河童と天狗だらけの公園を、高齢者が電動カートで激走! “妖怪のまち”で開催された「ポルカーグランプリ」に行ってみた(2/3 ページ)
エッジ立ちすぎな町おこしの実態とは!
まずは11時に参加者が全員集合して、ポルカーの走行方法について練習。乗るのに免許のいらないポルカーですが、念の為の安全講習です。実際に走っているところを見ると、なんともまあのんびりした乗り物。レース用ポルカーの最高時速は約4キロということで、速度はほぼ歩いてるのと一緒。さらに念には念を押して、走行中は福伸電気の社員さんが随伴します。
練習が終わってお昼も食べて、ということで、13時から予選タイムアタックを開始! 1台ずつのんびり走り出すポルカー! 特に封鎖されるでもない公園の中(まあ、時速4キロなので……)を、淡々とポルカーが走っていきます。後ろについて歩いていると「これ、タイムに差なんか出るのかな……」と思うんですが、時速4キロだからこそ微妙なコースの取り方やコーナリングの違いでタイムが違ってくる。
そしてこのコース、案外高低差がキツい! 当日はけっこう暑かったため、アップダウンのあるところを歩くと時速4キロでもそこそこ高速に感じられるほど。そのポルカー、おれも乗せてくれよ! 坂道でもスイスイ動くポルカーのトルクの強さを感じたところで、無事ポールポジション獲得ドライバーが決定しました。
予選終了後、ついにレースが開始。第1レースのポールポジションは、本レース最高齢(88歳)の「とにかく進」さんが獲得し、フラッグが振られると共に各車出走! 時速4キロでのんびり走るポルカー! ほとんどお散歩みたいな速度なんで抜きつ抜かれつのデッドヒートは特に発生せず、出走順に縦列を作って辻川山公園を走っていきます。なにこれ。
異変が起こったのは2周目。これまで圧倒的にトップだった「とにかく進」さんですが、ピットインで血圧を測ったところまさかの180超え。危ないって! というわけで強制的に5分間休憩。二番手だった「アーサーキット(82歳)」さんがトップに躍り出ます。まさか血圧が原因で抜かれるとは……。
そして、自分も含め取材に来ていたテレビカメラや新聞社もこの血圧測定を頑張って撮影していたわけですが、ここまでカメラが並んだ血圧測定は初めて見たかもしれません。
3周目のピットインでもみなさんもち麦麺を見事に食べ終え、そのまま「アーサーキット」さんがゴールイン! 優勝おめでとうございます! 割と淡々と休憩のベンチに戻っていくレーサーの皆さま。日陰の方が涼しいもんね。暑いし、ゆっくり休憩してください。
2回目のレースではポールポジションを獲得した「アップルリツコ(76歳)」さんが血圧測定を難なくクリア。もち麦麺も平らげ、安定した走りのままゴールイン。おふたりには、高級ポルカーのレンタル権3カ月分が授与されました。おめでとうございます!
しかし、なぜこんな酔狂なイベントを開催しようと思ったのか……。実は開催の理由には、カッパのガジロウなど福崎町の妖怪を通じた町おこしの仕掛け人であり、2021年9月に亡くなった小川知男さんの存在がありました。
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顧客が本当に必要だったものがまた1つ。