「カーマカマカマ♪」 構想から40年「蒲蒲線」が度々話題になるワケ:月刊乗り鉄話題(2022年6月版)(1/3 ページ)
そもそもどこ? どう読むの? 誰が便利になるの? いる? いらない?──を解説。あ、「カーマカマカマ♪」がちょっと頭から離れなくなっちゃいました。
先日、「蒲蒲線、東京都と大田区が負担割合で合意」というニュースが話題になりました。
蒲蒲線は、JR京浜東北線および東急多摩川線・池上線の「蒲田駅」と、京急電鉄「京急蒲田駅」を結ぶ地下鉄構想です。その歴史は1982年の「大田区基本構想」に始まります。それ以前も、その後も地元では「あったらいいな」「いらないよ」などと話題になる路線計画です。
「蒲蒲線」ってそもそもどう読むの? どこの路線? 誰が便利になるの? 今回は蒲蒲線話題の歴史を分かりやすく解説していきましょう。
「カーマカマカマ♪」 構想から40年の節目「蒲蒲線」が度々話題になるワケ
蒲蒲線は「カマカマセン」と読みます。
1982年の「大田区基本構想」が策定されたころ、1983年に英国のバンド、カルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ(Karma Chameleon)」が欧米で大ヒットしました。サビの「カーマカマカマ……」が「カマカマセン」の語感に結び付きました。
当時、インターネットは一般に普及していません。Twitterの日本語対応は2008年ですから「カマカマ……」が広く話題になるのもそのあとですね。
(曲は、カルチャー・クラブの公式YouTubeチャンネルなどでも聴けます。記事はぜひ曲を聴きながらどうぞ!)
2011年、東急電鉄が投資家向け説明会で「東横線と東京メトロ副都心線の直通」「東横線・目黒線と相模鉄道を相互直通化」と合わせて蒲蒲線を「新空港線」として紹介しました(関連記事)。これが「東急電鉄が参入意志を固めた」と話題になりました。
2015年に大田区が「2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに蒲田〜京急蒲田間を暫定開業したい」と表明したときもニュースになりました。
「蒲蒲線(カマカマセン)」から「カーマは気まぐれ」を連想する世代はそこそこ年配の方でしょう。でも、蒲蒲線がテレビで話題になるときはBGMとして「カーマは気まぐれ」が使われるようです。その後も進展があるたびに「カーマカマカマ」と結び付けてちょっと盛り上がります。むしろ若い人は、蒲蒲線のニュースがきっかけで「カーマは気まぐれ」を知ったりするのかな?
新空港線(蒲蒲線)の利用便益分布。利用便益は「従来の手段より、新路線で移動した場合に短縮された時間を、平均所得の時給に換算した総額」。色が濃いほど便益が大きいエリアで、蒲田や羽田空港周辺だけでなく、直通する路線のエリアも色が濃くなっている(出展:大田区 新空港線「蒲蒲線」平成28年度活動報告)
閑話休題。2022年6月に報じられた「蒲蒲線、東京都と大田区が負担割合で合意」は、「もし国の補助が受けられる事業と認定されたら、自治体負担分は東京都 3:大田区 7にしようね」という内容です。2022年6月現在、建設が正式に決まったわけではありません。このほかにもさまざまな手続きが必要です。負担割合の合意はそのうちの1つに過ぎません。
それでも進展が報じられ、ネットでも話題になります。羽田空港アクセス路線の1つだけに全国的に関心の高いとされる路線だからでしょう。
それだけ報じられても「で、蒲蒲線ってどこよ?」って話になります。そりゃそうだ。蒲田なんて地元の話題すぎる(笑)、と大田区出身のワタシは思います。
でも、開通すると大田区だけではなく、もっと広範囲の人々が便利になります。
東急多摩川線は多摩川駅で東横線と目黒線に接続します。渋谷方面、目黒方面、さらに相互直通先から京急蒲田まで直通し、乗り換えて羽田空港へ行けます。来年(2023年)3月に東急新横浜線(関連記事)が開通すると、相模鉄道方面から多摩川線に乗り換えられるようになります。
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