山田杏奈が役者という“ホームステイ”を通して得たもの Amazon製作による初の邦画「HOMESTAY」出演について聞いた:インタビュー(1/2 ページ)
活躍目覚ましい山田さんがねとらぼ登場。
アイドルグループ「なにわ男子」長尾謙杜さんの映画初主演作品となるAmazon Prime Videoオリジナル映画「HOMESTAY(ホームステイ)」が2月11日から世界同時独占配信されました。
同作は、森絵都さんの小説『カラフル』を実写映像化したもので、Amazon製作による初の邦画作品。「管理人」を名乗る謎の人物に選ばれた魂「シロ」が、同時期に死んだ高校生(小林真)の身体に“ホームステイ”し、家族との葛藤や、優しい幼なじみの晶や真が密かに憧れていた先輩・美月などと関わる中、徐々に真の死の真相に近づいていくストーリーで、ミステリー要素だけでなく、シリアスさやコミカルさ、ファンタジー要素も盛り込んだエンターテインメント作品となっています。
物語の中心となる3人の中で、ねとらぼが注目しているのは晶を演じる俳優の山田杏奈さん。10歳のとき「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリを受賞しデビューすると、2019年公開の映画「小さな恋のうた」で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。2021年は「名も無き世界のエンドロール」「樹海村」「ひらいて」など主演/ヒロインを務めた映画作品が公開され、その演技に定評がついてきました。
以下では、活躍目覚ましい山田さんへのインタビューをお届けします。
母のような感じでシロを見守ることを意識
―― 今作で山田さんが演じているのは、小林真の幼なじみ・晶です。原作の映像化はこれまでにもありましたが、山田さんの価値観に照らした第一印象と、芝居にあたって特に強く感情移入した点を教えてください。
山田 中学生のころ原作の『カラフル』を読んでいたので、この作品をやらせていただけると聞いたとき、すごく懐かしいと思ったのが第一印象です。
原作やアニメ、小説を原作にタイで2018年に公開された映画「ホームステイ ボクと僕の100日間」も見たりしながら晶という存在をどう作っていこうか考える中、物語のメインの軸としてシロの人生があるので、幼なじみという変わらない立ち位置でそばにいてくれる存在として、あまりブレさせず、母のような感じでシロを見守ることを意識してやっていました。恋愛的に見えるというよりは、当たり前にこの2人の過去が見えたらいいなと思い、そこはすごく意識しました。
―― 中学生のころと、この撮影に入ったころを比べると、作品への解像度は上がりましたか?
山田 そうですね。中学生のころは価値観がまだ幼く、シロの苦しさなどをただ感情的に見ていました。今私は21歳になりましたが、あらためて読むと、劇中にも出てくる「人生はしょせん長めのホームステイ」というせりふの意味が昔よりも噛み砕けて演じられたように思います。
中学生のころは、自分がまだ子どもで、これから大人になるにつれ自分自身どんどん成長していくんじゃないかと思っていたんです。さすがにこの年になると中身はあまり変わらないで、人間だけいろいろ重なっていくんだなと気付き出しましたが(笑)。そういう意味で、自己というものはある程度しか変わらないし、誰かが大きく変えてくれるわけでもない。どうせ自分のものでしかないという意味でもあるなというような捉え方をするようになりましたね。
自分の想像以上に人物が魅力的に映る――瀬田なつき監督との再タッグ
―― 今作では2020年公開の映画「ジオラマボーイ・パノラマガール」以来となる瀬田なつき監督とのタッグです。先ほど原作やアニメ、タイの映画作品も挙がりましたが、今作における瀬田監督ならではのアレンジや違いはどんな部分だと感じますか?
山田 瀬田さんの描く作品は女の子が魅力的に映ると思っています。晶も(八木莉可子さん演じる)美月先輩も描かれ方は原作と少し変わっていますが、バランスが難しいアンニュイな感じなどをすごく魅力的にしてくださるのは今回もすごく感じました。
今回の私のケースで言えば、晶は幼なじみとして真に接し、後半になってちょっと女の子らしさが出てきますが、瀬田さんの演出で「もうちょっと女の子らしくしてみましょう」と。完成したものを見るとぐっと魅力的になっていることが多々ありました。瀬田さんとご一緒すると、自分の想像以上に人物が魅力的に映るように感じます。
―― 確かに瀬田監督は女性を輝かせる演出に長けている印象があります。山田さんとの作品作りは3回目になりますが、今作について言えば、山田さんは瀬田監督にどんな引き出しを開けてもらったと感じますか?
山田 「ジオラマボーイ・パノラマガール」は個性的というか、普通の枠から少し外れた考えや行動すら魅力的に見えるような演出だったと思います。一方、今作は普遍的な、立場的にはザ・ヒロインでザ・幼なじみで、ずっと出ずっぱりというわけでもないのですが、箇所箇所で、まなざしやちょっとしたしぐさを瀬田さんがよく現場で付けてくださいました。そういうところを後のフラッシュバックのシーンで印象的に使ってもらって、見せ方を考えていただいたとすごく感じました。
―― 山田さんが今作で好き、または印象的だったシーンは?
山田 撮影していてすごかったのは、序盤で登校時、桜並木を真と2人で歩くシーンです。晶と真の関係性が最初に見えてくるシーンということもありますが、撮影時は本当にいい天気で桜も荘厳で。リハーサルでもたくさん撮影したので、出来上がったものを見ると感慨深かったです。
実際はCGも多くて、現場では最終的な絵が見えなかったので、どんなのが出てくるんだろうと思っていた部分もありましたが、出来上がったものも見たら本当にすごくて感動してしまって。今作は海外でも配信されることもありますが、ああいう視覚的な美しさは世界共通で同じ感覚になるのではないかと思いますが、そこが本当にいいなと思いました。
長尾くんも八木ちゃんも、ご本人たちはめちゃめちゃキラキラ
笑顔満開の山田さん。なお、Prime_Videoでは「ドキュメンタル」がお気に入りとのことです。「全部見ています! あの異質な空気感でのヒリヒリした緊張感すごく好きで。ハリウッドザコシショウさんが印象に残りますよね。お会いしたこともないのにこんな勝手なこと言っちゃダメだと思うんですけど、ザコシさんが私ちょっと怖くて(笑)。圧がすごい、それが好きです」
―― 主演の長尾さんはこれが映画初主演です。撮影中はまだなにわ男子のデビューも決まっていなかったと思いますが、共演されて率直にいかがでしたか。
山田 今回初めてお会いしましたが、目がとてもキラキラしていて。現場がぱっと明るくなる中心にはいつも彼がいました。現場のいい空気感を意識するわけでもなく作ってくれていて、それが本当にすごい人だと現場でずっと思っていました。
役者をやっているとどうしても技術でどうにかしてしまうところがあります。長尾くん自身、たくさん芝居してきたわけではないと思いますが、シロを見ても真を見ていても長尾くん自身の魅力が役を通してあふれ出ていると思うことがたくさんありました。嘘じゃなく自分の感情をすっと乗せられるのがすごいなと。
2人とも関西出身で、カメラが回っていないときは関西弁でがーっと話していて、すごく癒やしのオーラが出ていましたね。八木ちゃんも見た目がすごくキリッとしていらっしゃるので、本人もそういう性格なのかなと思ったら、おっとり天然ちゃんな感じでギャップというか、美月先輩の柔らかいしゃべり方がすごくハマっていてめちゃくちゃすてきだなと。
―― 長尾さんは山田さんについて、カメラが回ってないときはわいわい楽しんでくれてる、でもカメラが回るとすっと役に入り込んでいて刺激を受けたとコメントされていました。山田さん自身が今作の共演者から刺激を受けたことは?
山田 長尾くんも八木ちゃんも、ご本人たちはめちゃめちゃキラキラしているんです。人としての魅力というか輝きをずっと見ていたくなる。年齢的には私の1つか2つ下ですけど、素敵だなかわいいなって感じで見ちゃっていました。本人の魅力を輝かせる瀬田さんの演出もあって、キラキラしている2人を見ていてすごく刺激を受けました。
自分自身が楽しむこと――
―― 近年の活躍に目が行きがちですが、山田さんの芸歴はもう10年以上です。今、芝居で山田さんが大事にしているのはどんなことですか?
山田 今は“自分自身が楽しむ”ことです。気を抜くとこれを忘れてしまって仕事になっていってしまうので。現場に行って違う役者さんと一緒にやって、刺激を受けることがなくならないのがすごい幸せなことだと思っていて。毎日勝手に楽しくやっているんですけど、この仕事は自分の意欲とか、誰に教えてもらえるわけではないし、正解もなくてどこまで突き詰められるかって、自分にどこまで厳しくやれるかが意外と大事な仕事だと思うんです。そこは自分自身もずっと極めたいという意思を持って楽しめることが大事だと思います。
―― そういう意味では今作は自分自身が楽しめましたか?
山田 楽しかったです。Prime Videoで世界同時独占配信ということで、もしかすると映画館での上映よりも多様な方に届くかもしれない。そういう作品ということで、どういう見え方にしたらいいんだろうというのはすごく考えましたし、それがどういう反応を呼ぶのかが楽しみです。
―― ホームステイも配信され、5月からはNHK総合のテレビドラマ「17才の帝国」でもヒロインを演じられます。山田さんにとって2022年、あるいは21歳の1年はどんな年にしたいですか?
山田 2022年は私がこれまでで一番、今年一年本当に頑張ろう、仕事を1つ1つきちんとやろうと思っている年です。もちろんこれまでもそういう意識は持っていましたが、今年は新しい挑戦も控えていて、そういう意味では楽しんでもらえると思いますし、自分自身ちゃんと成長していかなきゃいけない、成長できる年になると思うので、私自身この1年がどうなるのかすごく楽しみです。自信を持って皆さんに見ていただけるものにするので、楽しみにしていただければうれしいです。
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