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家の前に動物の死体、夫は怖くて処分できず…… 「性別関係なくできる人がやればいい」という考え描く漫画に反響(1/2 ページ)

「男だから得意」「女だから苦手」なんてことはない!

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 「男だから得意」「女だから苦手」なんてことはない――性別で決めず、得意な人が得意なことをやればいいと、ある日の出来事を通じて描いた漫画が2万いいねを超える共感を集めています。その背景を、作者に聞きました。


性別関係なく、できる人がやればいい、という考え方
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 作者の弓木らん(@Yumiki_ran)さんが車で近所に買い出しに出かけたときのこと、「家の前で動物が死んでる」と夫から連絡がありました。車に異常はなく、出がけにひいてしまったわけではなさそうです。夫が「1人では無理」と言うのでいったん帰宅することにした弓木さん。死んでいたのはアナグマらしき動物で、夫は怖がっている様子でした。


家の前に動物の死体、役所からは個人の敷地内なので自分で対処するようにと指示

 夫が役所に聞いたところ「個人の敷地内の場合は自分でゴミとして捨てるように」と言われたとのこと。「大丈夫、俺がやるから」とゴミ袋に死体を入れようとした夫ですが、「こわい」と触ることができません。「無理しなくていいよ!」と平然と死体を持ち上げてゴミ袋に入れる弓木さん。それを見た夫は「ごめんね」。


怖くて触れない夫と、平気な弓木さん

 「女性は動物の死体なんて怖いだろうにやらせてしまって……こんな時は男が率先してやらなきゃいけないのに自分がふがいないよ……」


男がやるべき、女がやるべき、ではなくて

 しょんぼりする夫に、男女とか誰がやるべきとか決まりはない、平気な人がやればいい、と弓木さん。そんな言葉に夫は「この先妻の苦手なことは自分が代わろう」と心に決めたのだそうです。

 誰が何をやるかを「男性か女性か」で決めるのではなく、「得意か不得意か」で決める。そんな考え方を描いた漫画には、「苦手なら無理せず、出来る人がやりゃエエんやもんな」「この考え方、全世界に広がってほしい…まだまだ性差で考えられがちなので」「性別という枠関係なく、個人が苦手なことをカバーし合って生きるのが理想」と大きな反響がありました。

 また弓木さんが自身について「女子校育ちだったためか、男女で役割を分けるという概念がない」と述べていることに、女子校出身者から「女子だから出来ないとか、男子だからしなくて良いと考えられません」「女子である自分たちでするのが当たり前の世界だった」と共感の声も寄せられています。

 編集部では弓木さんに、漫画を描いた背景を聞きました。

―― 漫画にはかなりの反響がありましたが、寄せられた声についてどう思いましたか。

弓木さん 拝見した反応のほとんどがポジティブなもので、「自分も男女で役割を分けないほうがいいと思った」「自分もそうありたい」という共感コメントの多く、とてもうれしかったです。

 一方で「うちは結局自分ばかりがあらゆる役割をやるはめになっている」という意見もありました。確かに、両者がお互いに同じ意見でないと成立しないことだと考えさせられました。

―― この出来事を漫画に描こうと思った理由を教えてください。

弓木さん アナグマが家の前で行き倒れていたと言う出来事は、私にとって大事件だったので、いつかこれをネタに描こうと思っていました。漫画後半の夫婦エピソードは、この事件の「余韻」的なパートとして描いたので、反響が多かったことに驚きました。

―― 漫画の最後で夫さんが「妻が苦手なことは自分が代わろう」と決意されていましたが、どんなことを代わってくれていますか。

弓木さん お互いリモートワークで常に家にいるので、主に助けてもらっているのは家事全般です。私は仕事が立て込むとすぐ他に手が回らなってしまうので、そんなときに家のことを引き受けてもらっています。

 季節ごとの洋服を買い足すときも、私はセンスが皆無なので、いつも夫が店での服選びをしてくれます。

 反対に、夫がパソコン関係でつまづいたときは、慣れている私が代わりに引き受けたりします。

―― 普段は得意・不得意をどのように分担していますか。

弓木さん あらかじめ担当を分担していることは特になく、基本的に必要なことは自分でやるスタイルで生活しています。その上で、結果的にできなかったことを「じゃあ一緒にやろうか」「(できそうなら)代わりにやるよ」とその場の状況次第で判断するような感じです。ある意味無秩序かもしれません……。

 まだまだこのやり方も完成形ではないですし、こういったことは一生微調整が続いていくんだろうなぁと思っています。

―― 「男女で役割を分けない」価値観は女子校で培われたとのことですが、具体的にどのような環境だったのでしょうか。

弓木さん 何をするにも「どういうことをすると男性にモテる(またはモテない)のか?」「どのくらいまでなら “男ウケ” を意識しても女子にウザがられないか?」という視点が存在しないので、自分の好きなこと・やりたいことに対して素直だったり、友人に対する愛情表現もストレートで熱い人が多かった気がします。

 共学ではおそらくキュン要素やモテのアプローチになるであろう「重いから持ってあげるよ」とか「ボタンつけてあげよっか……?」といったシーンは、基本的に「困っているから手を貸す」という純粋な助け合いの構図になります。一方で、助け合いとは異なる「○○ちゃん大好き……○○ちゃんのとれたボタン、私がつけていい……?」みたいな「私がやりたいからやる(好き)」というド直球の親愛の表現にも比較的日常的に遭遇していました。

 女子しかいない環境の中でも「カワイイ」「かっこいい」と言う理由で「なんかモテてる人」は学年の上下問わず確実に一定数存在していました。(今で言う「推し」みたいな感覚なのかなと勝手に想像しています)。とにかく「らしさの性」にあまりさらされない分、良い意味で人間くささの強い人が多い環境だったように思います。

作品提供:弓木らん(@Yumiki_ran)さん

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