小学生に大人気のYouTuberが明かす「こんな影響を与えているとは」 好きを仕事にする原体験、史上初のイベント開催秘話インタビュー(1/3 ページ)
あにまるず Animals×ちゃんねる鰐×マーシーの獲ったり狩ったり×真夜中のビバリウムの座談会の様子をお届け。
2月11日、12日の2日間にわたり、「BitStarラウンジ(東京・渋谷)」で「生き物系YouTuber FAN FESTA」が開催されました。大人気の生き物系YouTuber12組が一堂に会し、トークショーやチェキ撮影、オリジナルグッズの販売などを行いました。
ねとらぼ生物部では、同イベントに参加したYouTubeチャンネル「あにまるず Animals」のえーしさん、「マーシーの獲ったり狩ったり」のマーシーさん、「真夜中のビバリウム」の真夜中のビバリウムさん、「ちゃんねる鰐」の鰐さんにインタビューを実施。
“普段から遊んでいる仲間”という4人に、「事務所間のしがらみをぶっ壊してでもやりたい」という思いから始まった本イベントの開催秘話や、「ゴキブリでも何でも素手で捕まえていた」という生き物との原体験、自身が与える影響力への考えなど、座談会方式で語ってもらいました。
座談会参加メンバー(五十音順)
えーし(「あにまるず Animals」)
BitStar所属、登録者数63万人(記事執筆時点)。相方・あいるん氏とともにペンギン、ミニブタ、コツメカワウソなど、さまざまな動物の姿を届けている。実は本イベントの発起人の一人。
マーシー(「マーシーの獲ったり狩ったり」)
Kiii所属、登録者数28万人(記事執筆時点)。琵琶湖(滋賀県)を中心に生物生態系の保全を目的とした“ガサガサ”や外来種捕獲の様子を届けている。本イベントの見どころは“ヌートリアの毛皮”。
真夜中のビバリウム(「真夜中のビバリウム」)
BitStar所属、登録者数28万人(記事執筆時点)。たくさんの蛇や鳥、小動物たちとの暮らしの様子をまったりと届けている。家にいる生き物の数は、現時点で100匹前後。
鰐(「ちゃんねる鰐」)
Carry On所属、登録者数81万人(記事執筆時点)。爬虫類・両生類を中心とした生き物の魅力や生態を届けている。本イベントの開催前日(2月10日)が誕生日だった。
――まずは生き物に興味を持ったきっかけを教えてください。
真夜中のビバリウム:子どものころから生き物がすごく好きだったんです。公園でよく鳩を見たり虫を取ったりしていて、うん、本当みんなかわいいんですよね。だから物心ついたときから生き物はいろいろ好きでした。
鰐:自分は物心ついたときにはすでにゴキブリでも何でも素手で捕まえていました。本能的に好きなんですよね、多分。子どものときって皆、虫全般好きじゃないですか。それがなぜか成長に伴って苦手になっていく。ここにいる人たちは苦手にならなかったんだと思います。
最初に飼った生き物は金魚でしたね。小学2年生くらいのときに夏祭りで金魚すくいをして、うちが犬とか猫とか飼えなかったんですけど、「魚ならいいよ」ということで金魚を飼わせてもらえて。そっからずっと魚だけしか飼わせてもらえなかったんで、魚人間になりました。
マーシー:僕は父親が釣りとか旅行が趣味で、結構小さいときからいろいろ付いて行っていました。そこで魚釣りを覚えて、生き物と触れ合っていたのが最初かな。で、小学1年生くらいのときに父親がいなくても何か楽しめないかなと思って、近くの川に網を持って行って、今でいうガサガサをしていました。そのときから魚やカメを捕まえていましたね。
えーし:僕も皆さんと同じで、気付いたら動物好きでした。幼いとき、犬を飼っている同級生がすごくうらやましくて、物心ついたときに最初にねだった動物が犬だったことは覚えています。
結局犬は飼わせてもらったんですけど、当時住んでいた場所が下町で、周りの家がすごく近くて。ご近所さんからその犬が「うるさい」とすごく言われて、近くの家に泣く泣く譲渡したんです。僕としては中途半端に飼ってしまったことがすごく心残りで、通学路の途中にその犬を譲渡した家があったんですけど、いつも横目に見ていて。それが原因で登校拒否になったくらいショックな出来事でした。
だから自分が管理できるようになったときに、生き物としっかりと向き合いたい、取り組みたいと思いました。好きというより“使命”みたいな感じでしたね。今は純粋に好きという気持ちで、「この子たちはどういうことを考えているんだろう」と思いながら動物と触れ合っています。本当にいろいろな動物が好きです。
――現在は“生き物系YouTuber”として皆さん活躍されていますが、YouTubeを始めたきっかけというものは何かあるんでしょうか?
真夜中のビバリウム:僕はSNS感覚で始めました。最初は爬虫類の情報収集や発信をしたくてTwitterから始めたんですけど、高校時代に映像を作るみたいなことをやっていたので、「エサ代くらいは稼げたらいいな」ぐらいの感覚で、5年ほど前にYouTubeを始めました。
鰐:自分は10年以上前から、もともとは掲示板で活動をしていて、そこで生き物の写真をアップしたり雑談をしたりしていたんです。だけどその掲示板に動画をアップする機能がなくて、動画を見せたいときはYouTubeにアップしてURLを貼る、みたいな感じでやっていたんですよね。
そしたら、そのうちの1個が200万再生くらいバズって、そのときに「こういうのって需要があるんだな」と初めて気付いて。5〜6年前、YouTubeがはやり始める前、ちょうど収益化が始まったくらいのタイミングで始めたのがきっかけです。
――なるほど。ちなみにその掲示板というのは個人で開設されたものだったんですか?
鰐:いや、2ちゃんねるです!
えーし:(笑)、そこでプロレスをしていたんだね。
鰐:はい、いろいろな人と交流してメンタルを鍛えられましたね。ありがたいです!
マーシー:僕は話すと多分、めちゃくちゃ長くなっちゃうんですけど……。もともと生き物が好きで、東海大学の海洋学部で海について学んでいたんですけど、就職のときに「(生き物に関わる仕事は)多分食っていけないだろう」と思って、不動産の営業にしたんです。だけどやっぱどうしても忘れられなかったというか、不動産の営業をやりながら、メンタル面でも「この仕事をずっとは続けられない」と思って。
そのときに大学時代、面白い講義があったことを思い出したんです。エコツアーガイドを学生自らが企画して、付属の小学校の生徒たちと一緒に実践するという。僕はそのツアーの一応リーダーだったんですけど、未来ある子どもたちに環境のことを教えたり、興味の窓口を作ったりというのがしっくり来ていたな、と。これを将来仕事にしたい、いつか起業したいと決意して、不動産の営業は4年ほどで辞めました。
ただ、エコツアーガイドをするにしても、自分はあまり琵琶湖のことを知らないな、まずは琵琶湖について学ばないと何も始められないなと思って、失業手当をもらいながら準備をしていました。その間に、もともと関心のあったYouTubeを始めたのがきっかけではあるんです。
で、YouTubeの何が良いって、自分で広告が打てるんですよね。不動産の営業時代、広告にお金がかかることは知っていたので、将来起業するときに良いなと思って半年ほど続けていたら、“ウシガエルを3452匹捕まえる”という内容の動画がバズったんです。
この動画の収益が入ったときがちょうど、失業手当が切れるタイミングだったんです。しかもコロナ禍ということもあって、対面でエコツアーガイドをやるよりも、YouTubeで飯を食えるくらいの収益がもらえるならこれでいいかな、と思って。これがきっかけで、登録者数も500人ほどから一気に2万人くらいまで増えました。
えーし:僕は飼っているいろいろな動物をたくさんの人に見てもらいたい、喜んでもらいたいと思って、最初はエキゾチックアニマルカフェを始めました。だけど僕あの、ちょっとばかで……実際に始めてみたら前途多難というか、いろいろな人に癒やしを与えるはずが、動物たちにストレスを与えることになってしまったんです。
お客さんのなかには、動物を粗末に扱う人もいて、カフェが見せ物小屋みたいになってしまった。これはどうにかしないといけないとなったときに、相方のあいるんがカフェと並行して進めていたYouTubeなら、動物たちにストレスがかからないと思い、本格的に取り組み始めました。これなら直接の触れ合いはなくても、たくさんの人にかわいい動物たちを見せることができると。
だけど最初は鳴かず飛ばずで……それこそ2年間くらい毎日動画をアップしても全く当たらずでした。それでも続けていくなかで、鰐さんとかたくさんの仲間ができて、いろいろ教えてもらったり協力してもらったりしながらやっていくうちに、動画の収益がカフェの売上を一瞬、一気にポンと超えたんです。このときに「今しかない」と思って切り替えたのがきっかけです。
――皆さん、多様なバックグラウンドがある……。そのYouTubeでの活動や、生き物との触れ合いのなかで、特に印象的だった出来事はありますか?
真夜中のビバリウム:2022年はイベントへの出店でファンの方と交流する機会が多かったんですけど、僕の動画を見て「ヘビ嫌いだったけど興味を持つようになった」とか、それこそ「好きになって飼いました」という人がいて、僕の動画がそんなに影響を与えていたんだ、と驚きました。これがやっぱ一番印象的で、うれしかったですね。
鰐:今言われちゃったんだけど(笑)、俺はイベントとかに来るファンが小学生の男の子が多いんですよね。親御さんと一緒に来てくれて、「うちの子が鰐さんに憧れてるんですよ」「将来、鰐さんになるって言ってるんですよ」って言ってもらえることが多くて。
自分が好きでやっていて、生き物の魅力を伝えたいって思いだけで動画を上げていただけなのに、こんなに影響を与えているんだ……という。もうアホなことできないなという不安はありつつ(笑)、でもすごいうれしいな、これからも頑張りたいなっていう喜びがあります。これが一番大きいです。
マーシー:いや本当、同じなんやな……。
真夜中のビバリウム:そう、自分が思っている以上に影響を与えてるんですよ。
マーシー:僕もやっぱり同じで、今回のイベントでも僕の動画を見て「同じたも網を買いました」とか、「ウェーダーを買ってガサガサに行くようになりました」「亀の種類が分かるようになりました」「ごみ拾いを始めました」って言ってもらえるのが一番うれしくって。
結局、僕が日々外来種問題に取り組んで動画をあげていることによって、伝播(でんぱ)はできているかもしれないけど、一人では駆除できる量や活動できる範囲が限られてしまう。将来的には生物生態系の多様性とか、持続可能な社会に向けた取り組みが必要だと思っていて、そういう仲間を増やしたいという思いで活動している。
それを実現するためにはものすごい大変な熱量が必要だと思っているので、視聴者さんが実際に活動してくれることは本当に感動するし、たくさんの力になります。
えーし:うちはいろいろな動物がいるので、新しい動物との出会いは毎回衝撃を受けるんですけど、一番印象に残っているのはカワウソですね。飼い始めたときは「こんなにかわいい生き物がいるんだ」と感動して、このかわいさをみんなに伝えたいと思っていたんですけど、今はかわいい部分も含めて動物本来の危険な一面もあるよ、ということも伝えていきたいと思っています。
もう……やばいです。何がやばいって、まず顎の力が強い。素人が手を出していい領域ではない。かといって、素人と玄人の違いというのはさっぱり分かりませんが、“かわいい”だけで安易に飼ってほしくないと思います。カワウソのことは苦労した分かわいいんですけど、よほどの熱量と愛情がなければ育ててはいけない動物であることを学びました。
生き物を飼育するということに対する考え方もガラッと変わりましたし、そういう“良いも悪いも”を発信できる立場として、今後も伝えていきたいと思いました。カワウソは良い意味で衝撃を受けました。
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