2022年9月23日の西九州新幹線開業まで1カ月となった8月23日、開業初日のきっぷが発売されました。一番列車の指定席券はわずか10秒で完売し、話題を呼んだのも記憶に新しいです(関連記事)。
実は筆者も一番列車の指定席券を狙っていたのですが、残念ながら手に入りませんでした。狙うとは言っても、駅窓口に並んで「10時打ち」(※)をお願いしたわけではなく、インターネット列車予約サイトで発売日のさらに1週間前からきっぷの予約を申し込める「事前申込」を利用しました。
(※)「10時打ち」……発売の瞬間に駅係員に端末を操作してもらい、指定席券の購入を図る手法。JRの指定席券は通常、乗車日の1カ月前の10時に全国一斉で発売されます。一番列車やラストランなどの人気列車でよく行われています。
事前予約とはいえ、実際にきっぷの手配作業が行われるのは発売日になってからです。つまり駅窓口に並んでいる人たちと同じタイミングできっぷ購入バトルに参加することになるのですが、やはり新しい新幹線が開業するとなると競争率は非常に高かったようです。
せっかくならばと、西九州新幹線の区間が含まれる乗車券類を、きっぷの収集を兼ねて購入してみました。
きっぷを購入した区間は「嬉野温泉→肥前山口」です。実はこの2駅、西九州新幹線開業後には「ありえない組み合わせ」となるのですが、開業までの1カ月間だけ、このようなきっぷを購入できます。
西九州新幹線の開業日である9月23日には、嬉野温泉駅、新大村駅、大村車両基地駅の3つの新駅が開業します。同時に、長崎本線の肥前山口駅は「江北駅」に改称します。
つまり、9月23日には肥前山口という名前の駅は存在しないので、「嬉野温泉」と「肥前山口」の組み合わせは「ありえない」というわけです。
きっぷがこのような表記になる理由は、駅名の表記は購入日基準となるためです。新規開業の駅はきっぷの発売にあわせて事前に駅名がシステム上に登録されますが、すでに存在している駅が改称する場合は、基本的に開業前日の深夜に駅名の更新作業が全国一斉に行われます。
2019年には同じような例として、東寝屋川駅の寝屋川公園駅への改称と、おおさか東線の全線開業で誕生した新駅を組み合わせたきっぷを購入する例がよく見られました。
このように、開業前の駅と改称前の駅が同時に記載されたきっぷを発券すること自体は、きっぷ収集家にとってそこまで珍しい行為ではありません。
しかし今回の例では、「まさかの肥前山口で出てきた」などの投稿が拡散され、珍しさを感じたユーザーも多かったようです。世間でも関心の高い新幹線の新規開業と、「最長片道切符」の終点駅としても知られる肥前山口駅の改称という話題性が組み合わされたことで話題を呼んだのでしょう。
(大泉勝彦)
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