小沢かなさんの漫画「ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-」を原作とする劇場アニメ「ブルーサーマル」が3月4日から公開。エンジンを搭載しない航空機グライダーで早さを競う競技に打ち込む、空に恋した大学生たちの青春姿が描かれます。
劇場アニメ「ブルーサーマル」は、『月刊コミック@バンチ』(新潮社)で2015年〜2018年まで連載された小沢さんの漫画「ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-」が原作。エンジンを使用せず気流に乗って滑空する「グライダー」を題材に、ひょんなことから体育会航空部に入部した主人公・都留たまき(CV:堀田真由さん)が主将の倉持潤(CV:島崎信長さん ※崎=たつさき)と初めてグライダーに乗って“空”その魅力に引き込まれていく姿が描かれます。
青凪大学1年生の主人公・“つるたま”こと都留たまきは、最初こそ雑用として体育会航空部に入部しますが、主将の倉持潤に“天性の才能がある逸材”として注目され、グライダーで徐々にその実力を発揮していきます。
とは言っても、なかなかなじみがない「グライダー」。一体どんな乗り物で、どうやって空を飛ぶのか、今回は、グライダーに搭乗できる機会をいただいたので、作品を見て初めてグライダーの存在を知った編集部員が体験してきたのですが、主人公の“つるたま”こと都留たまきが「やばい」ことが分かりました。
グライダー体験動画
“エンジンが付いていない”グライダーとは
グライダーは、エンジンがない航空機/滑空機です(※エンジンのあるモーターグライダーもあります)。エンジンもなしにどうやって飛ぶかというと、グライダーをウインチや飛行機にロープをつないである程度の高度まで引き上げてもらったら、そこからは自力です。上昇している空気の流れ「上昇気流」や風の力を利用して飛びます。
グライダーが飛ぶ仕組み
原作では、主人公のつるたまがグライダーのことを「メーヴェみたい」と、「風の谷のナウシカ」のナウシカが乗る白い機体を連想しますが、メーヴェには動力があります。
繰り返しになりますが、グライダーはエンジンがないため、空気の中を毎秒0.6〜7メートルほど下がりながら“滑空”する乗り物です。空に坂道があると思って、それを滑りながら飛んでいるイメージをしてもらえるといいかもしれません。
そのままではどんどん高度が下がってしまうので、上昇気流を捕まえて高度をあげる→下がりながら前進→上昇気流を捕まえて高度を上げる→下がりながら前進を繰り返すことでフライトができるのです。条件がいいと劇中の倉持先輩のように長距離、長時間のフライトもできます。
「ブルーサーマル」とは
この上昇気流をいかにうまく掴まえられるかがパイロットの腕。通常、パイロットは雲のでき方や流れなど、あらゆるものを観察して上昇気流を探します。
しかし、雲が全くない日もあります。そんな青空の日に発生している強力なサーマル(上昇気流/熱上昇風 ※その日の空気の乾燥状態によります)が作品のタイトルになっている「ブルーサーマル」です。雲が全くないため、つかまえるのは至難の業で、ある程度の経験が必要になります。
つるたまは天才すぎる
搭乗体験をさせてもらったのは、同作にも登場する埼玉県・熊谷市の妻沼グライダー滑空場。この日は、作品のモデルになった法政大学体育会航空部の練習にお邪魔してきました。
妻沼グライダー滑空場でグライダーを飛ばす条件のリミットは、風速10メートル、横風4メートルとのことでしたが、この日はあいにくの曇り。どんよりした雲が空一面を覆っており、正午の時点で風速15メートル、西風が強く吹いていたので条件としてはイマイチ。予報では午後から少し収まるとのことだったので、それまで宿舎にあるシミュレーターを体験します。
パイロットに求められる技術は、主に以下の3つです。
- 上昇気流をつかむ技術
- グライダーを思い通りに動かす技術
- 離着陸の技術
法政大学体育会航空部のみなさんは、1人で飛べるようになるため(グライダーには1人乗りの単座機と2人乗りの複座機があります)、教官と一緒に70回ほど離着陸を行うとのこと。「ブルーサーマル」作中で早々に1人で飛んだつるたまは天才すぎます。
操縦方法を聞きながらシミュレーターに挑んだ筆者でしたが、まっすぐ飛ぶこともできずに撃沈。命が惜しいので、本日は、複座機に乗り込み教官の操縦で空を飛びます。
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