き込まれて「サンドマン」というヴィランになっちゃいました。
この人も爬虫類の力を研究していた別にマッドじゃないサイエンティストなんですが、実験の失敗で「リザード」という怪人になっちゃいました。
この世界、実験に失敗しすぎじゃないですか?
なのでまあ最初から純粋な悪という敵キャラは意外と少ないんですよ。
ダークスパイダーマンは何の実験に失敗したんですか?
これは宇宙から降ってきた黒い液状の生物にスパイダーマンが浸食された姿です。正しくは「ブラック・スパイダーマン」というようですね。
ピーターがいろいろうまくいかなくなって闇落ちした状態ですね。ピーターは自力でこの生物を引き剥がすんですが、今度は違う人にとりついて「ヴェノム」という怪人が生まれます。ヴェノムはスピンオフとして単独シリーズも展開されてる人気ヴィランですね。
この助言をくれそうな人は……?
この人は元々スパイダーマンファンの電気技師だったんですが、事故で電気人間の「エレクトロ」という敵になってしまいました……。
普通に敵だった。
スパイダーマンの世界、事故ゼロ運動に力を入れてほしい。
アベンジャーズがいる世界での『スパイダーマン』
ライミ版、アメスパがそれぞれ独立した『スパイダーマン』の話だということはわかりましたかね。
わかりました!
MCU版がちょっと特殊なのはアイアンマンやキャプテン・アメリカ――つまり「アベンジャーズがいる世界にスパイダーマンが存在したら」、という話なんですよ。
他のヒーローもいるんですか?
そうそう。この世界のスパイダーマンは「アベンジャーズに入りたい!」って憧れてる新米ヒーロー。他の2シリーズより年齢も低くて無邪気で子どもっぽいキャラとして登場してます。
アイアンマンが高性能なスーツを作ってくれたり「お前はアベンジャーズなんかに憧れないで親愛なる隣人として身近な人たちを助けなさい」って諭したり、ちょっと父親的な関わり方をするのも面白いですね。
へー、じゃあスパイダーマンもそのへんのひったくりとかじゃなくて宇宙規模の敵と戦うんですか?
まあ最終的にはそうなるんだけどそのへんの紆余曲折が面白いんで詳しくは見てください。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』などではスパイダーマンも大きな戦いに参戦するんですけど、『スパイダーマン:ホームカミング』や『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ではわりと“親愛なる隣人”としてのスパイダーマンが描かれますよね。ピーターの恋模様とかもスパイダーマンの重要な要素なので。
スパイダーマンって恋するんだ。
なんなら恋がメインくらいまである。
過去シリーズでもMJやグウェンといったヒロインとの恋愛が大きなテーマになってます。スパイダーマン活動が忙しくてデートに遅れたせいでフラれて悩むとか。
逆に「僕と一緒にいると悪者に狙われて危険だから好きだけど別れよう」ってピーター側から距離置いたりもするよね。
恋人はピーターがスパイダーマンだってことは知ってるんですか?
シリーズによって多少違いますけど大体ピーターの親しい人は途中で正体を知ることになりますね。
意外とバレてもいいんですね。
身近な人くらいならね。ただ前作の最後で「スパイダーマンの正体が世界中にバレる」っていうとんでもないサプライズがあったんです。
その正体をバラしちゃったのがこの「ミステリオ」というキャラなんです。
父のダチマンだ!
悪い人なんですか?
ミステリオは最初「自分はマルチバース――つまり異次元世界から来たヒーローだ」といって世界中を騙すんです。非常に手の込んだ嘘なのでスパイダーマンも含めてみんなそれを信じちゃうんですけど、まあ結論としては悪い人でした。
父のダチじゃなかった……。
で、嘘に気付いたスパイダーマンに倒されるんですが、最後に「ヒーローのミステリオを殺した犯人はスパイダーマンだ」というデマ映像を世界中に拡散してしまうんです。さあどうなる、というのが今回の『ノー・ウェイ・ホーム』というわけ。
えー、めちゃめちゃ気になりますね。
しかも今作は予告の段階で非常に注目されてることがありまして……実は予告編に過去のライミ版、アメスパに出ていた敵キャラらしき姿が次々に出てくるんですよ。この人とか。
小悪の人だ!
いや、このヴィランめちゃくちゃ人気あるんだよ……。
え? でも過去のシリーズと今のスパイダーマンは別の話なんですよね。
そこでミステリオの言ってた「マルチバース」って考えにつながるんです。ミステリオの話はまるっきり嘘だったけど、元々アメコミでは「マルチバース」って概念は定番のもので、異次元世界の登場人物同士が出会う話っていっぱいあるんですよ。
前作でも予告の段階で「ついに映画でマルチバースが実現するのか!?」ってファンはざわついたんですけど、今回は事前情報の段階ではっきり「マルチバースの扉が開かれた」と言っているんですよね。
つまり、今のスパイダーマンと過去のスパイダーマンの敵が戦う……ってコト!?
わからない……MCUは大体予告以上に衝撃の展開があるからもっとすごい仕掛けがあるのかも……。
スパイダーマンって今そんなことになってたんだ……絶対見たい。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を見に行ってみた
というわけで、1ミリもスパイダーマンを知らなかった2人を連れて一足早く『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の試写会に行ってきました。ネタバレになるのでここではあらすじのみの紹介にとどめますが一言だけ……マジで想像を超える傑作でした!
世界中にスパイダーマンであることがバレ、さらにヒーローのミステリオを殺した容疑者にされてしまったピーター・パーカー。自分だけでなく彼女のMJや親友のネッド、メイ叔母さんにも被害が及んでいることに悩み、アベンジャーズで共に戦った魔術師、ドクター・ストレンジに助けを求めます。
「自分がスパイダーマンだという記憶をみんなから消してほしい」と頼むピーター。ところがドクター・ストレンジの呪文を邪魔してしまったせいで失敗を招き、さまざまな異次元世界の存在を呼び寄せる「マルチバース」が現実のものとなってしまいます。
複数のユニバースからの来訪者が同時に存在する非常に危険な状態となったこの世界。彼らを元のユニバースに戻すため次々に襲い掛かる強敵に立ち向かうピーターに突き付けられた「選択」とは――この先はぜひ劇場で確認してみてください。
最後に2人の感想を紹介しておきましょう。
初めてだけど事前に流れを教えてもらっていたのでめちゃめちゃ楽しめました! きっとスパイダーマンに詳しい人ほど「おおっ!」てなるシーンも多いんだろうなと……次は過去シリーズをおさらいしてからもう一度見たいです!
最初はピーターが思ったより子どもっぽいので「何なん!」と思ってましたが、話が進むにつれてそのイノセントさがこのスパイダーマンの魅力なんだなとわかるようになりました。「3つのスパイダーマンシリーズがある」ということだけわかっていれば、あとは劇中の説明でも大体理解できるかと思います! マルチバース、夢があっていいですね……。
スパイダーマンファン必見なのはもちろん、初見でもめちゃめちゃ楽しめちゃう大傑作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、1月7日から全国の劇場で公開中です!
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
- 原題:Spider-Man: No Way Home
- 全国の映画館にて大ヒット公開中!
- 監督:ジョン・ワッツ
- 出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ
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