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「女性講師ゼロ」「残念過ぎる」 国交省の講座で講師25人“全員男性”に批判の声 女性講師追加へ【追記あり】(1/2 ページ)

近年、イベントの登壇者やテレビの出演者に女性などのマイノリティの割合が少ないことが問題視されています。

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 国土交通省が実施するオンラインスクールの講師が“全員男性”であることに対し、「どうして女性が1人もいないのですか」「女性も障がい者も若者もいない」などの批判が集まっています。

 公式サイトによると、「公務員アーバニストスクール」は、「人中心の居心地が良く豊かなまち」を実現するため、主体的に考え、実践していく公務員の育成を目的としたもの。市区町村、都道府県、国などの行政機関の職員を対象としています。批判を集めているのは「人中心の居心地が良く豊かなまち」とうたいながらも、講師25人が全員男性であり、女性や障がい者などのマイノリティが登壇しないことです。

国土交通省「公務員アーバニストスクール」 公務員アーバニストスクールの告知物(画像はTwitterより)

 SNS上では「おじさんの居心地のいい町つくり?」「国土交通省のお役人には女性という『人』の姿が見えていないようだ」「車椅子を使う人は入っているのでしょうか?」など、登壇者の偏りを問題視する声がみられます。

 この問題には著名人らも言及しており、作家の乙武洋匡さんはTwitterで「『男性ばかり』『女性がいない』と炎上していますが、(写真だけでは判断できないけれど)『健常者ばかり』である可能性も否定できません。まちづくりなら、『現役世代の男性」に限定せず、女性や若者、高齢者、障害者や外国ルーツの方など、様々な視点を持つ講師がいるといいですよね」と意見を述べています。

 国土交通省は、登壇者に偏りがある理由について「講師の皆様については、女性も含めて検討しておりましたが、 日程等の都合などから最終的にこのような女性講師がいない形となってしまいました」とコメント。「今後予定している交流会等に女性講師をお願いすることも引続き検討しております。 頂いたご意見を真摯(しんし)に受け止め今後の取組に生かしてまいります」と述べています。

 近年、イベントの登壇者やテレビの出演者(※)に女性などのマイノリティの割合が少ないことが問題視されています。国内でもイベント企画・開催を手がけるComexposium Japanが国際カンファレンス「ad:tech tokyo」で女性登壇者比率を3割超に設定するなど、少しずつであるものの改善へ向けた取り組みが進められています。

※例えば、NHK放送文化研究所 メディア研究部が実施した調査によると、日本のテレビ番組では全チャンネルで、出演者は男性が約62%、女性は約38%と、大きな偏りがあることが明らかになっています。

女性講師追加へ【7月22日11時35分追記】

 編集部が問い合わせたところ、国土交通省は批判の声を受けて、公務員アーバニストスクールに女性講師による講座を追加するとのことです。Twitterでは今後について「検討」という曖昧な言葉を使っていましたが、担当者は「Twitter上での言葉の選び方も配慮が足りなかった」と認め、現在は「交流会とは別に、女性の講師による講義を複数追加するため、講師のリストアップを早急に進めている」と話しています。

 担当者は「建築・土木業界では学生は女性の割合が増えているものの、過去には男女比率がものすごく偏っていた。まちづくりに携わる方は係長クラスでは女性の方が増えているが、民間の実務者では女性の数が少ない」など現状の問題点について言及したうえで、「女性の視点はまちづくりに欠かせない。まちにお住まいの方の半分は女性だ」として、今回の対応にいたったと説明しています。

 また、「みなさんからのご意見を真摯に受け止めて、至らなかったことを重々承知のうえ、深く反省している。『来年度から』という話ではなく、『今年度から』スクールをしっかり良いものにしていきたい」と述べました。

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